2026年「キャデラック選手権」の最終日、スコッティ・シェフラーは通算13アンダーの単独2位で大会を終えた。世界ランキング1位に君臨する彼の安定感は、もはやタイガー・ウッズの全盛期に匹敵する域に達している。しかし、勝利の女神はまたしても彼に微笑むことはなかった。驚異的な大記録の更新と、それゆえに際立つ「あと一歩」のもどかしさ。ブルーモンスターで交錯した王者の光と影を紐解く。

歴史的安定感――29試合連続トップ25入りという偉業

シグネチャーイベントで単独2位という成績は、多くの選手にとって歓喜の対象かもしれない。しかし、今のシェフラーにとってそれは「偉大なる敗北」でしかない。

今大会のフィニッシュにより、シェフラーは2024年の「BMW選手権」以来、実に29試合連続でトップ25入りを逃していないという驚異的な大記録を継続することになった。大会公式ノートによれば、彼は現在、PGAツアーで最長となる「72試合連続予選通過」という途方もない記録も継続中だ。

さらに、「マスターズ」「RBCヘリテージ」、そして今回の「キャデラック選手権」と、出場した3試合連続で2位フィニッシュとなった。直近の「RBCヘリテージ」での2位は、マット・フィッツパトリックとのプレーオフの末に敗れたものであり、あと数センチ、あと1打の差で優勝を逃し続けている。なお、PGAツアーにおいて3戦連続の2位は、2014年のセルヒオ・ガルシア以来となる珍事である。

誰よりも安定して上位に顔を出し、誰よりも優勝争いに絡んでいる。しかし、一番高い頂だけがわずかに遠い。現在のシェフラーが置かれている状況は、王者にしか味わえない特異な苦悩の中にある。

パッティングに阻まれた勢い――王者が振り返る「もどかしい18ホール」

6打差を追ってスタートした最終日、シェフラーは逆転を信じてティーオフした。しかし、彼を待っていたのはフラストレーションの溜まる展開だった。

「なかなか勢いに乗れなかった。ショットはまずまずだったが、パットがカップの周りを抜けていくばかりで、必要なパットを決めることができなかった」

ラウンド後、シェフラーは静かに悔しさを滲ませた。

不運も重なった。7番ホールでは、ほぼフェアウェイに近い位置にボールが落ちたにもかかわらず、「50ヤードも前に進めないようなライ」に転がるという、このコースでも滅多にないバッドバウンドに見舞われてボギー。続く8番でバーディを取り返したものの、9番ではバンカーショットもパットも悪くなかったにもかかわらず「雑なボギー」を叩いてしまった。「15〜20フィートの決めなければならないパットが入らなかった」と語る通り、グリーン上での僅かなズレが猛追の足枷となってしまった。

【動画】シェフラー、10番ではパットでバーディを奪取【PGAツアー公式X】

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さらに、大会公式記録によると、ブルーモンスターの最終18番ホールは今大会において、今季のPGAツアーで最も難しい最終ホール(平均ストロークがパーを0.382上回る)として立ちはだかっていた。このような難攻不落のコース設定そのものが、王者の猛追を阻む大きな壁となっていたのだ。

覇者への賛辞――「彼はどこからでも入れていた」

自身がもどかしいラウンドを強いられる中、3日間同組で回った優勝者キャメロン・ヤングのプレーは、シェフラーの目にどう映っていたのか。世界王者は一切の言い訳をせず、勝者へ最大級の賛辞を贈った。

「キャム(ヤング)のゲームには常に感銘を受けてきたが、今週の彼は特に素晴らしかった。重要なホールでのアイアンショットもティーショットも高品質だった。そして何より、グリーン上での彼は信じられなかった」

シェフラーが舌を巻いたのは、ヤングの神懸かったパッティングだ。

「最初の27ホール、彼は本当に何も外さなかった。狂っていたよ。どこからでもパットを決めていた。あんな風に質の高いショットを打ち、多くのパットを決められれば、それはトーナメントを独走するための完璧なレシピだ」

画像: ギャラリーからの歓声に応えるスコッティ・シェフラー(撮影/岩本芳弘)

ギャラリーからの歓声に応えるスコッティ・シェフラー(撮影/岩本芳弘)

ライバルの完璧なプレーを前に、王者は潔く白旗を揚げた。

次週はオフをとり、いよいよメジャー第2戦「全米プロゴルフ選手権」へと向かう。

「今週から得られたポジティブな要素はたくさんある。いくつか修正すべき点もあるが、家に帰って全米プロに向けて準備するよ」

パットに泣いたマイアミの地を後にし、シェフラーは静かに闘志を燃やし直す。もどかしい「銀メダル」の連鎖を断ち切る場所として、メジャーの舞台はこれ以上なく相応しい。


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