S・シェフラー「ツアー参戦以来、最も難しいピン位置」

首位と2打差の9位タイで週末を迎えるスコッティ・シェフラー
現在、世界ランキング1位に君臨し、どんな過酷な状況でも冷静さを失わない絶対王者スコッティ・シェフラー。彼でさえ、今大会の容赦ないセッティングには舌を巻いた。ラウンド後の会見で彼は、今大会のピン位置を「全米オープンやオークモントを含め、ツアーに参戦して以来見た中で最も難しいセットだ」と断言している。
「ゴルフ最大のテスト」と称される全米オープンや、全米屈指の難関オークモントCCの過酷さを知る彼が、それを凌ぐ難易度だと評価している事実は、今回のアロニミンクがいかに異常なセッティングであるかを雄弁に物語っている。
シェフラーは特に14番ホールのピンについて、「尾根の頂点に切られており、まるでこのマイクの先端にピンがあるようなものだ」と形容し、わずかなミスが致命傷になる過酷さを語った。
事実、同組で回った名手、ジャスティン・ローズやマット・フィッツパトリックでさえ、このグリーンでは10フィート(約3メートル)以内の短いパットを外すという珍しい光景が見られた。約1メートルのパーパットをなんとか沈めたシェフラー自身も、「完全にオンラインで打ち出さなければ、カップに触れもしなかっただろう」と恐怖を口にするほどだ。世界最高の選手たちをもってしても手も足も出ないような理不尽な罠が、精神を深く追い詰めている。
強風と難セッティングが生んだ「タイムパー」への不満
極限のピン位置に加え、コースには強風が吹き荒れている。選手たちは一打一打の風の計算や、アプローチの落とし所をミリ単位で見極めるために、通常以上の時間をかけて状況を判断しなければならない。しかし、その慎重さが思わぬトラブルを引き起こした。

シェフラーと同じく、2打差の9位タイのジャスティン・トーマス(写真は大会初日)
メジャー覇者であるジャスティン・トーマスは、この過酷なセッティングと強風の中で「スロープレーの警告(オン・ザ・クロック)」を受けたことに不満を表明した。
「我々がグリーンにいる時、後ろの組は常にティーにいた(自分たちが遅延していたわけではない)」
「風速25マイルでピンがこれほど難しい状況で、タイムパー(プレーの基準時間)が通常と同じはずがない」
彼は競技委員の画一的な判断に異議を唱えたのだ。
事実、トーマスの怒りは単なる言い訳ではない。他の選手からもこの問題に対する証言が次々と上がっている。若手のクリス・ゴッタラップは「14番ホールで4番アイアンを持ち、半径3メートルの円を狙わされる。外せばグリーンから転がり落ちる。アンフェアとは言わないが、これがラウンドを遅くする原因になっているのは間違いない」と証言。ローリー・マキロイも、「8番グリーンと10番グリーンが隣接し、さらに16番グリーン、9番ティー、17番ティーが密集しているため、どうしても渋滞(ボトルネック)が発生する」と、遅延はコース構造上の問題でもあると指摘している。
大会運営への最大の批判? マキロイの「痛烈な一言」

初日は出遅れたものの2日目は3バーディノーボギーのゴルフで、トータル1オーバーの30位タイまで浮上したローリー・マキロイ
選手たちの不満は、進行の遅れだけにとどまらない。マキロイに至っては、スコアが伸び悩んでいる現状に対し、「誰も抜け出せず、リーダーボードがこれほど密集しすぎているのは、素晴らしいセッティングとは言えない証拠だ」と、運営側に痛烈な苦言を呈している。「パーを獲るのは簡単だが、バーディを獲るのは難しく、ボギーが最悪のスコアという状態になっている」と、リスクとリターンのバランスが崩れていることを指摘したのだ。
プロフェッショナルとして最高の一打を放つために時間をかけたい選手と、進行を急がせたい、あるいは難易度で話題を作りたい大会運営側との軋轢。最高難度の罠が張り巡らされたアロニミンクで、選手たちは風と傾斜だけでなく、見えない「時間」や「運営側の意図」とも戦っている。果たして週末、この過酷なサバイバルを生き残るのは誰なのか。トッププロの悲鳴と不満は、今大会の異様さを何よりもリアルに伝えている。
