オーガスタに吹き荒れるマキロイ独走の嵐。しかし、その背後には不気味なほどに冷静で、確かな実力を持った男たちが追走している。36ホールを終えたリーダーボードの上位に食い込んだ、ジャスティン・ローズ(4位タイ)、トミー・フリートウッド(4位タイ)、そしてティレル・ハットン(7位タイ)の3人だ。マスターズにおいて、イングランド勢3人が36ホール終了時点でトップ10に入るのは、2013年(ローズ、デビッド・リン、リー・ウエストウッド)以来、史上2度目となる快挙。独走を許さない強固な「イングランド包囲網」が完成しつつある。

ハットンが打ち立てた過去30年で3人目の大記録

この日、誰よりも完璧なボールストライキングを見せたのはティレル・ハットンだ。彼は第2ラウンドにおいて、なんと「18ホールすべてでパーオン」を達成した。

画像: 2日目、パーオン率100%という驚異的な数字で7バーディ1ボギーの「66」で回り、40位タイから7位タイに浮上したティレル・ハットン(撮影/岩本芳弘)

2日目、パーオン率100%という驚異的な数字で7バーディ1ボギーの「66」で回り、40位タイから7位タイに浮上したティレル・ハットン(撮影/岩本芳弘)

ガラスのグリーンと称されるオーガスタにおいて、この記録がいかに異常なものか。マスターズの過去30年間を振り返っても、1ラウンドで18ホール全てパーオンを達成したのは、ジム・フューリック(2009年第1R)とケビン・ナ(2020年第1R)のわずか2人のみ。ハットンは歴史に名を刻む3人目の快挙を成し遂げたのだ。

LIVゴルフからのメジャー参戦に伴う調整の難しさを問われたハットンだったが、「調整はない。自分が出場するもう一つのトーナメントというだけだ」と一蹴。「どこでプレーしようと、どんなトーナメントであろうと、常にベストを尽くして勝つチャンスを作るために準備をする。今週もその点では何ら変わりはない」と、持ち前の強気な姿勢を貫いている。

フリートウッドのキャリア初イーグルと、二人三脚のマネジメント

画像: この日、フィールド全体で4つしかないイーグルのうち2つをもぎ取ったトミー・フリートウッド(撮影/岩本芳弘)

この日、フィールド全体で4つしかないイーグルのうち2つをもぎ取ったトミー・フリートウッド(撮影/岩本芳弘)

同じく好調を維持するトミー・フリートウッドは、この日2つのイーグルを奪ってリーダーボードを駆け上がった。実は、8番(パー5)で奪った最初のイーグルは、彼にとって記念すべきものだった。「16番でホールインワンをしたことはあるけれど、それ以外でパー4やパー5でイーグルを奪ったのはこれが初めてだったんだ。良いドライブが打てたし、スコアを伸ばすチャンスだと感じていた。イーグルはボーナスのようなものだったね」と笑顔を見せた。

さらに15番(パー5)でもイーグルを奪取したが、こちらはキャディを務めるイアン・フィン(愛称:フィノ)のファインプレーだったという。「風が回っていて読むのが難しかったんだけど、15番はフィノが的確に読んでくれた。セカンドのクラブ選択もそうだし、パットのラインも僕が思っていたよりも高く読んでくれた。15番はほぼフィノのおかげだよ」と相棒を讃えた。

25年のツアー選手権でPGAツアー初優勝し、いよいよ本格的にメジャー初制覇が見えてきたのではないか、という問いに対し、フリートウッドは「そうだと思う」と力強く頷いた。「これらのメジャーで競争し、優勝争いに加わりたい。そしてもちろん、勝ちたいんだ」。

ベテラン・ローズが見抜く「乾いたオーガスタ」

そして、彼らを牽引する最年長のジャスティン・ローズも4位タイと絶好のポジションにつけている。彼が警戒するのは、週末にかけてコースがさらに牙を剥くという事実だ。

画像: 25年マキロイとのプレーオフに敗れたジャスティン・ローズは26年もいい位置で週末に入った(撮影/岩本芳弘)

25年マキロイとのプレーオフに敗れたジャスティン・ローズは26年もいい位置で週末に入った(撮影/岩本芳弘)

「この大会の4日間で雨が降らないのは15年ぶりだと誰かが言っていた。どんどん乾燥してきているのが分かるし、皆が歩いているこの辺りのエリアは、もはやゴルフコースというよりクリケットのピッチのように感じるよ」

歴戦の錬磨であるローズの言葉通り、オーガスタのグリーンは週末に向けてさらに硬く、速くなっていくはずだ。経験豊富なローズ、悲願を狙うフリートウッド、そして記録的なショットのキレを見せるハットン。この「イングランド・トリオ」が、週末のオーガスタでどのような反撃を見せるのか、マスターズの真の戦いはここから始まる。

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