
「何度も確定事項ではない」と述べながらも、旗艦大会「ザ・プレーヤーズ選手権」の公式会見で今後のPGAツアーの構想を話すブライアン・ロラップCEO(PHOTO/Getty Images)
シグネチャー・イベントの転換構想。「少人数・予選落ちなし」からの脱却
現在、PGAツアーは高額賞金と莫大なポイントが用意された「シグネチャー・イベント」を軸に回っている。しかし、70〜80人という限られたエリートのみが出場し、なおかつ「予選落ちがない(※一部除く)」というフォーマットに対し、ファンや一部の選手からは「実力主義に反する」「スリルが足りない」という批判の声が上がっていた。
この現状に対し、ロラップCEOは方針転換の構想を提示した。
「我々が目指しているのは、現在のシグネチャー・イベントの枠組みを見直し、より大きなフィールド、理想的には『120名規模で予選カットあり』の大会にすることだ」
限られたトップ選手だけが保証された賞金を手にするのではなく、より多くの選手に門戸を開き、過酷なサバイバルを復活させる。これこそが、大会をより意味のあるものにするという強いメッセージだ。
プレミアリーグ化するPGAツアー。ツアー内の「昇格・降格制度」
さらに衝撃的だったのが、ヨーロッパのプロサッカーなどで採用されている「昇格・降格モデル」の導入構想だ。
現在、フルシード権を持つ125名程度の選手たちが同じ土俵で戦っているが、PGAツアー内に「2つの明確なトラック(階層)」を設け、成績に応じて毎年入れ替えを行うというものである。シード権にぶら下がる安住の地はなくなり、トッププロであっても成績が悪ければ下の階層へ降格する。このシビアな生存競争が、すべての試合に意味を持たせ、ファンの熱狂をさらに加速させるという計算だ。
コーンフェリーツアーとの違いは? 記者の質問で明かされた「階層」の真意
この「2つの階層」という構想について、会見では記者からこんな鋭い質問が飛んだ。
「サッカー方式の降格というのは、現在のコーンフェリーツアー(下部ツアー)が第2階層(ティア2)になるということか? それとも、PGAツアー自体が上位と下位のディビジョンに分裂するということか?」
これに対し、ロラップCEOは明確に「後者だ」と答えている。
「PGAツアー内に2つの明確なトラック(階層)を設けることを想定している。コーンフェリーツアーは、あくまで『PGAツアーへ入るための主要なパスウェイ(登竜門)』として残り続ける」
つまり、コーンフェリーツアーやPGAツアー・アメリカズといった既存の下部ツアーの立ち位置は維持しつつも、PGAツアーという最高峰の舞台そのものを一軍と二軍に分けるという構想なのだ。その上で、下部ツアーへの投資は継続しつつ、新システムの中でエコシステム全体を合理化していく狙いがあるという。
ポストシーズンの「マッチプレー化」構想
そして、ファンにとって最もエキサイティングな提案の一つが、ポストシーズンにおける「マッチプレー形式」の導入検討だ。
「(現在のフォーマットでは)十分なドラマが生まれていないという声を聞く。もしかすると、マッチプレー形式を採用するかもしれない」とロラップ氏は語る。
ストロークプレーでの逃げ切りや消化試合化を防ぎ、1対1で「負けたら終わり」という究極のプレッシャーがかかるマッチプレー。もし実現すれば、日曜日の最終ホールまで誰が年間王者になるか分からない、最高のエンターテインメントが約束されるだろう。
タイガー・ウッズという生きた伝説が舵を取り、NFL出身の敏腕CEOがビジネスの視点からそれを具現化していく。シグネチャー・イベントの予選カットの復活、PGAツアー内の昇格・降格、そしてマッチプレー。あくまで構想段階とはいえ、PGAツアーの2028年シーズンは、我々の想像を遥かに超えるスリリングな新時代へと突入しようとしている。
