ゴルフの祭典「マスターズ」。パトロン(観客)たちの目的は、マキロイやシェフラーといったマスターたちの勇姿だけではありません。実は、オーガスタナショナルGCの敷地内には、もう一つの“戦場”が存在します。それが、マスターズの公式グッズを販売する「ゴルフショップ」です。

ゲートオープンと同時に始まる「大行列」の正体

オーガスタの朝は早い。しかし、練習場や1番ティーに向かう人波以上のボリュームで人々が目標にする場所があります。巨大な「GOLF SHOP」の前には、早朝から目を疑うような長蛇の列。最後尾のプラカードには「2時間待ち」の文字が躍ることも珍しくありません。

画像: マスターズウィークの朝に必ず出現する大行列

マスターズウィークの朝に必ず出現する大行列

某夢の国の人気アトラクション並みの待ち時間を費やしてでも、彼らが手に入れたいもの。それは、ここでしか買えない「マスターズ・ブランド」のお土産の数々。キャップやTシャツ、フラッグといった定番品はもちろん飛ぶように売れていきますが、ここ数年、ショップ内で最も激しい争奪戦が繰り広げられているターゲットがあります。

それが、「GNOME(ノーム)」です。

そもそも「ノーム」って何?

ここで少し、ゴルフとは離れて「ノーム」という存在について説明しておきましょう。

ノーム(GNOME)とは、ヨーロッパに伝わる大地の妖精の一種。一般的には、長い髭を蓄え、尖った帽子を被った小さなおじいさんの姿で描かれます。地下で宝石や貴金属を守る守護神とされ、知恵者としての側面も持ちます。現代では庭園に置かれる「ガーデン・ノーム」として親しまれ、欧米では幸運をもたらす象徴として、多くの家の庭先で見かけることができるポピュラーな存在です。

2016年の登場以来、コレクターズアイテムに

この「おじいさんの妖精」が、陶器製の人形としてオーガスタのショップにお目見えしたのは2016年のこと。以来、その独特な愛らしさ(?)と「マスターズ仕様」のデザインが受け、瞬く間に看板商品となりました。

ノームには大小のサイズがありどちらも大人気ですが、入手しにくいのは高さ約30センチの大きなタイプ。価格は約60ドル。現在の為替レートを考えると決して安くはありませんが、人気の秘密はその「希少性」にあります。

画像: カナダから来たスコットさんもノームをゲット

カナダから来たスコットさんもノームをゲット

ノームのデザインは毎年変わり、その年を逃すと手に入りません。そのためコレクターズアイテムとしての価値が上がっており、ネットオークションでは定価の数倍、ものによっては10万円以上の値が付くことも珍しくないといいます。ゴルフ界屈指の「人気おじいさん」なのです。

取材班も1時間45分並んで2026年モデルをゲット!

画像: 「ゲットできるのか?」そんなに欲しかったわけでもないのに、ついつい「ノーム」を目で追ってしまう

「ゲットできるのか?」そんなに欲しかったわけでもないのに、ついつい「ノーム」を目で追ってしまう

会計は「1人1体まで」という購入制限があるため、同行者に頼み込んで複数買いする人も。果たして純粋なコレクション用か、それとも転売目的か……そんな邪推をしながら、我々取材班も覚悟を決めて列に飛び込みました。

待つこと1時間45分。ショップの喧騒の中、ついにターゲットを確保!

画像: 2026年「ノーム」(大)。実際に開閉できる傘が特徴的。キャップ、ベスト、カップもマスターズ仕様

2026年「ノーム」(大)。実際に開閉できる傘が特徴的。キャップ、ベスト、カップもマスターズ仕様

今年のノームは、「マスターズのロゴ入り傘」を手にしたデザイン。驚くべきは、その傘が実際に開閉できるという凝った作りなこと。マスターズのパトロンを彷彿とさせる出で立ち、そしてリアルな傘。きっとファンにはたまらない仕上がりでしょう。苦労して手に入れた瞬間の謎の達成感に、並んだ疲れも吹き飛びました。

緩みっぱなしの財布のひも。1ドル160円は「禁句」

しかし、ショップの恐ろしさはここからです。お目当てのノームをショッピングバッグに入れた後、そのままレジへ直行できる人は果たして何人いるでしょうか。

壁一面に並ぶ50種類以上のキャップ、洗練されたデザインのTシャツ群、使い勝手のよさそうなヘッドカバー、そして自宅に飾りたいピンフラッグのレプリカ……しかも、日によって違うアイテムがお目見えするといいます。「ここでしか買えない」という言葉が、パトロンたちの理性を奪っていきます。

我々にとって気になるのは昨今の円安事情。しかし「今、1ドル160円だから……」と計算し始めたら、とてもレジには並べません。ここは夢の舞台オーガスタ。聖地への巡礼記念に、野暮な計算は無用でしょう。

画像: スタッフで買いあさった「マスターズ」のお土産(※一部抜粋)

スタッフで買いあさった「マスターズ」のお土産(※一部抜粋)

レジを抜け、気づけば両手いっぱいのショップ袋。1時間45分並んで手に入れたのは、これから始まる「マスターズの思い出」そのもの。

もし皆さんがオーガスタを訪れる機会があれば、ぜひ「ノーム」を探してみてください。ただし、十分な忍耐力と、少しばかり麻痺した金銭感覚を持っていくことをお勧めします。

PHOTO/Yoshinori Iwamoto


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