ゴルフの祭典、マスターズ開幕まで残りわずか1週間。1922年に初開催された米国で3番目に古い歴史を持つ大会「バレロテキサスオープン」が、テキサス州のTPCサンアントニオを舞台に開幕する。この大会は単なるツアートーナメントの枠を超え、選手たちの人生を左右する熱気と殺気に包まれている。その輝かしい伝統以上に現在のゴルフファンに強い緊張感を与えているのが、この大会が持つ「マスターズへの最後の関門」としての顔だ。フィールドには松山英樹をはじめ、すでに出場権を持つ22名がいる一方で、まだ招待状を持たない110名の選手たちが「最後の一枠」を狙っている。
画像: 左から世界ランク64位の久常涼、同65位のリッキー・ファウラー、同107位のトニー・フィナウ(撮影/岩本芳弘)

左から世界ランク64位の久常涼、同65位のリッキー・ファウラー、同107位のトニー・フィナウ(撮影/岩本芳弘)

久常涼の「一石二鳥」の戦い

日本勢として出場する久常涼が置かれている状況は、ヒリヒリとした緊張感に満ちている。現在、彼は次戦のシグネチャーイベント(昇格大会)である「RBCヘリテージ」への出場権を争う「Aon Next 10」のポイントランキングにおいて、578.606ポイントで堂々の5位につけている。今大会で確実に上位に食い込めば、限られたトップ選手だけが出場できるビッグトーナメントへの切符を確定させ、シーズン後半の戦いを極めて優位に進めることができる。

しかし、久常の視線の先にはさらに大きな獲物がある。彼にはまだマスターズの出場資格がない。もしこのテキサスでPGAツアー初優勝を飾ることができれば、「昇格大会への切符」と「オーガスタへの最後の1枠」を同時に手にするという、信じられないようなシンデレラストーリーが現実のものとなる。

スターたちの焦燥と「優勝のみ」のプレッシャー

今年、その「最後の椅子」を奪い合う争いは例年以上に過酷だ。なぜなら、その110名の中には、世界中のファンが愛するビッグネームたちが含まれているからだ。

PGAツアー通算6勝を誇るリッキー・ファウラーや、トニー・フィナウといったスター選手たちでさえ、今年はまだオーガスタへの切符を手にしていない。ファウラーは自身12回目、フィナウは9回目のマスターズ出場という誇りを懸けて、まさに「優勝以外に道はない」という絶望的なプレッシャーの中でティーグラウンドに立つ。彼らにとって、2位も予選落ちも同じ意味しか持たない。攻めて、攻めて、攻め抜くしかないのだ。

過去の「下剋上」の歴史が証明する奇跡

「テキサスでの優勝は、単なる1勝ではない。人生を変える1勝だ」

そう語り継がれるのには理由がある。過去6年間を振り返ってみても、この大会で優勝をもぎ取り、劇的な形でオーガスタ行きを決めた「下剋上」のドラマが幾度も生まれているからだ。

●2019年: コーリー・コナーズ
●2022年: J・J・スパーン
●2024年: アクシャイ・バティア

彼ら3名は皆、このサンアントニオの地で最後の最後にマスターズへの扉をこじ開けた。誰にでも奇跡を起こすチャンスは残されているのだ。

激闘の末、日曜日の夕暮れに18番グリーンでトロフィーを掲げるのは誰か。大会の伝統であるルケーシー社製の黒いカスタムカウボーイブーツを履き、そのままジョージア州オーガスタ行きのフライトへと飛び立つ110分の1の奇跡の目撃者になろう。

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