「THE G4D OPEN」最終日は、冷たい雨と風が選手を苦しめる過酷なコンディションの中、男女ともに1打差を争う白熱の優勝争いが繰り広げられた。女子はジェニファー・スレーガが最終ホールで劇的な逆転優勝。男子はサイモン・リーが猛追を振り切り初戴冠を果たした。多様な選手たちが限界に挑んだ感動の最終日をレポートする。
画像: 優勝カップを持って。メディアから求められたポーズに慣れた様子で対応するジェニファーと目を見開きながら頑張って対応するサイモン。2人とも輝いています

優勝カップを持って。メディアから求められたポーズに慣れた様子で対応するジェニファーと目を見開きながら頑張って対応するサイモン。2人とも輝いています

「THE G4D OPEN」最終日。朝から空は曇り、ときどき降りそぼる雨が選手たちの体温を奪う、3日間で一番寒い日となりました。コースで応援していても風邪をひいてしまいそうに……しかし、優勝争いは、男女とも1打差の白熱した戦いになったのでした。

画像: 昨年2位だったジェニファー・スレーガが要所のパッティングを沈め見事優勝。キャディを務めたのはコースから20分の場所に住む同じく障害者ゴルファー。「彼のおかげで勝てました」

昨年2位だったジェニファー・スレーガが要所のパッティングを沈め見事優勝。キャディを務めたのはコースから20分の場所に住む同じく障害者ゴルファー。「彼のおかげで勝てました」

女子総合は、昨年2位のドイツのジェニファー・スレーガ(26歳・HC5.4・先天性軟骨無形成症<低身長症>・STANDING3)と2連覇中のオランダ、ダフネ・ファン・ホーテン(27歳・HC0.3・先天性の脊柱側弯症・STANDIND3)が最後まで競り合う展開に。

画像: 3連覇を逃したダフネ・ファン・ホーテンのキャディは父。「彼女はすごく細かいんです。チップインしないと気がすまない」とこっそり教えてくれるご両親です

3連覇を逃したダフネ・ファン・ホーテンのキャディは父。「彼女はすごく細かいんです。チップインしないと気がすまない」とこっそり教えてくれるご両親です

18番を迎えた時点でダフネが1打差トップ。しかし最終ホールで2打目をグリーン奥に打ってしまったダフネは、3打目もミスヒットでグリーン右に。そこから寄らず入らずのダボ。ジェニファーはボギーでしたが、逆転しての優勝となりました。

「とても難しいコースでした。結局13オーバーだったけれど、勝つためにプレーするべく頑張っていれば、周りの選手次第で結果はついてくると思っていました。私は背が低いので、そんなに飛距離が出るわけではありません。だから、ショートゲーム、ウェッジワークやパッティングに集中しています。その成果です」

家族で一緒にできるスポーツを探してゴルフを3歳頃に始めたというジェニファー。試合後のスピーチでは、会場や関係者、家族たちに感謝するとともに「今日のお天気にも感謝しなければなりませんね」と、悪天候を味方につけたことを洒落た言葉で表現していました。

画像: 惜しくも予告優勝通りにはならず。イッサ・ンラレブ・A・アマンは細菌性髄膜炎により両足を切断し、両手の指の多くも失う重度の障害を負いました。実はお父さんは日本人。日本の試合にも出たいそうです

惜しくも予告優勝通りにはならず。イッサ・ンラレブ・A・アマンは細菌性髄膜炎により両足を切断し、両手の指の多くも失う重度の障害を負いました。実はお父さんは日本人。日本の試合にも出たいそうです

男子総合は、初参加のプロ同士の戦い。16番を終えて、カメルーン出身、イッサ・ンラレブ・A・アマン(35歳・プロ・病気による両足切断、両指切断・STANDING1)は韓国出身、サイモン・リー(28歳・自閉症・プロ・INTELLECTUAL1)に3打差をつけられるも17番パー4でチップインイーグルを決め1打差に!

「今日は、僕はパットが入らなかったけど、サイモンはいい感じで決めていた。でも、ハーフターンのときに『最後まで絶対あきらめない』と決めてプレーしていたらイーグルが来ました」

このイーグルで1打差となり最終ホールを迎えます。サイモンは「チップインで波に乗っているので追いつかれるかもしれないと18番のティーイングエリアでは体が震えました。でも、“問題ない”と自分に言い聞かせてティーショットを打ったんです」。

そのショットは見事フェアウェイに。そこからは頭が真っ白になって何も覚えていなというサイモン。しかし、2人ともしっかり2オンし、最終勝負の舞台はグリーン上に移ります。先にイッサが6メートルのパットを打ちますが入らずパー。サイモンは4メートルのパットを80センチまで寄せて勝負アリ。最後まで丁寧にラインを確認し、これを入れて「Yes!」。一言大きく叫んで万歳をし、喜びを爆発させました。

「今日は僕の日ではなかったですね」とサイモンにエールを送るイッサに、本当に嬉しそうな笑顔のサイモン。

画像: 優勝したサイモン・リーと日本で戦ったことがある日本選手たちも駆けつけてお祝いの言葉を送りました

優勝したサイモン・リーと日本で戦ったことがある日本選手たちも駆けつけてお祝いの言葉を送りました

「3オープン(USアダプティブオープン、G4Dオープン、オーストラリアンオープン・障害者ゴルフの部)で優勝できましたので、次はできれば日本障害者オープンに参加し、勝ちたいです。あ、韓国オープンもありますね(笑)。次の目標は、2032年のブリスベンオリンピックで金メダルを取ることです」と大きな夢を語ってくれました。「オープン競技」は、世界中のさまざまな国に存在し、世界中のすべてゴルファーのため存在しているのです。

画像: 各クラス別の勝者たち。「また来年、この場所で会いましょう」

各クラス別の勝者たち。「また来年、この場所で会いましょう」

こうして今年のG4Dオープンは幕を閉じました。名勝負の数々を演出したセルティックマナーの夕暮れは、選手たちをあたたかく包み、「来年また会いましょう!」と語りかけてくれたのでした。


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