今週はテキサス州のメモリアルパークゴルフコースを舞台に、「テキサスチルドレンズ・ヒューストンオープン」が開催される。全米屈指の難関パブリックコースとして知られるこの舞台は、今年の女子メジャー「シェブロン選手権」の会場としても使用予定の注目コースだ。ここで悲願の初優勝、そして「マスターズ」への切符を狙うのが、世界ランキング58位のマックス・グレイサーマンである。本大会を配信するU-NEXTが、丸山茂樹プロとの名コンビでお馴染み・杉ちゃんこと杉澤伸章キャディにマックス・グレイサーマンの魅力を詳しく聞き、「みんなのゴルフダイジェスト」に寄稿してもらった。名キャディの視点から、グレイサーマンの現在地を紐解いていこう。

グレイサーマンにとって、この大会は特別な意味を持つ「思い出の地」でもある。

「彼は2024年の本大会において、PGAツアー選手として初めてのトップ10入り(7位タイ)を記録しました。まさに彼がツアーで頭角を現すきっかけとなった場所です。現在世界ランキング58位の彼にとって、今週の成績次第で『50位以内』に入れば、2年連続となるマスターズ出場権を獲得できます。慣れ親しんだ相性の良いコースで、その夢を自らの手で掴み取れるか、非常に大きな期待がかかっています」(以下、杉澤)

名門デューク大学を卒業し、経済学や公共政策を専攻したグレイサーマンは、ツアー屈指の知性派として知られている。

「彼はゴルフを身体能力の勝負ではなく、チェスのような『戦略的な意思決定のゲーム』だと捉えています。自分の失敗や経験をすべて数値化し、感情を排除して常に最適解を導き出そうとします。たとえば『緊張』という主観的な感覚も、心拍数などで客観的に把握します。そして、あえて心拍数を上げた状態で練習することで、本番のプレッシャー下でも高いパフォーマンスを発揮できるよう自分を律しています。大学時代に培われた論理的思考が、彼のゴルフスタイルに色濃く反映されていますね」

2024年にPGAツアーに参戦して以来、グレイサーマンはすでに2位を5回経験している。その中でも特筆すべきは、日本での圧倒的な強さだ。

「彼は日本で開催されたPGAツアー(ZOZOチャンピオンシップ&ベイカレント C レクサス)において、2年連続で2位という驚異的な成績を収めています。日本のファンからも非常に注目されており、その安定感は誰もが認めるところ。あと一歩で勝利を逃す悔しさを何度も味わっていますが、それは裏を返せば、常に優勝争いに絡める実力があるということ。悲願の初優勝は、まさに『秒読み』と言っていいでしょう」

ショットの好不調に左右されず、常に高いレベルを維持しているのが彼のパッティングだ。

「彼は大学時代から練習時間の多くをグリーン上で過ごしてきました。彼は『ショットは日によって狂うこともあるが、パッティングは物理の法則に基づいているから変わらない』という強い信念を持っています。特に驚くのはその攻撃的なライン読みです。9メートルのロングパットでも、多くの選手が『寄せればいい』と考える場面で、彼は最初から『入れるためのライン』を徹底的に読みます。たとえ外れても、入れるつもりで打っているからこそ、返しのパットが入る確率も上がります。その迷いのなさが、ツアー屈指のパッティングスタッツを支えているのでしょう」

彼の冷静沈着なプレースタイルの裏には、家族の歩んできた逞しい歴史がある。

「彼の両親は現在のウクライナにあたる旧ソビエト連邦からの難民としてアメリカに渡ってきました。父は4つの学位を持つ秀才、母は大学のテニス部出身という文武両道の家庭で、彼自身もロシア語を解するなど多文化な環境で育ったそうです。ゴルフとの出会いも非常にユニークで、両親が無料レッスンを受けに行った際、ベビーカーに乗っていたのが彼だったといいます。そんな非常に珍しいバックグラウンドも、彼という選手の魅力を形作る一つの要素になっています」

画像: 2年連続で日本開催のPGAツアーで2位に入っているマックス・グレイサーマン(写真は25年ベイカレント C レクサス、撮影/岡沢裕行)

2年連続で日本開催のPGAツアーで2位に入っているマックス・グレイサーマン(写真は25年ベイカレント C レクサス、撮影/岡沢裕行)

女子メジャーの舞台にも選ばれる難攻不落のパブリックコースに、グレイサーマンが再び挑む。

「昨年、ミンウー・リーが大会レコードのトータル20アンダーをマークして制したこの舞台ですが、基本的には非常にタフなセッティングです。今のグレイサーマンなら、思い出のコースを彼らしい論理的なアプローチで冷静に攻略してくれるでしょう。逞しさを増した彼が、今週こそ『マックス・グレイサーマン』の名を優勝カップに刻み、オーガスタへの切符を掴む姿を期待したいですね」

知性と情熱を兼ね備えた彼のプレーが、テキサスの地でどのような結末を導き出すのか。マックス・グレイサーマンの初優勝への挑戦に、ぜひ注目してほしい。

U-NEXT 木村真希


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