2026年5月14日から、ペンシルベニア州のアロニミンクGC(7394ヤード・パー70)で「全米プロゴルフ選手権」が開催される。優勝候補の筆頭に挙げられるのは、世界ランキング1位に君臨し続ける絶対王者スコッティ・シェフラーと、メジャー通算6勝を誇るローリー・マキロイだろう。現在のゴルフ界を牽引するこの両雄は、互いの強さをどう見ているのか。公式会見で語られた言葉を紐解くと、彼らの対照的かつ圧倒的なマインドセットが浮かび上がってくる。

マキロイから見たシェフラーの「無慈悲なプロセス」

類まれな爆発力と華やかなプレースタイルでファンを魅了するマキロイにとって、現在のシェフラーの強さはどのように映っているのだろうか。マキロイはライバルのゴルフを、驚嘆の念とともにこう分析している。

「彼(シェフラー)のゴルフに派手さはない。しかし、同じことを何度も何度も繰り返すプロセスへの執拗な追求(relentlessness)が本当に素晴らしいんだ」

ゴルフはミスのスポーツであり、プロであっても感情の波に飲み込まれる瞬間がある。しかし、シェフラーは機械のように淡々と己のプロセスを実行し続ける。

事実、シェフラーはマスターズを含めた直近3試合すべてで「単独2位」という、PGAツアー史上初となる珍しい記録を出したばかりだ。妻からその事実を指摘された際も、彼は「2位フィニッシュは悔しいが、30位で終わるよりも修正すべき点がはるかに少ない」と極めて冷静かつ前向きに分析し、淡々と次へ向かっている。マキロイはこのブレない精神力について、「彼の信仰心が、結果をそのまま受け入れて前に進む心の安らぎを与えているのだと思う」と語った。

直近3戦連続2位という結果にすら感情を乱さない。ミスを引きずらず、あるがままの現実を受け入れて次の一打に向かう。その「無慈悲なまでのプロセスへの没頭」こそが、マキロイが脱帽する絶対王者の凄みである。

シェフラーの原動力は「他人との対決」ではない

一方のシェフラーは、周囲の熱狂とは裏腹に、驚くほど静かで冷徹な内面を持っている。公式会見で記者から「マキロイとの日曜日の直接対決がモチベーションになるか?」という、ファンが最も期待する質問が飛んだ。しかし、王者の口から出た答えは、世間の期待を鮮やかに裏切るものだった。

「いや、それが私の原動力にはならない」と彼は断言した。

シェフラーのモチベーションは、常に自分自身の内側にベクトルが向いている。

「他人が得意なことではなく、自分がどう良くなるかを探求するのが好きなんだ」

外部のライバル関係やメディアが作り上げるストーリーに依存することなく、ただ純粋に「自己の向上」のみを追い求めている。他人に興味がないと言い切れるこの内発的な探求心こそが、彼を誰も手の届かない高みへと押し上げているのだ。

マスターズでの出来事とアロニミンクでの未来

とはいえ、シェフラーもトップアスリートとしてのユーモアと強者の余裕を持ち合わせている。「なぜ直近の大会で優勝ではなく2位が続いているのか?」と問われた際、彼は自らのミスを言い訳にするどころか、自虐的なジョークに変えてマスターズでのマキロイとの激闘をこう振り返った。

「マスターズの時は僕が前半で出遅れたせいで、ローリーに1ダース(約12打)もの特大のハンデをあげてしまったようなものだった。そこから僕も持てる力をすべて出し切って必死に追いかけたけど、それでもやっぱり彼には逃げ切られちゃったよ(笑)」

この言葉は、マキロイがジャック・ニクラスやタイガー・ウッズらに並ぶ「マスターズ連覇」という歴史的快挙を成し遂げた直後だからこその発言である。極限のプレッシャーがかかるメジャーの舞台裏で、自らのスロースタートを笑いのネタにしつつ最大のライバルを称えることができる余裕がそこにはある。

画像: 公式会見に臨むローリー・マキロイ(左)とスコッティ・シェフラー(右)

公式会見に臨むローリー・マキロイ(左)とスコッティ・シェフラー(右)

マスターズで歴史的な連覇を果たし、最高潮の勢いに乗るマキロイ。そして、3戦連続2位の雪辱を静かに期す絶対王者シェフラー。対照的なマインドセットを持つ2人の巨人が、アロニミンクの地でどのような名勝負を繰り広げるのか。メジャーの歴史に新たな1ページが刻まれる瞬間は、もうすぐそこまで来ている。

写真提供/PGAオブ・アメリカ


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