2026年のゴルフ界を熱狂させるメジャー第2戦、第108回「全米プロゴルフ選手権」がいよいよ今週木曜(5月14日)から開幕する。今年の舞台は、ペンシルベニア州の歴史的名門「アロニミンクGC」だ。巨匠ドナルド・ロスが設計し、近年ギル・ハンスの手によって見事な修復が施されたこのコースは、PGAオブ・アメリカが主催する3つのメジャー大会(全米プロ、全米プロシニア、KPMG全米女子プロ)すべてを開催した史上初の会場となる。その圧倒的な格式の高さは、メジャーの舞台としてこれ以上ない威厳を放っている。

無数のバンカーと「狂気」のグリーン

この名門コースが選手たちに突きつける最大の脅威は、無数に散りばめられたバンカー(例えば11番ホールだけで20個以上)、そして「狂気」とも言えるグリーンだ。巧みに配置されたフェアウェイバンカーは、ティーショットの戦略性を極限まで高めている。しかし、真の恐怖はグリーン周りにある。世界ランク4位のマット・フィッツパトリックが「スコアメイクを阻む最大の壁は、グリーンとその周辺の厄介な形状(グリーンコンプレックス)だ」と舌を巻くように、強烈な傾斜が選手を待ち受ける。

その一方で、彼は「ティーショットで飛距離を出せれば、多くのバンカーを無効化(飛び越えること)できるコース設定でもある」とも語っている。つまり、圧倒的な飛距離でバンカーの罠を越え、かつグリーンでの繊細なタッチを併せ持つ“総合力”が試されるのだ。今大会で史上7人目のキャリアグランドスラムに挑むジョーダン・スピースも「短いクラブで打てても、距離感とスピンコントロールが完璧でなければスコアにならない」と警戒心を露わにしている。ピンポイントの精度がなければ、メジャーのタフなセッティングを戦い抜くことは不可能だ。

容赦なく牙をむく勝負のキーホール

中でも、アロニミンクが容赦なく牙をむく勝負のキーホールがいくつかある。

画像: No.11・425Y・P4

No.11・425Y・P4

まずは魔の11番(パー4)だ。ここではスピンコントロールのわずかなミスが致命傷となる。2011年の全米プロ覇者で2018年同コースで開催されたBMW選手権の覇者でもあるキーガン・ブラッドリーは、「間違えればグリーン手前から50〜60ヤードも下まで転がり落ちてしまう」とその恐ろしさを証言する。

また、コースの戦略性を高めるもう一つのキーホールが、パー4としてはコース最短の385ヤードの13番である。新設された前方ティーを使えばワンオンが可能になるというドラマチックな仕掛けが用意されているが、グリーン左にはOBが迫っており、勝負に出るか安全に行くかの究極の選択を迫られることになる。

画像: No.17・229Y・P3

No.17・229Y・P3

そして、サンデーバックナインの勝負を決する17番(パー3)。グリーン左側全体が池に面しており、2018年のツアー開催時よりもティーが新設されて距離が伸びている。「1打差のリードで迎えたら、非常にストレスのかかるタスクになる」というブラッドリーの言葉通り、優勝争いの極限のプレッシャーの中で、この水際に切られたピンを狙うのは至難の業だ。

週末にかけて凶暴化するコースコンディション

さらに、今大会は気象条件がドラマを演出する。練習日の月曜・火曜は冷え込み、雨もパラつく予報だが、週末にかけて気温は20度台後半へと一気に上昇し、乾燥していく見込みだ。太陽と風によってコースが乾き、週末にはドナルド・ロス特有のグリーンがさらに硬く、速く、そして凶暴に仕上がるだろう。

アメリカ北東部(ニューイングランド)出身であり、この地域の芝や気候、ドナルド・ロスの設計に強い愛着を持つブラッドリーは、「自分の家のデッキに出たとき、北東部の芝の匂いがした」と語るほど、ホームの利を感じている。北東部特有のコースを知り尽くした彼のような選手にとって、週末の乾燥して硬くなったグリーンはまさに望むところかもしれない。

極限まで高められたセッティングの中、比類なきアイアンの精度と、どんな試練にも屈しない強靭なメンタルを持つ者だけが、栄光のワナメーカー・トロフィーを掲げることを許される。

写真提供/PGAオブ・アメリカ


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