岩井千怜の「アグレッシブなゴルフ」がハマる理由
首位を猛追する岩井千怜の強さは、なんといってもそのアグレッシブなプレースタイルにある。初日に大会の18ホール最少スコアタイ記録となる「63」を叩き出した彼女は、強風に見舞われた2日目も5つのバーディを奪って「68」をマーク。通算13アンダーとし、首位にわずか1打差へと肉薄している。

1打差の2位で週末に入る岩井千怜(写真は26年富士フイルム・スタジオアリス、撮影/大澤進二)
ラウンドを終えた岩井は、「フロントナインでは短いバーディパットを外す場面もありましたが、ドライバーとセカンドショット、そしてスウィングが一貫して安定していました」と、自身のプレーに確かな手応えを感じている様子だった。
その言葉を裏付けるように、2日目は14ホール中11ホールのフェアウェイをキープし、18ホール中15ホールでパーオンに成功。さらに36ホールを終えて計12個のバーディを奪い、フィールド全体で3位タイのバーディ数を誇るなど、強風の中でも安定していたという本人のコメントに強力な裏付けが出ている。
現在のゲームで最も強みだと感じる部分を問われると、「やはりドライバーです。このコースはティーショットが重要になりますから」と冷静に分析。さらに、「コースが長すぎず、セカンドショットを短いアイアンで打てるため、『アグレッシブなゴルフ』がしやすいんです(笑)」と、自身の代名詞である攻めのゴルフが、エル・カバレロCCのレイアウトに完璧にハマっている理由を笑顔で解説した。
午後に入り、「バックナインはグリーンが硬く、速くなってきた」と環境の変化を感じ取っているが、彼女自身はもともと速いグリーンを好んでいる。「明日もアグレッシブに行く必要がある」と語る彼女の眼差しには、週末の激闘に向けた強い決意が宿っていた。
勝みなみの安定感と、立ちはだかる海外勢
岩井とともに日本勢を牽引するのが勝みなみだ。初日を「67」でスタートした勝は、難コンディションとなった2日目も堅実なプレーで「69」をマーク。連日の60台で通算8アンダーとし、堂々の7位タイで決勝ラウンドへ駒を進めた。強風の中でもスコアを崩さないその安定感は、週末の逆転劇を十分に期待させるものだ。
しかし、彼女たちの前に立ちはだかる海外勢も猛威を振るっている。通算14アンダーで単独首位に立つキム・セヨン(韓国)は、「昨日よりも風が弱く、ピンを積極的に攻めることができた。バックナインで多くのバーディを奪えた」と語り、この日「65」を叩き出して盤石の強さを見せつけている。彼女の凄みはデータにも表れており、ここまでの36ホール中33ホールでパーオンに成功(フィールド1位タイの驚異的な精度)している。さらに、過去に36ホール終了時点で首位(または首位タイ)に立った19回のうち10回で優勝しており、トップ5を外したことが一度もないという驚異的な勝率データを誇る。日本勢の前に立ちはだかる「絶対的本命」としての壁は高い。
また、通算12アンダーの単独3位に急浮上したユン・イナ(韓国)は、フロントナインで9ホール「29」という驚異的なスコアを記録。「人生初のハーフ29で、信じられなかった」と興奮気味に語るほどの爆発力を見せた。2日目の「64」は彼女のLPGAツアーにおける自己最少スコアタイであり、通算132ストロークも36ホール終了時点での自己最少記録。神がかった爆発力を見せ、優勝争いに名乗りを上げた。
メジャー前哨戦のサバイバル
翌週には今季初のメジャー大会「シェブロン選手権」が控えており、各選手にとって今大会の週末は極めて重要な意味を持つ。首位のキム・セヨンが「メジャーはコース条件がタフで、優れた戦略とメンタルが求められる」とすでに気を引き締めているように、ロサンゼルスの週末もメジャーさながらの過酷なサバイバル戦になることが予想される。
ビッグスコアを連発して勢いに乗る海外の強豪たちを相手に、岩井千怜の「攻めのゴルフ」がどう牙を剥き、悲願の米ツアー制覇を掴み取るのか。そして、安定感抜群の勝みなみがどこまで上位に食い込んでいくのか。

