
30歳で初のPGAツアーフル参戦中のチャンドラー・ブランシェット。大会タイ記録となる「2位に4打差のリード」で週末を迎える(PHOTO/Getty Images)
どん底からの大バウンスバック。2日間で16バーディの猛攻
「36ホール終了時点で2位に4打差」というこの圧倒的なリードは、大会タイ記録に並ぶ快挙である。しかし、本当に驚くべきは、彼が直面していた“どん底”の現状からのバウンスバックだ。
ブランシェットは今季ここまで5試合に出場しているが、なんとそのすべてで予選落ちを喫していた。つまり、このプエルトリコの地が、彼にとってPGAツアーにおける「初の予選通過」なのである。ラウンド後の会見で、彼はこれまでのフラストレーションを正直に吐露した。
「シーズン序盤は本当に難しかった。土日にただ練習するだけで、試合でプレーできずに次の大会まで5日間も待たされるのは、全く楽しくなかったよ」
週末のコースに立てない鬱憤を晴らすかのように、彼はこの2日間で怒涛の16バーディを奪う猛攻を見せた。逆境を成長の糧とし、爆発的なスコアへと変換させた痛快な大逆襲劇である。
下部ツアーの経験と、浮き足立たない冷静なゲームプラン
初日を首位で終えた際、「これが初めてのロデオ(首位)じゃない」と強気に語っていたブランシェット。その言葉の裏には、昨季のコーンフェリーツアー(下部ツアー)での確かな実績があった。彼は下部ツアー時代に首位で週末を迎えた経験を持ち、見事に優勝を勝ち取っているのだ。
「去年、ミズーリ州のスプリングフィールドでも同じように大きなリードを持って週末を迎えたんだ。だから、その時のメモや記憶を振り返って、この週末の助けにしたいと思う」
PGAツアーという大舞台での独走状態にもかかわらず、彼の足はしっかりと地についている。浮き足立つことなく、冷静に過去の成功体験を引っ張り出し、己のゲームプランに徹する。苦労を重ねてきたオールドルーキーならではのその落ち着きこそが、彼の最大の武器となっている。
有言実行! デーリー2世が「失うものは何もない」強心臓で予選通過
一方、初日のラウンド後に「疲れたから、ビーチに行って絶対何もしないつもり」と飄々と語り、ファンを大いに沸かせたアマチュアのジョン・デーリー2世。彼もまた、ビッグマウスを結果で証明する素晴らしいプレーを見せつけた。
この日、ボギーフリーの「67」を叩き出し、通算7アンダーの7位タイ。見事にPGAツアー初の予選通過を果たしたのだ。
「序盤はドライバーが上手くいかなくて、緊張もあったかもしれない。でも、パターが何度も僕を救ってくれた」と、粘り強いゴルフを振り返る。かつてメジャー2勝を挙げた“悪童”ジョン・デーリーを父に持つ彼は、この大会への特別な思いも口にした。
「ここは昔、父のプレーを見に来ていたお気に入りの場所なんだ。だから週末に進めて最高だよ。僕には失うものは何もないから、ただ楽しんで自分のプレーを続けるだけさ」
偉大な父の背中を追う若武者は、プレッシャーすらも楽しむ父親譲りの強心臓ぶりを発揮し、週末のさらなる上位進出を不敵に狙っている。
嵐の予報と、人生を変える週末へ
この大会の優勝者には、PGAツアーのシード権(2年)と、次週のビッグトーナメント「ザ・プレーヤーズ選手権」への出場切符という、人生を一変させるような莫大な報酬が用意されている。
週末のプエルトリコは、さらに雨や最大風速30マイル(約13m/s)を超える突風が吹き荒れるという過酷な天気予報が出ている。自然の猛威が牙を剥くなか、不屈のオールドルーキーがそのまま逃げ切るのか、それともデーリー2世ら若き才能たちが嵐の中で大波乱を起こすのか。アメリカンドリームを懸けた極限のサバイバルレースは残り2日だ。

