オーガスタの“後遺症”と、平坦なコースの癒し
前週のマスターズは、選手たちの肉体を容赦なく削り取ったようだ。トーマスはオーガスタでの戦いを「信じられないほどの試練で、今年最も過酷な歩行だった」と振り返る。
アップダウンの激しいコースと極限のプレッシャーは、選手たちの体に大きなダメージを残した。「月曜の午後、メディカルルームは股関節や太ももを痛めた選手で大忙しだったよ」と、華やかな舞台の裏にある生々しい疲労感を明かした。
それに対し、今週の舞台であるハーバータウン・ゴルフリンクスは平坦な地形で知られる。「ここは本当に歩きやすくて、まるで宙に浮いて走っているように感じるよ」と、トーマスは安堵の表情を見せた。過酷なメジャー大会を終えた直後だからこそ、このコースのフラットな造りが選手たちにとってどれほどの癒しになるかが伝わってくる。

25年RBCヘリテージ覇者であるジャスティン・トーマス(写真は26年マスターズ、撮影/岩本芳弘)
大砲の音と、愛娘と過ごすリラックスタイム
RBCヘリテージといえば、18番ホールでの開幕を告げる大砲の発射が恒例行事だ。伝統のセレモニーに参加したトーマスだが、「とても音が大きくてかなり怖かった。耳栓をしていて良かったよ」と率直な感想を漏らし、会場の笑いを誘った。
【動画】耳栓して挑んだトーマスの始球式【PGAツアー公式インスタグラム】
また、オフの時間の過ごし方について問われると、もうすぐ1歳半になる愛娘・モリーちゃんの話題で顔をほころばせた。「ビーチに行って遊ばせるのを楽しみにしているよ」と語る姿は、勝負の世界から一時離れた、ひとりの優しい父親そのものであった。
世界100位の選手と自分を分ける「強さの哲学」
しかし、ゴルフの話題になれば、彼の眼光は再び鋭さを取り戻す。記者から「世界ランキング100位の選手とあなたを分けるものは何か?」という本質的な問いが投げかけられたとき、彼はまず「ボールストライキング(の差だ)」と答えた。
しかし、すぐに深く考え込み、さらに自らの内面へと掘り下げていった。
「才能やスキルも当然必要だ。だが、私の『労働倫理(ワークエシック)』、そして『トーナメントで勝ちたい、最高でありたいという衝動(ドライブ)』が、今の自分を形成している大きな要因だと思う」
誰もが羨む才能を持ちながらも、それに甘んじることなく、誰よりも猛烈に練習し、誰よりも勝利に飢え続ける。その異常なまでの「衝動」と「労働倫理」こそが、ジャスティン・トーマスという男を世界の頂点へと押し上げ、メジャー王者へと変貌させたのだ。腰の手術という試練を乗り越え、再び王座防衛に挑む彼のプレーに、その強さの真髄を見ることができるだろう。
