
全米プロを制したアーロン・ライ
「コースにいる人でアーロン・ライの優勝を喜んでいない人はひとりもいない」とマスターズに続くメジャー連覇を射程圏内にとらえながら7位タイに終わったローリー・マキロイはいう。
「本当にいいヤツなのでとてもうれしい。あんなに一生懸命練習する選手は滅多にいない。僕も練習するタイプですが、3年前のスコティッシュオープンで彼は夜の9時までパッティング練習をして9時45分にはジムにいました」
「メジャーチャンピオンになるにはそういう努力が必要なんです。誰も見ていないところで地道に努力する。真の紳士である彼と彼のチームを心から祝福します」とやはり7位タイのザンダー・シャウフェレも大絶賛だ。
5番と8番でボギーを叩いたライが停滞していた重苦しい空気を変えたのは9番パー5だった。残り260ヤードを5番ウッドで乗せ12メートルを「とにかくスピードに集中しようと思って打ちました」。白球は真ん中からカップに吸い込まれた。
サンデーバック9は危なげなかった。特に17番で20メートルのバーディパットを捩じ込んだ時点であれだけひしめいていた敵は誰もいなかった。
DPワールドツアーで3勝を挙げヨーロッパからPGAツアーに昇格し、24年のウィンダム選手権で1勝を挙げているがファンの知名度は低い。おそらく「両手にグローブをはめた選手」という印象しかないのでは?

アーロン・ライは両手にグローブをはめてプレーする選手としても有名
少年時代F1ドライバーを夢見ていたライは、のちにゴルフに転向したのだが、イングランドの冬は寒く、かじかむ手を少しでも温めようと両手にグローブをはめたのが始まりだった。
順調なキャリアにも見えるが本人は「ここまで来るのは本当に長い旅でした」。
「プロになるのも苦労して、なってからも周りのゴルファーのレベルの高さに圧倒されてきました。だからPGAツアーのような最高の舞台でメジャーに勝てるなんて……。ここに立っていることがまだ信じられません」
決して裕福な家庭ではなかった。父親は最高級のゴルフクラブを手に入れるために苦労し、息子がプレーを終えるとベビーオイルで丁寧に溝を磨いてくれた。それ以来彼はアイアンにプラスチック製のカバーをかけている。
「自分のルーツを忘れず、いまあるものに感謝するためです」
多くの人に祝福されながらアーロン・ライはトロフィーと歴史にその名を刻んだ。
写真提供/PGAオブ・アメリカ
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