「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」が開催されている茨城ゴルフ倶楽部(6718ヤード・パー72)。メジャーの厚い壁が選手たちの前に立ちはだかるなか、勝負の鍵を握るのが、ホールごとに極端な距離の長短を見せる「パー3」の攻略だ。100ヤードに満たない精緻なコントロールが求められるホール(15番・98ヤード)から、200ヤードに迫るタフなホール(13番・195ヤード)まで。外的要因と内面的なプレッシャーが複雑に絡み合うなか、上位を争うプロたちは何を考え、いかにしてグリーンを捉えているのか。本記事では、心理的葛藤と戦う大久保柚季、無欲のマネジメントに徹する川﨑春花という2人の「プレーヤーの視点」に加え、ショートゲームの達人として知られ、佐久間朱莉のウェッジコーチも務める伊澤秀憲の「専門家の視点」から、パー3攻略の真髄に迫る。

5アンダーで決勝ラウンドに臨む大久保柚季

画像: 2日目3アンダー、トータル5アンダーと安定感をみせた大久保(撮影/姉崎正)

2日目3アンダー、トータル5アンダーと安定感をみせた大久保(撮影/姉崎正)

短いホールほど増す「パーが“当たり前”のプレッシャー」
100ヤードに満たない短いパー3は、一見すると易しく思える。しかしプロの心理としては、むしろ200ヤード近い長距離ホールよりもプレッシャーがかかるという。それは、長いホールであれば「グリーンに乗れば合格点」という割り切りができるが、短い距離では「確実にパー、あわよくばバーディ」という義務感が強く働くためと大久保は話す。

「今週の98ヤードのホールでは、手前の池が効いていますし、ミスが許されない状況が結構プレッシャーになっていました」と話す。また、こうした距離感において、大久保選手はティーを使わず、上から入れるイメージを持って臨んでいるという。

「ティーアップをすると若干すくうイメージ」が出てしまうことや、過剰な飛びを嫌い、「イメージ通りに止まることを優先しています」と話す。

画像: 撮影時、彼女らしいお茶目なポーズをとっていたが、キャディらに止められ笑顔のピースサインに

撮影時、彼女らしいお茶目なポーズをとっていたが、キャディらに止められ笑顔のピースサインに

今大会のラウンドを振り返ると、15番での3パットによるボギーなど、ショートゲームにおけるわずかな精度の差がスコアを直撃する展開となったが、それでも全体として上位をキープできている背景には、初日の立ち回りの変化がある。

「これまでの大会では初日の出遅れを2日目以降に挽回しきれないケースが目立っていた。今大会では好スタートを切れたことが大きなアドバンテージとなっているような気がします」

「優勝は意識していないです。ですが一つひとつを丁寧に積み重ねたいです」と語る大久保。この意識を維持できれば、最終的なリーダーボードの頂点も現実的な目標として見えてくるはずだ。

2日目3アンダーと追い上げた川﨑春花

画像: 2日目3アンダー、トータル1アンダーで終えた川﨑春花(撮影/姉崎正)

2日目3アンダー、トータル1アンダーで終えた川﨑春花(撮影/姉崎正)

「乗ればいい」という無欲さが生んだ3アンダー
「今日の(15番の)ピン位置は奥の段。『手前でもいいかな』というか、『前に乗りさえすればいい』くらいの気持ちで、欲張らないようにしていた」と、攻略のポイントを明かす。昨日の15番ではフォローの風の中、手前を警戒しすぎて強く入りすぎてしまい、2段グリーンの上に乗せてボギーとなった。

「とにかく無理をしない。前から、手前から」という意識を徹底したことが、今日の快進撃に繋がった。

距離よりも「ピンポジション」が難易度を決める
13番のような長いパー3と、15番のプレッシャーのかかる短いパー3、どちらをより難しく感じるかという問いに対しては、「ピンポジションによって難易度がかなり変わるホールに感じます。個人的には、(距離がどうこうというより)手前にピンがある時のほうが、より難しく感じますね」と応えた。

距離が短いからといって決して安易なバーディホールとは捉えず、ピンの位置によって最適な落とし所を見極める。この「無理をしない」マネジメントこそが、メジャーの難セッティングを攻略するための最大の武器となっているようだ。

佐久間朱莉のアプローチコーチを務める伊澤秀憲氏の見解

画像: 現在佐久間朱莉のアプローチコーチをしている伊澤秀憲コーチ

現在佐久間朱莉のアプローチコーチをしている伊澤秀憲コーチ

今大会のように、100ヤード弱から200ヤード近くまで距離に大きな開きがあるパー3の攻略で大事なことは、「距離の長短といった外的要因に振り回されず、『自分自身がやるべきと決めたテーマをどれだけコース上で実行できるか』というメンタルコントロールです」と、佐久間朱莉のアプローチコーチを務める伊澤秀憲氏は語る。

さらに、「近年のツアーはグリーン周りのセッティングがシビアで、例えば手前が深く刈り込まれた池越えや2段グリーンなど、ミスが即ボギー・ダボに直結する状況の100ヤード前後では、リスクを背負ってバーディを狙うか、安全にパーを取りにいくかという判断が面白く、考えさせられるセッティングだと思います」と続ける。

このような厳しいセッティングでは、ボール初速や落下角度までを緻密に計算した高度なスピンコントロール技術が不可欠だ。

そして、「『自分が決めたテーマを実行すること』と高い技術を合わせ、自身の飛距離基準を正確に把握してグリーンの傾斜を活かした戦略を迷いなくやり切ることが必要だと考えています」と締めくくった。

決勝ラウンドは更にタフなピン位置、コンディションが予想される。残り2日間に注目だ。

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