2026年5月2日、フロリダ州マイアミのトランプ・ナショナル・ドラル(7739ヤード・パー72)で開催されているPGAツアーのシグネチャーイベント「キャデラック選手権」の第3ラウンド。強風が吹き荒れる難コンディションの中、首位でスタートしたキャメロン・ヤングがこの日もスコアを2つ伸ばし、通算15アンダーで独走態勢に入った。2位との差はなんと6打。このリードは今季のツアー最大タイ記録であり、ツアー3勝目へ向けて盤石の体勢を築き上げた。

不運なキックにも動じない冷静さと、緻密な風の計算

ムービングデーとなる3日目、ヤングのスタートは決して順風満帆ではなかった。1番ホールでドライバーを振り抜き、残り距離から6番アイアンでグリーン中央を捉えたかに見えたショットは、ボールの不運な跳ね方(バウンド)によってペナルティエリアの池へと吸い込まれてしまった。

痛恨のボギー発進となったが、ヤングがこれで崩れることはなかった。「最悪のショットだったわけではない。良いバウンドなら水には落ちなかったし、平均的なキックでもピンに寄っていたはずだ。たまたま悪い方向に跳ねてしまっただけ。このコースは難しいし、そういうこともある」とラウンド後に冷静に振り返る。

さらに、第3ラウンドがいかにタフな条件だったかについて、ヤング自身は横風の難しさを挙げている。

「今日は強烈な横風ばかりだった。真横からの風の場合、計算上で10%のフォロー(助け)になるか、10%のアゲインスト(妨げ)になるかのわずかな違いで、ボールの飛距離にかなり大きな差が生まれてしまう。だからこそショットの形状や番手選びに極めて神経を使った」

不運を即座に受け入れる精神力と、この緻密な計算力、そして集中力が、今日の「70」というアンダーパーのスコアを支えた。事実、第3ラウンドを終えて彼の奪ったバーディ数「18」と、スクランブリング(リカバリー率)「15/18」は、ともにフィールド1位という圧倒的なスタッツを誇っている。

難コースでこそ研ぎ澄まされる集中力

今年のヤングといえば、ベイヒルクラブ&ロッジ(アーノルド・パーマー招待)やオーガスタナショナルGC(マスターズ)といった屈指の難コースで強さを発揮している。今大会の舞台である「ブルーモンスター」も、強風と巧みに配置されたハザードが選手を苦しめる超難関セッティングだ。

なぜタフな条件でこそ輝くのか。ヤングはその特異なゴルフ哲学を明かす。

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「スコアが伸びない展開のほうが、メンタル的には楽なんだ。すべてのホールでバーディを獲らなければいけないようなコースや、パーで上がっただけで負けているような気分になるコースは苦手だね。難しいコースのほうが、一打一打、そして目の前のタスクに集中せざるを得ない。過去や未来のことを考え出すとすぐに自分を見失ってしまうから、今いる場所に留まることだけを考えている」

無欲で挑む最終日、背後に迫る「絶対王者」

後続に6打差をつけて迎える最終日。今季、自身2度目となる54ホール終了時点での首位だが、「どんなリードも安全ではない」と手綱を緩めるつもりはない。

その言葉の裏には、背後に迫る不気味な足音がある。現在2位タイ(通算9アンダー)につけているのは、いまだ29試合連続トップ25入りを継続中で、逆転の機を虎視眈々と狙う世界1位のスコッティ・シェフラーだ。シェフラーのキャリアにおける最大逆転勝利は「5打差(2024年プレーヤーズ選手権)」だが、ヤングに慢心は一切ない。

画像: 完全優勝に王手をかけたキャメロン・ヤング(写真は26年キャデラック選手権初日、撮影/岩本芳弘)

完全優勝に王手をかけたキャメロン・ヤング(写真は26年キャデラック選手権初日、撮影/岩本芳弘)

「明日は天候も荒れそうだから、最終日だからといってプレースタイルを大きく変えるつもりはない。ただ自分のプランを遂行するだけ。自分がトーナメントのどの位置にいるかなど意識せず、ただコースに出て良い一日を過ごすことに集中したい」

難コースに魅入られた強心臓の男が、初日からの首位を守り切る「完全優勝(ワイヤー・トゥ・ワイヤー)」でのシグネチャーイベント制覇へ向けて、静かに、そして力強く最終日のティーイングエリアに向かう。もし達成すれば、今季のPGAツアーでわずか2人目(ジャスティン・ローズに次ぐ)となる。


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