「LIVゴルフ・香港」の最終日。数々のドラマを生んだ熱戦に終止符を打ったのは、やはりジョン・ラーム(Legion XIII)だった。24年9月に開催された「LIVゴルフ・シカゴ」での優勝から実に、1年6カ月ぶりのLIVゴルフ3勝目。しかし、ウィニングパットを沈めた彼を包んだ感情は、我々が想像するような爆発的な歓喜ではなかった。彼が語ったのは、重圧と葛藤、そして深い「安堵」だった。
画像: ギャラリーの歓声に応えるジョン・ラーム(提供/LIVゴルフ)

ギャラリーの歓声に応えるジョン・ラーム(提供/LIVゴルフ)

歓喜ではなく「安堵」という本音

「非常に安堵している。それが、今の気持ちを表す唯一の表現だ」

優勝会見の席で、ラームは静かに息を吐き出した。

「過去の勝利では、大声で叫ぶような歓喜があった。でも今回の勝利は、ただただ肩から大きな荷が下りたように感じるんだ」

その言葉には、彼が背負っていた計り知れないプレッシャーが滲んでいる。LIVゴルフの直近4試合で単独2位が3回、2位タイが1回と常にリーダーボードの頂点付近にいながら、勝ち切れないもどかしさが彼を苦しめていた。

「17番を歩いている時、勝利を確信して、純粋にその瞬間を楽しめたんだ。それは本当に心地よい感覚だったよ」

それはまるで、2021年の全米オープンで初優勝を飾った時の記憶と重なるという。

「あの時、ルイ・ウエストハイゼンがホールアウトするのを待っていた1時間は、人生で最もストレスの多い時間だった」

その苦しい時間を乗り越えた経験があるからこそ、今回の勝利の味はより深く、穏やかなものだった。

ターニングポイントと、香港への愛

今回の勝利の裏には、明確な意識改革があった。前戦のアデレード大会で、彼は優勝争いの重圧から「慎重になりすぎた」ことを深く反省していた。

「だから今回は、『どんなショットでも100%コミットして振り抜く』という誓いを立てて臨んだんだ」

【動画】ラーム自身が「ピークの自分」と話す13番セカンドのスウィング【LIVゴルフ公式X】

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その誓いは見事に結実した。初日の練習場では「どうやって打てばいいか分からないくらい不調だった」というスウィングを、ラウンドを重ねるごとに微調整。

「友人のデイビッド・ノバクがいつも言うんだ。『毎日少しずつ良くしていけ』と。その言葉通り、毎日少しずつ状態を上げていった」

最終日の勝負どころである13番から16番にかけては「絶対に完璧なスウィングだった。あれがピークのジョン・ラームだ」と自画自賛するほどの次元へと昇華させた。

そして今大会、彼は単なる優勝者以上の役割を果たした。中東での移動トラブルに巻き込まれたトーマス・デトリーやケイレブ・スラットらを、自身の専用機などを手配して救出した「命の恩人」でもあったのだ。 「彼らが無事に香港にたどり着き、こうして一緒にプレーできたことが何よりも嬉しい」と、仲間への敬意を忘れない。

香港の地は、改めて彼を魅了している。

「もっと早い時期から香港でプレーしておくべきだったと、自分を責めたいくらいだ。これほどゴルフコースと街が素晴らしい組み合わせは、世界中を探しても少ないよ」

終わらない旅、次なる目標へ

「ゴルフの美しくも残酷なところは、今日がすでに『来週の始まり』であることだ」 会見の最後、ラームはゴルフというスポーツの理不尽さを、詩的な表現で語った。

「どんな素晴らしい結果を出しても、来週になればまた新しい大会が始まり、新しい目標に向かって一から戦わなければならない」

重圧の鎖を解き放ったジョン・ラーム。肩の荷を下ろした彼が、この先どれほど恐ろしいパフォーマンスを見せるのか。真の“ピーク”を迎えた王者の逆襲は、ここから始まる。

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