母国で開催された「ホンダLPGAタイランド」で劇的な優勝を飾り、世界ランク1位として今大会「フォーティネット・ファウンダーズカップ」を迎えたジーノ・ティティクル。しかし、そんな頂点に立つ彼女の素顔は、驚くほど無邪気だ。公式会見では、母国での優勝直後の様子をこう明かしている。「夜の7時半までコースにいて、それから自分で車を運転して2時間かけて家に帰ったの。とにかく早く家に着きたくて、ブーン!って感じで飛ばしてね」。偉業を成し遂げた直後でも、熱狂から逃れるように一人でハンドルを握り帰路を急ぐ姿は、どこにでもいる等身大の若者そのものである。

【動画】ジーノ・ティティクル、26年ホンダLPGAタイランド優勝シーン【LPGA公式X】

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本嫌いだった彼女を変えた「失敗」と一冊の本

若くして女子ゴルフ界の頂点に立った彼女だが、元から隙のない優等生だったわけではない。かつての自分について、彼女は飾ることなくこう告白する。

「以前は本を読むのが大嫌いで、ドラマを見たり、くだらないことをして時間を過ごしていた」

そんな彼女を変えたのは、プロの世界で味わった数々の「失敗」だった。

「毎回チャンスをものにできるわけではない。たくさん失敗して、自分自身について深く学ぶようになり、メンタルに関する本を読み始めた」と彼女は語る。

特に彼女の心を捉えた愛読書が『Good Vibes, Good Life(翻訳本:望む現実は最良の思考から生まれる)』という一冊だ。「人間は1日のうちに、一瞬のうちにたくさんの思考を巡らせる。そして、その80%はネガティブなもの」。そんな気づきを得た彼女は、日常の小さなことからポジティブな環境を作り出す術を学んだという。

優勝争いの重圧、極限の緊張感の中で「ボールはどうなってしまうのか」「最悪のケースは何か」という恐怖が容赦なく頭をよぎる。しかし、そこで彼女は「たった1打」にのみ集中することで心を解放する。「そうやって自分を落ち着かせることができたとき、『ああ、私は自分自身に打ち勝ったんだ』と思える」。それこそが、彼女が身につけた究極のメンタルコントロール術なのだ。

憧れのリディア・コーから学んだ「一流の条件」

本からの学びだけでなく、彼女は偉大な先輩からも「一流の条件」をどん欲に吸収している。彼女がロールモデルとして慕ってやまないのが、名手リディア・コーだ。

画像: 世界No.1プレーヤーのジーノ・ティティクル(写真は24年シェブロン選手権、撮影/岩本芳弘)

世界No.1プレーヤーのジーノ・ティティクル(写真は24年シェブロン選手権、撮影/岩本芳弘)

タイでの大会中、ティティクルは憧れのリディアをディナーに誘い、深い話をする機会を得た。「(メジャーで3勝し、オリンピックでは金・銀・銅のすべてを持つ)あなたを、まだ突き動かしているモチベーションの源は何か?」と尋ねた彼女に対し、リディアはこう答えたという。「ゴルフだけでなく、自分がやることすべてにおいて優れていたい」。

この言葉は、若き世界女王の胸に深く刺さった。

「彼女は本当に負けず嫌いなんです。だからこそ、ただ勝つことだけに執着するのではなく、すべての行動において『良い状態』でありたいと願っている」

コース内での圧倒的な実績はもちろん、コース外でも常に笑顔を絶やさず、素晴らしい人格でツアー全体に貢献し続けるリディア・コー。その背中から、ティティクルは単なるスコアメイク以上の「真のプロフェッショナル」としての生き方を学んでいる。

類まれな才能に甘んじることなく、読書を通して自らの心をコントロールし、偉大な先輩の哲学を吸収し続ける。若き世界No.1、ジーノ・ティティクルの強さの根底にあるのは、その豊かな知性と、どこまでも成長を渇望する謙虚な心だ。彼女の真の黄金期は、まだ始まったばかりである。


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