
全米プロゴルフ選手権で優勝したアーロン・ライ(写真提供/PGAオブ・アメリカ)
こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野 達郎です。今回は海外メジャー2戦目「全米プロ」で優勝したアーロン・ライ(以下、ライ)の後方からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させていただきます。ライの平均飛距離は291.1ヤードで今シーズンのPGAツアーで151位と飛ぶタイプではないですが、フェアウェイキープ率は今シーズンのPGAツアー、そして今大会でともに4位とティーショットの正確性が持ち味の選手です。
そんなライのスウィングの特徴は、以下の2点です。
①アドレスとP8で前傾姿勢が変わらない
②P9で左ひじを抜きながら、両手を左に振り抜く
それでは早速スウィングを解説します。
前傾姿勢が変わらない

画像①アドレス(左)とP8(右)/ライは、アドレスとP8で前傾角度の変化が少ない
まずはライのアドレスとP8(フォロースルーでクラブが地面と平行のポジション。以下、P8)を比較してみましょう。「Chest Bend」(以下、胸の前屈)は胸が背骨のライン0度に対して前後にどれだけ回転したか? の角度を表します(マイナスは背骨のラインより胸が上に伸展、プラスは背骨のラインより胸が下へ前屈。背骨のラインが真っ直ぐの状態を0度とします)。
ライの胸の前屈はアドレスでプラス39度です。

画像②ライのP8での3Dアバター/海外男子ツアーレンジに比べて胸の側屈が少なめだ
そして、P8を見てみましょう。「Chest Side Bend」(以下、胸の側屈)は、胸が平行のライン0度に対して左右にどれだけ側屈したか? の角度を表します(マイナスは左に傾くので左肩が下がる、プラスは右に傾くので右肩が下がる。両肩が平行の状態を0度とします)。
ライのP8での胸の側屈はプラス43度で、アドレスでの胸の前屈39度と比較すると4度しか変わりません。スポーツボックスAIが独自で調査した、P8での胸の側屈の海外男子ツアーレンジは、プラス47度〜プラス56度ですので、ライはP8での胸の側屈が比較的少なく、P8で胸の側屈がより深くなる選手達に比べて前傾角度の変化が少ないタイプといえます。
ライのようにフォロースルーで胸の側屈が少なめの場合は「両手はより左に抜けていく」効果があります。
「左ひじを抜きながら両手を左に振り抜く」のは、杉原輝雄と共通する

画像③ライ(左)と杉原 輝雄(右)の比較/両者とも左ひじやクラブの位置など、P9が非常によく似ている
続いてフォロースルーのP9(フォロースルーで右腕が地面と平行のポジション。以下、P9)を見てみましょう。「Hand Thrust」(以下、両手の位置)は、両手がアドレスの位置から前後にどれだけ移動したか? の距離を表します(マイナスは背中側へ、プラスはボール側へ。アドレスの位置を0とします)。
ライのP9での両手の位置はマイナス35.8cmで、両手と左ひじが左に抜けているのがわかります。
ここで、ライのように「左ひじを抜きながら両手を左に振る」タイプだった日本のレジェンドがいます。杉原輝雄さん(1937-2011)です。杉原さんもライと同様に「左ひじを抜きながら両手を左に振る」のが特徴で、特に長尺ドライバーやFWを巧みに操って国内男子ツアー28勝をマークしました。
杉原さんのP9での両手の位置はマイナス38.8cmで、ライと比べても3cmしか変わらないのに加えて、左ひじが左に抜けている点やクラブの位置など、両者は非常によく似ています。
この左ひじが左に抜けて、両手を左に振るメリットは「フェースの向きが変わりにくい」点にあります。ライも杉原さんもフェースが下を向かずに左を向いているのがわかりますが、これはフェースを返さずにスクエアを長く保っている証拠です。両者とも飛距離のハンデをフェアウェイキープで補うプレースタイルも共通しており、ライは「現代版の杉原輝雄」と言えますね!
今回はアーロン・ライの後方からのドライバースウィングを解説させていただきました。3日目まで史上稀に見る大混戦の中で、最終日9番のイーグルをきっかけにして、サンデーバックナインで抜け出したライの逆転劇はお見事でした。新しいメジャー王者・ライの今後に注目しましょう!
