「きっかけは小2」。
喘息克服のために始めたゴルフと、スカウトから始まったスケートの道

長森遥南:2002年4月25日生まれ。兵庫県神戸市出身。関西学院大学教育学部卒業後、株式会社シュゼット・ホールディングス入社。ミラノ・コルティナ冬季五輪のショートトラック女子3000 メートルリレー、女子1500 メートルに出場。ゴルフでは2018 年に日本ジュニアゴルフ選手権出場、プロテスト受験の経験もある
ゴルフもスケートも「きっかけは小学校2年のとき」。
ゴルフは「喘息持ちだったこともあり、親が『何かスポーツをさせよう』と情報を集めていたようで、新聞に出ていた『アマ・バンド&スポーツ』のジュニア体験レッスンに参加しました。当時は『プロゴルファーになりたい』なんて考えてもいませんでしたし、両親ともゴルフは未経験。小4くらいからジュニアの大会に出るようになりましたが、お父さんがコーチという選手が多いなか、うちは違って。それが良かったのかな(笑)。怒られたことはなくて、とにかく楽しかった。大会で何位になったとか、スコアがいくつだったとかの記憶もないんです」。

氷上競技部の部長・堀田暁さんは長森の良き理解者
一方のスケートは「幼稚園の卒園旅行でスケート場に行って出合い、ゴルフと同じく小2で教室に通うようになりました。実はゴルフとスケートのほかにも、バレエや水泳、ピアノなど、幼少期はいろんな習い事に通っていました。両親の方針でいろんなことにチャレンジさせてもらって、それは本当に良かったなと思います」。
スケート教室では「親はフィギュアをやってほしかったそうなんですが、たまたま担当の先生がスピードスケートのほうで。しかも、本当は私の友達のほうをスカウトしたかったらしいんですけど、その子が行けなくなっちゃって。私じゃなくて彼女が行っていたら、私はスピードスケートの道には進んでいなかったかもしれない。不思議な縁を感じます」。
ゴルフでは中学生になると徐々に成績が残せるように。中3で全国中学校ゴルフ選手権に、高1で日本ジュニアゴルフ選手権に出場し、「高校生の頃にはプロゴルファーを目指すようになりました」。
上田桃子に憧れ、石川遼に学ぶ。“引き寄せ”がプロへの夢を加速

スピードスケートの選手、そしてゴルフのプロテストを受験する程の腕前を持つ長森(写真左:Getty Images/写真右は本人提供)
当時の憧れの人は「上田桃子プロ。小学生の頃、トーナメント観戦に行ってボールをいただいたことがあります。確かOB後のピリッとしているところに声掛けしてしまった(笑)。でも、丁寧に対応してくれて。そのとき、『上田桃子』の名前をしっかり覚えて、こんなふうになりたいなと思うようになったんです」。
長森の“引き寄せ”の体験談はまだまだ。「2019年、高2のときなんですが、石川遼プロ発案のフューチャーGOLFツアー(男子ゴルフのツアー外競技。プロとジュニア選手が一緒に回る)に出て、石川プロと同組で回ったんです」と言う。
「カメラもずっとついているし、ギャラリーもたくさん。ドライバーはすごいだろうなあと予想していたのですが、アプローチの技術に驚きました。もう全部ピン筋なんです(笑)。びっくりでした」。
石川には「試合の前夜に眠れないときはどうすればいい?」と質問したという。石川いわく「俺も寝付けないことはよくあるよ。でも、人間、1日、2日は寝なくても大丈夫だから」。

「上田桃子プロの姿を見て、プロゴルファーに憧れるようになりました」と長森
その答えに「『遼くんでも寝られないことがあるんだ』と、なんだか安心したような気持ちになりました。自分が眠れないのも当然なんだって。そのやり取りは今でもよく覚えていて、大会前などに思い出します」。今でも石川とはつながりがあり、ミラノ・コルティナ五輪前は「頑張ってね」とメッセージをもらったという。
中学時代はゴルフとスケートの“熱量”はほぼ同じくらいで「今考えるとすごいスケジュールをこなしていました(笑)。学校行って、塾行ってスケート行ってゴルフ行って……。けっこう夜遅くまで活動していました。大変だったんですけど、全然嫌じゃなくて。むしろ楽しかった。ゴルフもスケートも塾も、それぞれの友達もいるし。とにかくイヤイヤながらにやったことがないんです」。
高校生で目標をプロゴルファーに絞り、集中。プロテストを受験するが、結果は「失格」だった。
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ゴルフとスケートに明け暮れたジュニア時代や石川遼との交流、そしてプロテストでのまさかの「失格」という挫折。続きでは、ゴルフから一転、スピードスケートで五輪代表へと登り詰めた軌跡や、現在は人気洋菓子ブランドの「パティシエ」として製造現場に立ちながら、世界の舞台で戦う異色の二刀流生活に迫っている。職場の仲間の支えを力に、2030年五輪での「メダル獲得」、そして将来の「ゴルフのクラチャン」という壮大な夢を語っている。パティシエ×五輪選手、そして再びゴルフへ。長森遥南の驚くべき挑戦の全貌。続きは週刊ゴルフダイジェスト5月12・19日号、Myゴルフダイジェストで掲載中!
PHOTO/Yujiro Kawatani、西村尚己/アフロスポーツ、Getty Images、本人提供(ゴルフ写真)、シュゼット・ホールディングス(製造写真)
週刊ゴルフダイジェスト5月12・19日号「長森遥南インタビュー」より