難攻不落の「紫カントリークラブ すみれコース」で行われた「Vポイント×SMBCレディス」最終日。平均スコアが3日間を通じてオーバーパー(最終日平均 75.0以上)という過酷なサバイバルレースを制したのは、ベテランの笠りつ子だった。昨年シードを落とし、プロとしての崖っぷちに立たされていた38歳。「もう一回、自分を見つめ直そう」と必死にパターを練習し続けた日々が、最高の結果となって報われた。

運命の分かれ道。12番・13番の激動

画像: 18番はバーディで締めた笠(撮影/姉崎正)

18番はバーディで締めた笠(撮影/姉崎正)

最終組の戦いは、まさに一進一退の攻防だった。前半、粘り強く首位を走っていた笠だったが、13番で勢いに乗った神谷そらがバーディを奪取し、首位に並ぶ。しかし、ここからの「耐えるゴルフ」こそが、百戦錬磨のベテランの真骨頂だった。

14番・15番の死闘。明暗を分けた「執念のパー」

画像: 3人とも右の木へ打ち込むという珍しい事態(撮影/姉崎正)

3人とも右の木へ打ち込むという珍しい事態(撮影/姉崎正)

最大のドラマは14番(パー4)で訪れた。首位の神谷、追う笠の両名がティーショットを右の林へ打ち込んでしまう。まさに絶体絶命のピンチだった。

ここで神谷はレイアップを選択するも、ボギーを叩いて通算2アンダーに後退。対する笠は、林の下の最悪のライから左バンカーへ、その後執念のパーセーブを見せる。この1打が、勝負の天秤を再び笠へと傾けた。

一方、首位争いの佐久間朱莉も15番(185Y)で苦難を味わう。右アゲンストの風の中、絶妙なアプローチを見せるも、1メートルのショートパットがカップに嫌われボギー。「なかなかパッティングが決まらず、いい流れが来なかった」と悔しさを滲ませた。

「またこの舞台で話せるとは」涙の復活優勝

画像: 右側が笠りつ子の父、清也さん(撮影/姉崎正)

右側が笠りつ子の父、清也さん(撮影/姉崎正)

最終盤、17番でボギーを叩いた笠だったが、神谷が「りつ子さんがバーディを獲ると思っていた」と脱帽するほどの集中力を見せ、最終18番をバーディで締めくくった。18番グリーン上で、父でありキャディを務める清也さんと喜びを分かち合った。

優勝インタビューで、笠は溢れる涙を堪えながらこう語った。

画像: 涙ながらに明るく語ったインタビューは、様々なことを経験した笠らしい瞬間だった(撮影/姉崎正)

涙ながらに明るく語ったインタビューは、様々なことを経験した笠らしい瞬間だった(撮影/姉崎正)

「まさか、またこの舞台で話せるとは思っていませんでした。シードを落としてから、本当にきついこともありましたが……。でも、諦めなくて良かったです」

「(父・清也さんとは)喧嘩もしましたけど、一番近くで支えてくれた。今夜は美味しいお酒を一緒に飲みたいですね」

若手の台頭が著しい女子ツアーにおいて、下を向かず前を向き続けた38歳の戴冠。その強さは、初春の紫カントリーにおいて一際大きな輝きを放っていた。

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