難関17番。「途中は曲がり、最後はまっすぐになる頂点を探す」

似たラインからバーディパットを決めた吉田泰基を「先生」に、西山大広も続けてバーディを決めた(撮影/岡沢裕行)
国内男子メジャー第2戦「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」の2日目。宍戸ヒルズカントリークラブ 西コースの最難関と評される17番(パー4)にて、吉田泰基と西山大広が揃って見事なバーディを奪取した。西山は「先生」となった吉田のラインを完璧に参考にし、6メートル前後ある超高速の下りパットを沈めてみせたのだ。
結果的には一打足らず予選落ちしてしまったが、スティンプメーター13フィートというシビアなグリーン上で、西山は一体は何を見ていたのか。「先生のおかげで決められた」と語る本人を直撃した。
17番グリーンは凄まじいうねりと傾斜が複雑に入り組んでいる。2日目のグリーンコンディションは速さ13フィート、硬さ220というメジャー仕様。日中の乾燥が進んだことで、傾斜地では「絶対にボールが止まらない場所がある」と語るほどの超高速状態と化していた。
この極限の状況下、西山が吉田のパットから読み取ろうとしたのは、もちろん単なる曲がり幅ではなかった。
「17番のラインは、もの凄く曲がるラインでした。でも、途中は大きく曲がりながら、最後はダラダラと真っすぐ転がっていくエリアがあるんです。僕が探していたのは、その『最後に真っすぐ行くための頂点(曲がり幅の最下点・切り替わりポイント)』でした。先に打ってくれた泰基(吉田)のパットが、その頂点を見つけるうえで本当に参考になりました」
先生(吉田)の球が描いたラインの“頂点”を見極めた西山は、そこへ向かってボールを打ち出した。さらに、タッチ(距離感)についても「(下り傾斜で)絶対にカップの上には止まらないと分かっていたので、とりあえずできる限り弱く打とう」と決めて実行。完璧なラインの読みと「限界まで弱く打つ」という絶妙なタッチが噛み合い、連鎖的なバーディを生み出した。
「先生」を参考にする前に、西山が重要視する“球の回転”

手前にあるマーカーが西山のボール位置(撮影/岡沢裕行)
しかし、西山の持論では「先生(後ろの人)のパットをただ見ればいい」というわけではない。重要視しているのは、プレーヤーごとの「球の回転のクセ」だ。
「パターの打ち方や球の回転は、本当に人それぞれなんです。例えば、スライス回転のクセがある人がフックラインを打つと切れにくくなりますが、同じラインを僕が打ったら想定以上に切れてしまう、といった違いが生まれます。だから僕は、朝の練習グリーンなどで他の選手の球の回転を観察し、自分と『似ているな』と思った選手だけを参考にするようにしています」
もし、自分と全く異なる回転のクセを持つプレーヤーが先に打つ場合、西山はあえてそのラインは見ないようにすることもあるという。それは、脳に変な情報(バイアス)を入れてしまい、自身の感覚を狂わせるデメリットを避けるためだ。

吉田の回転は「なんとなく自分のクセに近かった」という西山(撮影/岡沢裕行)
今回の吉田のパッティングは、西山から見て「なんとなく自分の回転のクセに近かった」という。情報としての信頼性が極めて高かったからこそ、西山は迷いなく吉田のラインを信じ、難関ホールの壁を突き破るバーディへと繋げることができた。
ただ景色としてラインを眺めるのではなく、打ち手の「回転」を見極め、ラインが直線へと変わる「頂点」を割り出す。これこそが、プロが実践する「先生」からの正しい教えの受け方だ。我々アマチュアも、同組のプレーヤーの調子や球のクセを観察する余裕を持てれば、グリーン上の景色はガラリと変わるかもしれない。
話を聞いていて非常に面白かったので、編集Hも試してみようと考えたが、まずは狙った場所にボールを打ち出す努力をしなければならないことに気が付く……。
17番の難しさとは?
481ヤードとタフな距離を誇る17番パー4は、2日目のデータにおいても全体で2番目の難関ホールとなっている。プロ125人がプレーした平均ストロークは「4.5840」を記録し、グリーンを2打で捉える「パーオン率」はわずか48.8%まで落ち込んでいる。
スコアの内訳を見ると、その破壊力がさらに際立つ。パーで切り抜けた選手が52人いる一方で、ボギーが48人、ダブルボギーが10人、トリプルボギー以上が4人。全体の約11%もの選手が、このホールだけで2打以上を失う大ケガを負っているのだ。
そんな極限の状況下で、バーディを奪うことができたのは125人中わずか11人(確率にして8.8%)という極めて狭き門だった。西山は、吉田という「最高の先生」が描いたラインに導かれたからこそ、この選ばれし11人の一人として名を連ねることができたのである。
※スタッツ情報は第2ラウンド・金曜日のデータを使用

