世界2位を沈めたシャドークリークの罠
今大会の舞台となったシャドークリークは、同スコアで2位タイに入ったレオナ・マグワイアが「私が今年プレーした中で、本当に最も難しいコースだった」と評したほど、メジャー級の過酷なセッティングだった。
コルダの最終日のスタッツを見れば、その罠がいかに深く彼女のゴルフを狂わせたかが浮き彫りになる。首位を追う立場でスタートした最終日、コルダは「75(3オーバー)」と大苦戦を強いられた。生命線であるフェアウェイキープ率は「42.9%(6/14)」まで落ち込み、それに伴ってパーオン率も「50.0%(9/18)」へと低下。さらに、硬く速いグリーン上でパット数も「31」を要した。
「このゴルフコースは残酷だわ。特にグリーンの間違ったサイドに乗せてしまうとね」
【動画・約20分】アラムコ選手権最終日ハイライト、ネリー・コルダの苦難がわかるアプローチは02:51~と04:21~【LPGA公式YouTube】
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www.youtube.com試合後、コルダはそう痛切に語った。ティーショットの不調により本来いるべきではない厳しいポジションからグリーンを狙うことを強いられ、アプローチを寄せることすら困難な「間違ったサイド」に外してしまう。世界屈指の技術を持ってしても、一度狂った歯車を戻すことを許さないシャドークリークの恐ろしさが、この数字に如実に表れている。
勝者との明暗:コフリンの「忍耐」と「アイアンのライ角調整」
対照的に、通算7アンダーで圧勝したローレン・コフリンのゴルフは徹底されていた。彼女は強風と硬いグリーンを前に、ピンをデッドに狙うのではなく、グリーンの真ん中(安全なエリア)を狙い続ける「忍耐のゴルフ」を貫いたのだ。さらに、4日間で3パットをわずか1回に抑え込むなど、グリーン上での圧倒的な安定感が勝利を支えた。
そして、コフリンの勝因には技術的な裏付けがあった。それは「アイアンの調整」だ。彼女は今年に入ってアイアンのシャフトを変え、さらに「極端にフラットだったライ角を2度フラットに調整した」ことが大きな違いを生んだと語っている。右へ抜ける弱い球を防ごうと無意識にスウィングを狂わせていた要因を取り除いたことで、プレッシャーのかかる場面でも狙い通りのアイアンショットが打てるようになったのだ。この微細な技術的調整が、勝利への最後のピースとなったのである。
最強の敗者が語った本音と、次戦への光

ホールアウト後に優勝したローレン・コフリンを称えるネリー・コルダ(PHOTO/Getty Images)
出場3試合連続で2位という、あまりにも過酷な結果。しかし、試合後のコルダの言葉には、悔しさよりもトップアスリートとしての達観した強さが滲んでいた。
「スポーツというのは面白いもので、よく考えてみれば勝つことよりも負けることのほうが多い。だから、いつも自分を奮い立たせて、練習と努力を続けなければならないわ」
世界トップに君臨する勝負師だからこそ、勝利への渇望は誰よりも強い。それでも彼女は、自らのゴルフの底堅さを肯定し、こう前を向いた。
「今の自分の位置に謙虚になり、幸せに感じなければならない」
どれほど残酷な結果を突きつけられても、現状に感謝し、前を向き続ける強靭なメンタリティ。それこそが、ネリー・コルダが「最強」である証だ。「あと1歩」に泣き続ける世界2位が、この計り知れない経験を糧にし、次戦以降のメジャー大会でどのような爆発を見せるのか。真の頂点を掴み取る彼女の姿を、世界中のゴルフファンが待ち望んでいる。

