軽くしたら0.25インチ長くする。おすすめのチューンです
GD ドライバーが60グラム台だった頃、アイアンの軽量スチールシャフトといえば90グラム台の「NS950GH」(以下、950GH)が主流でした。ドライバーとアイアンが「60対90」グラムという重量差の図式だったわけですが、今はドライバーが50グラム台に完全に移行したと言えます。そうなると、アイアンも90グラム台ではなく、80グラム台なのではないか、という考え方が出てきます。
長谷部 その考えはあると思います。あとひとつ、個人的な感覚ではアイアンのレングス(長さ)を少し長くしたほうが、振り感も含めて良くなるのではないかと考えています。
GD 長いというのは、半インチ(0.5インチ)くらいですか?
長谷部 0.25インチ長くする程度です。違和感のない範囲で良いと思います。少し長くして、バランスが例えば「D0」から「D1」になったとしても、全体的な重量配分が変わります。シャフトを軽くしただけではヘッド重量が相対的に軽くなることも考慮して調整するのが良いでしょう。
GD ヘッドの重量と長さに対して、比例して軽く感じるということですね。
長谷部 総重量も軽くなりますから。同じ長さのままシャフトだけを軽くすると、ヘッドが効かなくなり、「タイミングの取り方」や「リズム」が変わってしまう恐れがあります。ですから、アイアンでもシャフトを軽くする時は、少し長めに設定したほうが振り感は良くなるはずです。
GD 10グラム下げて0.25インチ長くしたとしても、トータルウェイトとしては…… 。
長谷部 全然軽いので、そこは安心してください。
GD 90グラム台から80グラム台にした場合、バランスは下がるのでしょうか。
長谷部 単純にそのまま入れ替えると、かなり軽くなるので1から2ポイントくらい軽くなると思います。
GD 先端重量が軽くなることで「軽く感じる」という理解でいいわけですね。
長谷部 はい。ですから、あえてヘッド重量を重くして(例えばネックに「錘」を入れるなど)バランスを合わせるよりも、長さで調整したほうが良い組み合わせになることもあります 。
GD 軽量スチールといえば「950GH」一択という時代が長く続きましたが、最近はどうですか? 吊るしのアイアンで80グラム台が用意されていることは増えているのでしょうか。
長谷部 増えましたね。ディスタンス系のアイアンなどでは「NS850GH neo」(以下850neo)を標準採用するケースが増えており、以前の「950GH」一強が徐々に崩れつつある傾向を感じます。
GD アスリートモデルに関しては、まだ950系が多いですか?
長谷部 軽い方で「NS950GH neo」(以下、950neo)、重い方だとDG(ダイナミックゴールド)やモーダスになります。
GD 日本シャフトだと「モーダス105」あたりになりますか。
長谷部 「モーダス105」と「950neo」は、クラブ総重量では期待ほど重量差がありません。シャフト単体のS同士で約8グラムですが、バランスポイントが1%違うこともあり、総重量比較では3グラム差になってしまうので、似たような重量帯と言えます。ラインナップとしては「950neo」を生かすなら「モーダス115」のほうが選択肢としては良いかと思いますが、「モーダス105」が実績として長く扱われているので致し方ないのかな? と思います。
GD アスリートモデルを使っていても、リシャフトの際、先ほどのように「軽くして少し長くする」という考え方は有効ですね。
長谷部 そうですね、最終的に総重量を軽くして、振りやすくすることが目的ですから。バランス調整でヘッドを重くするのはあまりお勧めしません。
GD 「950GH」に代わる80グラム台となると、日本シャフトには昔からの「850GH」、その進化版のような「850neo」、そして「ゼロス8」の3つがあります。それぞれの特徴を分かりやすく説明していただけますか。
長谷部 「850GH」はもともと「950GH」よりさらに軽いものを、という研究からより高弾道を求めて開発されました。二重のステップ形状が特徴でスピンも安定するので女子プロにも使用が多いですね。「950GH」より先重心ですからヘッド重量が少し軽くてもバランスが出やすく総重量も軽くなるのと、「950GH」から変更する場合はシャフトの動きが違って感じることがあるので注意が必要かなと思います。
一方で「850neo」は、「950neo」の流れを汲み、手元の径を細く中間剛性を高めに設計し、パワーロフトや大型ヘッドにも対応できる安定性を持っています。「850GH」を使っている人が「850neo」にスイッチすると、少し動きがおとなしいと感じるかもしれません。
GD 「neo(ネオ)」はマイルドなんですか。
長谷部 マイルドというのは個人的な感覚の表現なのでなんともいいづらいですね(笑)。ただ、中間が比較的硬めでしっかりしつつ、先端剛性が低くいためボールは上がりますし、打感も“マイルド”ですね。対して「850GH」は、シャフトがしなって弾くという特性が際立っていると思います。
最後に「ゼロス8」ですが、これはまったくの別物です。950系や850系の技術で軽量化を追求しても、素材の強度的に限界があったそうで、「世界最軽量」を目指して素材から新たに作られたのが「ゼロスシリーズ」です。最初に「ゼロス7」、次に「ゼロス8」を開発しさらに世界一軽量の「ゼロス6」が作られました。
従来とは素材そのものが違うため、スチールでありながらカーボンシャフトに近いしなり戻りを感じられるのがゼロスシリーズの特徴と思います。
GD アマチュアの場合、打点のブレが大きく、違いを感じにくい面もあるかと思います。そうなると、他から情報を得て、それを信じるしかありません。
長谷部 そうですね。ただひとつ言えるのは、今の比較は「7番アイアン同士」の話でしかない、ということです。7番で打ち比べて違いが分かっても、それが長い番手や、逆にウェッジに近い9番やピッチングになった時にどう感じるか。特に軽量化すると、下の番手で「軽すぎて振りづらい」といった傾向が出る可能性もあります。
GD 現実的にこの3つを打ち比べられる機会は少ないです。何か指針のようなものはありますか。
長谷部 「ゼロス8」や「ゼロス7」は、これまで70〜80グラムのカーボンシャフト(例えばゼクシオのアイアンなど)を使っていて、「カーボンだとタイミングが取りづらい」、「一定方向のミスが出る」という人にぜひ試してほしいですね。カーボンのような振り感を求めつつ、スチールの安定性を得たい人には「ゼロス8」がおすすめです。
GD 「850GH」はどうですか。
長谷部 女子プロでも定番の人気シャフトですから、変えられない人も多いそうですね。もし今「950GH」を使っていて、軽くしたいのなら「850GH」や「ゼロス8」を試してみるのが良いと思います。「850neo」だとシャフトの動きがおとなしすぎて、しなり感や弾き感が物足りなく感じるかもしれません。
GD 飛距離で比べると、どのような順番になりますか。
長谷部 安定度なら「850neo」、飛ばしなら「ゼロス8」、その中間が「850GH」。こんなイメージでしょうか。
GD ドライバーが50グラム台なら、アイアンは80グラム台という基準はなり得そうですか?
長谷部 理論上はその通りですが、アイアンのヘッドサイズはドライバーほど劇的に進化していません。重心距離も37から38ミリで大きく変わっていないため、全体の振り感で見た時のシャフト単体での「10グラムの差」は、アイアンでは意外と感じにくい部分でもあります。クラブ長さやバランスも加味した総重量も考慮したほうが良いと思います。
GD では、「軽くしたほうがいいタイプ」と「重いままがいいタイプ」はどう分かれますか。
長谷部 軌道が安定しない人は、重いほうがクラブに「振られる」感じになり、ダフらなければ安定します。「950GH」から「モーダス」に変えてスライスが直ったりとか、また女性が男性用の重いクラブを使うと稀にショットが安定することがあります。これは振り切れない分、余計な動きをしないからですね。
ただ、飛距離とスウィングの安定度を両立させたいなら、重いことによるデメリット、つまり「振り切れないから飛ばない」という状態は解消すべきです 。
GD 振れるのに軽くするのがデメリットになることもある?
長谷部 重すぎて飛距離が落ちてきた時こそが替え時です。7番で150ヤード飛ばない、どうしよう? ロフトを立てるとかヘッドを変えることよりも、総重量を軽くするためのシャフトチェンジは一度考えて欲しいですね。
GD 練習場で100球打ってしんどいと感じるならチェンジということですね。
長谷部 ラウンド後半に急にダフりが出るような人は、クラブを振り切れていないかもしれません。短く持つなどの対処法もありますが、気持ちよく振れなくなってきたら、軽いクラブを試すチャンスだと思います。
【購読のご案内】
ギアの裏側を深掘り開設する「長谷部祐とギア問答!」は、ゴルフダイジェスト公式メールマガジンで定期配信(購読無料)しております。みんなのゴルフダイジェストサイト内「編集部公式メールマガジン」のバナーをクリック、または下記URLから購読登録をお願いします。
【ツアークオリティのクラブ工房からのお知らせ】
みんなのゴルフダイジェストおよび、編集部公式メールマガジンで連載中の「ツアークオリティのクラブ工房」では、国内大手メーカーで27年間トッププロやトップアマのクラブサポートをしてきたクラフトマン今井正人氏(ゴルファーズラウンジ by tantanto.)への「クラブ相談」を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
■アイアンのリシャフト「サブロク・キャンペーン」開催中!
●費用3万6000円(アイアン6本、税込み)
※アイアン1本からリシャフトを承ります。料金に含まれるもの。シャフト代、組み直し作業、長さ、ライ角、ロフト、バランスなどの各種調整。
※グリップ代は別途。再利用可能な場合は、キャンペーン対応といたします(無料)。「希望するシャフト銘柄」によって料金が異なる場合があります。
■フィッティング料金/5000円(40分、税込み)
※「キャンペーン」ご利用者限定の「特別料金」となっています。フィッティング後、商品発注となるため、作業日は別日とさせていただきます。
■場所/東京都港区赤坂2-13-18コリンズ33 B1F(バーディ赤坂24内)
※郵送(送料別)での対応もさせていただきます。「作業立ち合い」をご希望の方は、作業日時のご予約をお願いします。
※問い合わせ/ゴルファーズラウンジby tantanto.

