ロングドライブ競技のチャンピオンにして、アマチュアの指導もするティーチングプロの松本一誠プロが、我々アマチュアの疑問を実際に試打して検証する「みんゴル実験室」。今回のテーマは、グリップを短く握ると弾道はどう変わる?

グリップを短く握ることは、ショットを安定させる基本のひとつだが、実際のところ、飛距離はどれほど落ちるのか? 球の高さはどう変わるのか? 肝心の安定度合いは向上するのか? 実際に試打計測してみた。

握る位置を、グリップエンド・-3cm・-6cm・-9cmの4ポジションに変えて実験

画像: 緑がグリップエンド、白が-3cm、黄色が-6cm、青が-9cm。左手の小指側とシールの位置を合わせて4ポジションで実験

緑がグリップエンド、白が-3cm、黄色が-6cm、青が-9cm。左手の小指側とシールの位置を合わせて4ポジションで実験

「ドラコン競技では、グリップエンドからはみ出すほど目一杯で握りますが、狭いホールで曲げたくない時は、意図的に短めに握ることは結構ありますよ」とは松本一誠プロ。

今回は、グリップエンド(上写真/緑シール)で握ったショットを基本として、-3cm(白シール)、-6cm(黄色シール)、-9cm(青シール)のショットと比較した。クラブは松本プロ本人のドライバーで、全ショットを同じ振り感(8割力感)で打ってもらった。

【試打方法】
ドライバー:キャロウェイ Ai スモーク トリプルダイヤ(ロフト8度/RAVEパワーゾーン/45.5インチ)
ボール:タイトリスト プロV1x
計測:トラックマン4(各4球打ち平均値を採用)

画像: 3cm間隔でグリップを短く握る実験をしたら、「右を向いてロードロー」がベストという答えに行きついた【みんゴル実験室Vol.4】

みんゴル実験室 レギュラーテスター/松本一誠プロ
近年、ロングドライブ競技で何度も日本一になっているドラコンチャンピオンにして、アマチュアの指導もしているティーチングプロ。横浜駅東口から徒歩約5分にある松本プロ主宰のISSEI Golf Laboで実験

実験①/グリップエンド(緑シール)
このショットが基本

グリップエンド(緑シール)でドライバーショット。自身の8割力感とはいえ、さすがドラコンチャンピオン。ヘッドスピードは57.4m/s、キャリー326.6ヤードと異次元のスタッツ。弾道はストレート~フェード、この結果が基準になる。

【グリップエンド(緑)】
ヘッドスピード:57.4m/s
ボール初速:83.6m/s
キャリー:326y(トータル364.6y)
弾道頂点:37.9y
左右方向:右5.3y
ミート率:1.46

画像: ヘッドスピードやミート率が揃うように、力感8割でショット。松本プロの場合は、それでも300yをはるかに超える

ヘッドスピードやミート率が揃うように、力感8割でショット。松本プロの場合は、それでも300yをはるかに超える

実験②/-3cm(白)グリップ
スライス傾向が生じる

-3cmグリップのショットについて、「-3cmでも、すでに短い感じがするのと、握った感触も細くなって、自ずと8割スウィングになります。打ち始めはスライス傾向が強かったですが、感覚をつかんだらいいフェードで打てました。確か、今平周吾プロは、常にこれぐらい短く持って打っていますよね」(松本プロ・以下同)

「短いため振りかぶりにくく、テークバックが小さくなるので、体が開かないよう意識してヘッドを走らせる感覚で振ったほうが良いです。-3cmであっても事前に練習しておく必要がありますね」

【-3cmグリップ(白)】
ヘッドスピード:55.1m/s
ボール初速:81.3m/s
キャリー:307.7y(トータル349.3y)
弾道頂点:32.7y
左右方向:右13.0y
ミート率:1.48

グリップエンド合わせに比べて、ヘッドスピードは2.3m/s下がり、キャリー平均は18.9y減とかなりの差が出た。ミート率は1.46から1.48へ、わずかながら向上した。

画像: 「-3cmでも、振り感と球筋に大きな違いが出ました」(松本プロ)

「-3cmでも、振り感と球筋に大きな違いが出ました」(松本プロ)

「もう一点、打ってみて分かりましたが、今、自分が使っているような軟らかめシャフトで短く握ると、軟らかさのメリットが消えてしまう。ドライバーで短く握るのは、硬めシャフトを使う人のほうが合いそうです」

実験③/-6cm(黄色)グリップ
さらにスライス色が強まる

「右手がグリップ(ラバー)の先端ぎりぎりで、右手はつまんでいるような感覚です。-3cmよりもさらにしなりを感じにくくなり、こちらもフェードイメージのほうが打ちやすい。というよりも、はなからスライスを打つ感じが合いそうです」

「この長さで、しっかり飛ばそうとすると、ダウンスウィングでシャフトをしならせて、フォローではしならせ過ぎないように、ひと振りに対して二度耐える感じで正直きつい。やはり、軟らかいシャフトを使う人にはあまりお勧めできないですね」

画像: -6cmグリップでショット。安定感が高まるというよりもスライス傾向が強まった。「スライス狙いで置きに行く、という考え方ならありですね」(松本プロ)

-6cmグリップでショット。安定感が高まるというよりもスライス傾向が強まった。「スライス狙いで置きに行く、という考え方ならありですね」(松本プロ)

【-6cmグリップ(黄色)】
ヘッドスピード:53.9m/s
ボール初速:79.1m/s
キャリー:289.8y(トータル331.3y)
弾道頂点:27.7y
左右方向:右18.3y
ミート率:1.46

松本プロの言葉の通り、ショットの右方向傾向が強まり、ミート率も0.02ポイント落ちてしまった。「安定感というよりもスライス傾向が強くなります。左が怖いホールで、スライスを狙って置きに行く、という使い分けならありですね」

実験④/-9cm(青)グリップ
“右向いてロードロー”これいい

最後は-9cmグリップ。「右手の人差し指と中指は、グリップではなくシャフトを握っています。『どれだけ曲げたくない人なんだよ』と言いたくなりますね(笑)」

画像: -9cmグリップでアドレス。グリップエンド側の余り方が尋常ではない

-9cmグリップでアドレス。グリップエンド側の余り方が尋常ではない

「ここまでくるとドライバーじゃないみたいで、勇気を出して右を向いて思い切りつかまえるように打ってみると、これが意外にも良かったです。ヘッドスピードは出ませんが、ミート率が抜群に良くなる上、余らせたグリップエンド側がカウンターバランスになるのか、クラブの小回りが利いてドローが打ちやすい。『右を向いてロードロー』、これはありですよ」

画像: -9cmグリップで、右を向いてロードロー。この打ち方がマッチしてミート率も向上

-9cmグリップで、右を向いてロードロー。この打ち方がマッチしてミート率も向上

「短く持って普通に振ると、シャフトのしなりが小さくなり、しなり戻りも弱まって右傾向が強まっていきます。逆転の発想で、短く持ったら、クローズスタンスに構えておいてロードロー狙い。球筋の安定感が増しますし、短く握るという価値を享受できます。例えば、アゲンストで低く打ちたい時、この方法はお勧めです」

【-9cmグリップ(青)】
ヘッドスピード:52.1m/s
ボール初速:77.6m/s
キャリー:281.0y(トータル335.9y)
弾道頂点:22.3y
左右方向:左0.8y
ミート率:1.49

松本プロが勧める、『短く握ったら、右を向いてロードロー』の結果が上記。ミート率は今回の実験で最高値の1.49。右へ飛ぶ傾向も消えて、左右ブレは左0.8y。球の高さは22.3yと最も低く、ラン(キャリーとトータルの差)は50y以上と最長。アゲンスト風の下を潜らせる全英オープン仕様のような弾道となった。

おまけ実験/硬いシャフトの場合は?

ここまでの実験は、Ai スモーク トリプルダイヤに、REVE社製のパワーゾーンというワンフレックスシャフトを挿した、松本プロいわく“軟らかめシャフト”での実験だった。

では、“硬めのシャフト”で打つとどうなるのか? 松本プロが所有する別のドライバー、ミズノST-Z (ロフト9.5度)とベンタスブラック7X(45.25インチ)の組み合わせで、「-6cm 短く握る」を試した。

画像: ミズノST-Zのヘッドとベンタスブラック7TXで、-6cmグリップ試打

ミズノST-Zのヘッドとベンタスブラック7TXで、-6cmグリップ試打

「-6cmで打ちましたが、硬いシャフトのほうが、シャフトの動きの変化が小さくて素直に振りやすいですね」

「普通に振った時でも、軟らかシャフトのように右傾向が強くならないですし、何より、先ほどの実験で話していたロードローがさらに安定して打ちやすい。ミート率も良いです」

「この安定感ならば、18ホールを右から低いドロー一辺倒に決めて攻めるのは、ある意味安全かも。予測が立つのでスコアメイクしやすいと思います」

【硬いシャフト/-6cmグリップ】
ヘッドスピード:55.5m/s
ボール初速:81.3m/s
キャリー:308.4y(トータル341.8y)
弾道頂点:35.6y
左右方向:左14.5y
ミート率:1.48

画像: 「短く握るショットは、硬めのシャフトのほうが合いますね」(松本プロ)

「短く握るショットは、硬めのシャフトのほうが合いますね」(松本プロ)

実験を終えた松本プロ。「昔から言われているように“短く握る”のは安全策にはなりますが、本番でいきなり試さずに練習してクラブ(特にシャフト)の傾向をつかんでおく必要があります」

「使っているシャフトによって、短く握った時ほど、振り感の変化が顕著に表れるからです。僕も勉強になりました」

握る位置の数センチ違いが、①振り感や球筋に大いに影響を与えること、②軟らかいシャフトは硬いシャフトよりも変化が顕著に出ること、③短く握ったら、真っすぐ狙いよりもロードローのほうが安全、といったことがわかった今実験。皆さんも、まずは練習場で、-3cm、-6cm、試してみては?

撮影/姉﨑正 協力/ISSEI Golf Labo


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