国内女子メジャー初戦「サロンパスカップ」が明日(5/7)に開幕する。前週の大会「NTTドコモビジネスレディス」で優勝争いをした平塚新夢は、自らを“覇気がない”と称する「脱力キャラ」が魅力の選手だ。好調で迎える大舞台。さすがの彼女も初Vへ強い意気込みを見せるのでは――。そんな筆者の予想は、良い意味で裏切られた。大一番を前にしても彼女はどこまでも自然体だった。病を乗り越え「今を楽しむ」境地に至った彼女の現在地に迫る。

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画像: ▶平塚新夢(ひらつか・あむ)、プロ2年目

▶平塚新夢(ひらつか・あむ)、プロ2年目

「67」連発の自信と、初めての最終組

先週の平塚のプレーは圧巻だった。初日、3日目(2日目は荒天中止)ともに「67」をマークし、通算10アンダーで首位争いを展開。自身初となる最終日・最終組の切符を掴み取った。 迎えた最終ラウンドこそスコアを伸ばせず、ホールアウト後には「悔しいです」と素直な本音を漏らしたものの、それでも自己最高の5位タイと健闘した平塚。その表情に暗さはない。特有のプレッシャーがかかる優勝争いの渦中でも、彼女は決して自分を見失わなかった。

「最終日は良い緊張感で回れました。父や母も駆けつけてくれることにもなりましたし、緊張するだろうなとは感じていました。でもそんな自分を受け入れて、楽しめたらいいなと思っていたんです」(平塚・以下同)

目の前に初Vがチラついても、「『優勝しなきゃ』という気負いはあまりなかったです。もしできたらラッキーくらいで。失敗してもしょうがないと割り切って、今から打つ一打を大事にしました」と、どこまでも彼女らしいペースを貫き戦い切ったことが伝わってきた。

ただ、その一方で勝者との差も冷静に見つめていた。

「決めきれないバーディーパットがありました。どうしてもタッチを合わせに行きがちで……。大オーバーとかはしないけれど、オーバーに打たないと入らないホールもあるので」

同組で優勝した菅沼菜々のプレーを目の当たりにし、「やっぱり菜々ちゃんは、入っているパットは全部しっかり強く打てていた。逆に自分は打ち切れていない部分がある」と痛感。プレッシャー下でも自分の決断を信じて打ち切る強さという、大きな収穫を持ち帰った。

ゴルフを嫌いになりたくないから

選手自身やファンの中には「次こそは」と、期待を抱いてしまう人もいるだろう。しかし、数々のトッププロたちが名を残す今週の大舞台でも、彼女の周囲に流れる空気はどこまでも穏やかだった。

会場となっている茨城県は、彼女が高校時代を過ごした第2の故郷。昨年はルーキーキャンプの一環としてピンクのウェアで裏方業務に奔走したが、「今年は選手として出場できる時点で、すごく嬉しい。友達も応援に来てくれるので楽しみながら頑張りたい」とは語ったものの、ここでも過度な意気込みはなかった。

「自分を追い込んで奮い立たせるタイプじゃないと今のところは思っているんです。ある程度のいいプレッシャーを感じることは大事だけど、あんまり気負いすぎると、『もうゴルフをやりたくない』ってなっちゃったり……は嫌なので。もう楽しく(笑)。楽しくやりたいです」

行き着いたのは「楽しむ」ゴルフ

この大舞台でも変わらないスタンスは、決して無理をして作っているものではない。

過去のインタビューで勝負飯を問われれば「何でもいい。朝からアイスを食べることもあります(笑)」と答え、特別なルーティンや密かな努力も「全然ない!」と笑い飛ばす。自らを「脱力系で覇気がない」と称する通り、彼女の素顔そのままなのだ。

かつて大病を患い、クラブを握れない苦しい時期があった。だからこそ、自分のプレーに内省しつつも「今を大切に、心から楽しむ」という揺るぎない哲学が彼女の中にはある。欲張らず、ただ目の前のゴルフを愛し、自然体で楽しむ。結果を追い求めるあまり自分を見失うのではなく、大好きなゴルフを味わい尽くす。平塚新夢が見せる究極の「脱力」は、ただのキャラクターではない。最も尊くて、最も強い生き様そのものだ。

同じ一人のゴルファーとして、自らの指針とするために。この4日間、誰よりも楽しくあろうとする彼女の姿をしっかりとこの目に焼きつけたい。

画像: 実は月刊ゴルフダイジェスト1月号の付録「女子プロカレンダー2026」の3・4月に登場してくれた平塚。「ファンの方が持ってきてくれるので、サインを書いてます!」最高の1枚が見られるのでぜひ探してみてください!

実は月刊ゴルフダイジェスト1月号の付録「女子プロカレンダー2026」の3・4月に登場してくれた平塚。「ファンの方が持ってきてくれるので、サインを書いてます!」最高の1枚が見られるのでぜひ探してみてください!

撮影/姉崎正

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