世界最高峰の女子プロゴルファーが集う26年海外女子メジャー初戦の「シェブロン選手権」が4月23日にヒューストンのメモリアルパーク・ゴルフコース(6811ヤード・パー72)で開幕した。今季の女子ゴルフ界を席巻しているネリー・コルダの勢いは、メジャーの大舞台でも全く衰える気配がない。彼女は世界ランキング上位の貫禄を存分に見せつける圧巻のプレーを展開し、7バーディ・ノーボギーの「65」でラウンドし、首位スタートを切った。

圧倒的なスタッツと、初日の流れを決めた「1番のパーセーブ」

今年から大会の舞台となったメモリアルパークGCは、開幕前に降った大雨の影響で地面が非常に柔らかくなっている。ボールのラン(転がり)が出ないことで長大なコースがさらに長く感じられるだけでなく、ボールに泥が付着する「マッドボール」の恐怖が選手たちを悩ませている。泥がついたボールは空中での軌道が予測不能になり、プロの技術をもってしてもコントロールが困難になるからだ。

そんな過酷なサバイバルコンディションの中で、コルダは7アンダーの「65」をマークし、単独首位発進を決めた。特筆すべきは、彼女がこの日「ボギーフリー」のラウンドを達成したことだ。コルダがメジャー大会でボギーフリーを記録したのは、2024年の「AIG女子オープン(全英女子)」以来の快挙である。さらに、パー5だけで4アンダーを稼ぎ出すという、持ち前の圧倒的な攻撃力も遺憾なく発揮された。公式のスタッツメモによれば、彼女は過去2回のメジャー優勝において、パー5でトータル「21アンダー」を記録しているという。このパー5での取りこぼしのなさは、今大会での優勝確率がいかに高いかを物語っている。

完璧に見えるスコアカードだが、本人はラウンド後の会見で、この日の流れを決定づけた“隠れたハイライト”を明かしている。インコース(10番)スタートだった彼女は、後半の1番ホールでティーショットを曲げ、難しいパーパットを残していた。

「1番ホールで6〜7フィートの難しいスライスパットを沈めなければ、ボギーになるところだった。あれをしっかりセーブできたのが大きかったわ」

画像: 世界ランク2位で26年シーズンは出場4試合で優勝1回、準優勝3回とほぼパーフェクトな成績を残しているネリー・コルダ(写真は24年シェブロン選手権、撮影/岩本芳弘)

世界ランク2位で26年シーズンは出場4試合で優勝1回、準優勝3回とほぼパーフェクトな成績を残しているネリー・コルダ(写真は24年シェブロン選手権、撮影/岩本芳弘)

泥や風といった不確定要素が多い中、序盤の極限の集中力でピンチを凌いだことが、その後のバーディラッシュへと繋がったのだ。

タフな設定への愛と「完璧な6番アイアン」

悪条件となればなるほど、女王のモチベーションは燃え上がる。「私は難しいゴルフコースが大好き。ロングでタフなコースは、自分のすべてのゲーム(技術)をテストしてくれるから」と、コルダはこの過酷なセッティングを大いに歓迎している。

その言葉を体現したのが、後半の2番(パー3)での一打だった。強烈な傾斜を越えなければならず、さらにドローヒッターの彼女にとって非常に打ちづらい左からの風が吹き付けるシチュエーション。ここで彼女は6番アイアンを手にし、迷いなく振り抜いた。

【動画】ネリーが「今日いちばんのアイアンショット」と話す2番のティーショットは00:13~【LPGA公式YouTube】

画像1: Nelly Korda Highlights | The Chevron Championship Rd. 1 www.youtube.com

Nelly Korda Highlights | The Chevron Championship Rd. 1

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「ターゲットの少し左を狙ってストレートボールを打ち出し、風に乗せてピンそばに落としたの。今日一番のアイアンショットだったわ」

自然の脅威を完全に計算し尽くし、自らの技術でねじ伏せた完璧な一打だった。

そして、完璧なショットだけでなく、ミスをリカバリーする能力と心の余裕も現在の彼女の“隙のなさ”を表している。2番ホールでの会心の一打の直後、実は3番ホール(パー5)のセカンドショットで「6番アイアンをダフってショートしてしまったの」と本人が笑いながら明かしている。しかし、そこから難なくリカバリーして見事バーディを奪ってのけた。ミスをしても簡単にスコアを伸ばしてしまう底力が、いまの彼女には備わっている。

最強の女王を支える「チーム・ネリー」の絆

圧倒的な強さを誇るコルダだが、彼女はその成功の理由を自分一人だけのものだとは決して思っていない。会見では、彼女を支える「チーム」への絶大な信頼と感謝を口にしている。

「14歳の頃から私のスウィングを作ってくれているデイビッド(・ウィーラン)をはじめ、パッティングコーチ、フィジカル担当、そしてキャディのジェイソンまで。素晴らしいチームに恵まれているわ」

周囲の完璧なサポート体制と、休養をしっかり取って心身をリフレッシュさせるスケジューリング。技術、フィジカル、そしてメンタルのすべてが満たされた今の状態を、彼女は「自分の中に快適さと幸福感がある」と表現する。

さらに、ボギーフリーのラウンドを支えたパッティングの裏には、彼女の泥臭いハードワークがあった。「火曜日も水曜日も、許可されている時間帯に雨の中でずっとパッティングの練習をしていた」と語るように、圧倒的な才能に甘んじることなく、悪天候でも地道な準備を怠らない。

タフなコース設定を愛し、強固なチームの絆に支えられ、泥臭い努力も惜しまない絶対女王ネリー・コルダ。今週、彼女の独走を止めることは、誰にとっても至難の業となるのではないか。


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