「ケプカ特例」は1回限り。復帰への狭き門は閉ざされたまま

「復帰メンバープログラム(Returning Member Program)」という例外で唯一PGAツアーに復帰したブルックス・ケプカ(写真は25年全米オープン、撮影/岩本芳弘)
LIVゴルフに移籍した選手たちの間で、PGAツアー復帰への期待が高まった出来事がある。今季、ブルックス・ケプカらに適用された「復帰メンバープログラム(Returning Member Program)」だ。これにより、LIVでプレーしていたケプカが特例的にPGAツアーへの出場を認められた。これを機に、他のLIV選手たちも続々と帰還できるのではないかという憶測が飛んだ。
しかし、ロラップCEOはこの楽観論を完全に一蹴した。
「(ケプカに適用されたプログラムは)彼とLIVゴルフとの契約が終了するという『予期せぬ事態』に基づいた、あくまで1回限りの状況的なプログラムだ」
彼はきっぱりとそう言い切り、「他の選手に拡大する予定はない」と断言した。つまり、現在LIVでプレーし、契約を残している他の選手たちに向けて、この特例プログラムを適用する道は閉ざされているということだ。
LIV選手がPGAツアーに戻りたければ、既存の限られたルールに従うしかない。現在、パトリック・リードがDPワールドツアー(欧州)経由でPGAツアー復帰へのポイントを稼ぐという道を歩んでいるが、LIV選手にとって、PGAツアーへの帰還は依然として狭き門のままである。
“統合”への冷めたスタンス。PGAツアーの「自立」
そして、長年議論の的となっている「PGAツアーとLIVゴルフ(PIF)の統合」について。ロラップCEOの口から出たのは、統合を焦るような言葉ではなく、あくまでビジネスマンとしてのクールで現実的な姿勢だった。
「私の仕事はPGAツアーをより良くすることだ。もし(PIFとの合意が)PGAツアーをより良くするものであれば、私は何に対してもオープンだ」
PGAツアーは昨年、米国の投資コンソーシアム「SSG(ストラテジック・スポーツ・グループ)」から約30億ドルとも言われる巨額の出資を受けた。「我々にはビジネスを成長させるための資本がある」とロラップ氏が語る通り、PIFの資金に頼らなくても、ツアーを自立して成長させていけるだけの強固なビジネス基盤を手に入れつつあるのだ。
ロラップCEOの言葉や現在進められている改革案からは、たとえ統合が実現しなくとも、独自の改革(シグネチャー・イベントの見直しやスケジュールの再編など)を進め、世界最高のツアーであり続けるという自信が垣間見える。
PIFとの交渉にオープンな姿勢は見せつつも、決してそれに依存しているわけではない。ゴルフ界の“冷戦”は、統合という平和的解決よりも、むしろPGAツアーの「圧倒的な自立と強化」という新たなフェーズへと移行しつつある。
