竹田麗央の猛チャージ。強風を切り裂くショット力

3日目に「67」を出し、4位タイに浮上した竹田麗央。2連覇の可能性が出てきた(写真は25年ホンダLPGAタイランド、撮影/姉崎正)
しかし、その古江に代わって日本のゴルフファンを熱狂させる猛チャージを見せた選手がいる。今大会のディフェンディングチャンピオンとして臨んでいる、竹田麗央だ。
上位陣が軒並みスコアを落とし、耐えるゴルフを強いられるタフなコンディションのなか、竹田はこの日のベストスコアに迫る「67」という圧巻のゴルフを披露した。通算8アンダーまでスコアを伸ばし、4位タイへと一気にジャンプアップを果たしたのである。彼女の最大の武器である規格外の飛距離と、アイアンショットの鋭いキレは、吹き荒れる強風下でこそ真価を発揮している。風に負けない強い弾道でピンを射抜き、次々とバーディを奪う姿は頼もしいの一言に尽きる。
首位との差はわずかに4打。爆発力のある竹田にとって、これは十分に逆転優勝が狙える、まさに「射程圏内」と言えるだろう。
ターゲットとなる首位イ・ミヒャンの「満身創痍」
竹田が逆転劇を完遂するためには、避けて通れない大きな壁がある。現在、通算12アンダーで単独首位を走る韓国のベテラン、イ・ミヒャンだ。しかし、彼女の首位の座は決して盤石なものではない。この日のイ・ミヒャンのスコアカードは、7つのバーディを奪う一方で6つのボギーを叩くという、極めて出入りの激しい不安定な内容だった。
この激しいスコアの波の理由は、強風だけではない。彼女が抱える「深刻な怪我」にあるのだ。ラウンド後の会見で、彼女は昨年の9月から右肩に激しい痛みを抱えていることを赤裸々に告白した。
「休養をとってもまだ100%の状態ではない。今週は少し無理をしてしまっている」と語る彼女の言葉は悲痛だ。さらに、「昨夜は薬(痛み止め)なしでは眠れなかった」と明かし、文字通り満身創痍の状態でプレーを続けている現実を打ち明けたのである。ショットのたびに肩に走る激痛と戦いながら、気力だけで首位の座を死守している状態なのだ。
つきまとう「逃げ切り失敗」のトラウマ
満身創痍のイ・ミヒャンを精神的に追い詰める要素は、肉体の痛みだけではない。冷酷なデータもまた、彼女にとって不吉なジンクスを突きつけている。
彼女にとって、54ホール終了時点で首位(タイを含む)に立つのはキャリアで4度目のこと。しかし、直近の2回はいずれも最終日にスコアを伸ばせず、後続に逆転を許して優勝を逃しているのだ。「逃げ切り失敗」という過去のトラウマが、最終日のプレッシャーとなって彼女の双肩に重くのしかかることは想像に難くない。
逆転シナリオの行方
怪我の痛みと過去のトラウマに耐えながら、必死に逃げ切りを図るイ・ミヒャン。それに対し、ディフェンディングチャンピオンの誇りを胸に、失うものなく猛追する竹田麗央。
重圧と痛みに苦しむ首位が少しでも足踏みを見せれば、勢いに乗る竹田が再び「60台」の猛チャージを見せ、一気にスコアをひっくり返す展開は十分にあり得る。手負いのベテランを捕らえ、竹田麗央が米女子ツアーの舞台で鮮やかな逆転優勝のドラマを完結させることができるか。日曜日の最終決戦から、一瞬たりとも目が離せない。
