かつての「AT&Tバイロン・ネルソン」からCJグループへ冠スポンサーが変更されて3回目を迎える本大会。前週のメジャー第2戦「全米プロゴルフ選手権」の興奮冷めやらぬ中、世界最高峰のショットメーカーたちが再びテキサスの地で激突する。「ザ・CJカップ バイロン・ネルソン」の舞台となるTPCクレイグランチ(テキサス州)は2021年から本大会の会場となり、全英オープン覇者であり名設計家としても知られるトム・ワイスコフ氏が手がけたコースだ。そして、今大会に向けて世界ゴルフ殿堂入りのラニー・ワドキンス氏の監修により、2500万ドル(約38億円)を投じた大規模なコース大改修(グリーンの張り替えやバンカーの再配置など)が行われている。
「コースの特徴は3種類の異なる芝ですね。ラフとティーボックスにはバミューダ芝、フェアウェイにはバミューダではなくスタジアム・ゾイシア、グリーンにはベント芝が採用されています。フェアウェイのゾイシア芝は日本の高麗芝に近い性質で、ボールが少し浮いた状態で綺麗に止まりやすいため、アイアンショットが非常に打ちやすく、日本勢やアジア勢が得意とするライです。また、コースの総距離が長い(7385ヤード、パー71)ため、セカンドショットで150〜200ヤード、あるいは200ヤード以上の距離を残すホールが多く配置されています。ショートアイアンでピンをデッドに狙うだけでなく、ミドルからロングアイアンで高い球を打ち、グリーンにきっちり止める技術が求められます」(杉澤伸章キャディ、以下同)
“芝との相性に加え、アイアンでどれだけ多くのバーディチャンスを作れるか”が攻略の糸口とのこと。コース特性を熟知する杉澤キャディが、相性の良さから今週の最注目株として名前を挙げた選手がいる。
「注目選手はショットメーカーのキム・シウーですね。米PGAツアーで4勝を挙げており、今シーズン(2026シーズン)はトップ10入りが6回ですでにキャリアベストを更新しています。キム・シウーの最大の特徴は、グリーンに乗せるまでのショットの精度を示す“SG:ティー・トゥ・グリーン”が極めて高いことです。たとえティーショットの飛距離が多少劣っていても、それを補って余りあるミドルからロングアイアンの圧倒的な正確性で、確実にピンへと寄せてチャンスを量産できるのです。その卓越したアイアンのキレを武器に、2026年シーズンはツアー全体で単独1位となるトータルバーディ数244個を記録しています」
2012年に17歳5カ月という史上最年少記録でPGAツアーの予選会(Qスクール)を突破し、21歳で「ウィンダム選手権」を制して同シーズンのツアー最年少優勝者となるなど、数々の記録を打ち立ててきたキム・シウー。本大会で彼が目指すべき明確な目標とは何か。
「今シーズン彼が最も必要としているのが『優勝』の2文字です。現役のアジア人男子としては松山英樹選手(通算10勝以上)に次ぐ実績を持っているキム・シウーですが、ソニーオープン・イン・ハワイを制した2023年以来、優勝から遠ざかっています。安定はしているが、優勝はない。ここを打破できるかが『ザ・CJカップ バイロン・ネルソン』の最大の見どころでしょう」
「優勝」の2文字をキム・シウーが手にするためには何が必要なのか。

杉澤キャディがスタッツ面は完璧というキム・シウー(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ、撮影/岩本芳弘)
「コース攻略というよりは、4日間を通じて現在の自身のゴルフの精度を保つことが勝利につながると思います。スタッツ面は完璧ですからね」
「ザ・CJカップ バイロン・ネルソン」はメジャー大会やシグネチャーイベントの間に位置し、トップ選手があまり出場しないことが特徴である(とはいえ、スコッティ・シェフラーやジョーダン・スピースは出場するが……)。日本勢からは、久常涼、金谷拓実、平田憲聖、中島啓太の4選手が参戦予定だ。日本勢と相性の良いTPCクレイグランチでの彼らの活躍に期待が高まる。
U-NEXT/窪山京真
