みんなのゴルフダイジェストの「みんゴルガチギアトラック」は、プロゴルファーの癸生川喜弘と小島慶太による、“ガチ”がコンセプトのシリーズ試打企画。今回は、小ぶりなヘッド形状と高い操作性で注目を集めるツアー系モデル、ミズノ「JPX ONE SELECT」を検証する。

「JPX ONE SELECT」のロフトは9度のみのラインナップ。空気抵抗が少なく、操作性に優れたツアー向けモデルとのこと。海外ブランドとは一線を画す「据わりの良さ」を特徴としながらも、クラウンの模様による視覚効果で、ディープでありながら構えたときには後ろが長くシャローに見える工夫が施されている。進化したフェーステクノロジーとヘッド構造の最適化により、オフセンターヒット時の余計なサイドスピン(ギア効果)を徹底的に抑制。「ミスをしてもねじれない」絶対的な直進性を誇る一本に仕上がっているという。
※スリーブによって±2度調整可能(7度~11度)

画像: ミズノ「JPX ONE SELECT」9度×TENSEI BLUE MM D55-Sで試打

ミズノ「JPX ONE SELECT」9度×TENSEI BLUE MM D55-Sで試打

小島(慶太): まず、見た目の印象はどうですか?

癸生川(ケブ兄): JPX ONEと比べてJPX ONE SELECTはディープ形状だね。昔のミズノの「300S(※1999年発売のヘッドサイズ300ccの名器)」とか、高機能なプロ好みの“げんこつ型”ヘッドを思い出させる。小ぶりだから空気抵抗がなくて、すごく振り抜きやすそうなイメージがあるね。

慶太: 海外ブランドなんかだと据わりの良さはあまり重視されず「重心のまま構えろ」となりがちですが、これはポンと置いたときの据わりの良さがすごく際立っていますよね。

ケブ兄: そうそう、据わりはすごくいい。面白いのが、横から見るとかなりディープ(厚みがある)なんだけど、構えたときの印象はシャロー(平べったく)に見えるんだよね。クラウンの後ろ側が長く見える作りになっていて、ディープ独特の「難しくて打てなさそう」という絶壁感がまったくなくて安心感があるよ。

慶太: そして今回の純正シャフト(TENSEI BLUE MMD55-S)はかなりしっかりしていますね。この小ぶりなヘッド形状にこのシャフトが合わさることで、自分で球を操作したい人にとっては最高の組み合わせになりそうです。このJPX ONE SELECTはロフト角が9度しかないということで、ヘッドスピード早めのプレーヤーをターゲットにしていると思いますので、HS45m/s前後で試打を行っていきます。データ計測は「GCクワッド」、ヘッドスピードは「トラックマン4」を使用します。

試打で使うボールはいつも通りタイトリスト「PRO V1」。では試打開始!

45m/s前後でセンターで試打!※ヘッドスピードはトラックマン換算で45m/s

45m/s前後でセンターヒットの試打データ

ケブ兄:めちゃくちゃ振りやすい。シャフトがしっかりしていて、ある程度のスピードでもしっかり耐えてくれる。だからこのスピード帯(45m/s前後)ならバチッと叩きにいける。そして球が強いね。しかも低い!

慶太: データを見ると、打ち出し角が9.9度となかなかの強い弾道ですね。でもスピン量は2600rpm台と適正にしっかり入っているので、球がドロップすることなく強弾道でコントロールされています。

ケブ兄: となると、この「打ち出しは低いけど、スピンを適正に入れてコントロールさせる」っていうのが、このクラブの大きな特徴なのかもしれないね。

慶太: 弾道としては、出だしのライン(ローンチディレクション)が真っすぐからわずかに右に出て、そこからドロー回転で戻らずにすーっと右に抜けていくような「押しカット」の球になっています。左へ巻いてしまう恐怖がまったくないので、フェードでタイトにラインを出したい実戦派のゴルファーには抜群に良いのではないでしょうか。次に、トウ・ヒールの打点ズレの検証に行ってみましょう。

【GCクワッドのデータ】
クラブスピード●45m/s
ボール初速●64m/s
打ち出し角●9.9度
スピン量●2689rpm
落下角度●33.0度
キャリー●236Y
飛距離●258Y
Hインパクト●0ミリ
Vインパクト●2ミリ低

45m/s前後でトウ側で打ってみる※ヘッドスピードはトラックマン換算で45m/s

45m/s前後でトウヒットの試打データ

ケブ兄:トウに当たったね。でも、強く左に巻き付いてしまうような嫌な挙動(ギア効果による強フック)は全然感じられないな。

慶太:その通りですね。GCクワッドのデータを見るとクラブスピードもボール初速もセンターヒット時と変わらないので、芯を外したことによるスピードのロスは最小限に抑えられています。スピン量も多少は減っていますが、極端にドロップするようなこともなく、キャリーもトータル飛距離もセンターヒットとほとんど変わりません。

ケブ兄:曲がり幅も安定しているね。

慶太: ただ、トウに当たった分、バルジの影響で打ち出しが少し右に出ています。通常ならそこからギア効果で左にフックして戻ってくるはずですが、スピンアクシス(回転軸)がほとんど変わっていません。つまり、ギア効果が抑えられているため、右に飛び出したまま右にすっと着弾する球になっています。良くも悪くも「つかまりすぎない」という特徴が顕著に出ていますね。ヘッドスピードがこれ以下だとスピンが足りずにドロップ気味になるかもしれませんが、45m/sあれば非常に安定したトウヒット性能と言えます。

【GCクワッドのデータ】
クラブスピード●45m/s
ボール初速●64m/s
打ち出し角●10.6度
スピン量●2369rpm
落下角度●31.7度
キャリー●237Y
飛距離●260Y
Hインパクト●17ミリ・トウ
Vインパクト●2ミリ低

45m/s前後でヒール側で打ってみる※ヘッドスピードはトラックマン換算で45m/s

45m/s前後でヒールヒットの試打データ

ケブ兄:うわ、ヒールに当たった。手に「ヒールだな……」という嫌な感触がしっかり残る。打った瞬間は「あ、右にすっぽ抜けた!」って思ったんだけど……。データを見ると球は左に行っているね。どういうこと?

慶太: これ、めちゃくちゃ面白いデータです。フェーストゥパス(軌道に対するフェース向き)はスクエアに揃っているのですが、打ち出し方向が1.5度ほど左に飛び出しています。普通、ヒールヒットはギア効果で右に大きくスライスして戻ってくるはずですが、それがまったく戻っていません。

ケブ兄:ということは、これもトウ側と同じでギア効果がかなり抑えられているってことか。ヒールに当たっても、必要以上に右に行かない仕様なんだね。

慶太: そうです。ヒールヒット時の右プッシュをクラブが完全に消してくれています。ただ、問題はボールスピードの落ち方です。ヒールヒット時のボール初速は61m/sと、センターヒット時に比べて大幅にガクンと落ちています。トータルの飛距離も15ヤード近くロスしてしまいました。スピンが増えた分、キャリーの落ちは少ないですが、距離の寛容性(縦距離のブレ幅)という面ではかなりシビアです。

ケブ兄:なるほどね。トウやヒールにズレたときの余計な曲がり(ギア効果)は徹底的に排除してくれるけど、芯をヒールに外したときの距離のペナルティは相応にあるわけだね。

【GCクワッドのデータ】
クラブスピード●45m/s
ボール初速●61m/s
打ち出し角●11.8度
スピン量●2771rpm
落下角度●35.4度
キャリー●223Y
飛距離●243Y
Hインパクト●28ミリ・ヒール
Vインパクト●7ミリ高

総評

画像: 分析を担当した小島慶太プロ(左)と試打を担当した癸生川喜弘プロ(右)

分析を担当した小島慶太プロ(左)と試打を担当した癸生川喜弘プロ(右)

慶太:センター、トウ、ヒールと検証してきましたが、この「JPX ONE SELECT」の最大のメッセージは、徹底して「打点ブレによるギア効果(余計なサイドスピン)を抑え込んでいる」という点にあると思います。アマチュアの多くは、スウィングが崩れてカットに振った結果、ヒールに当たったり、逆にフェースが閉じてトウに当たったりします。そうすると、打ち出し方向のミスにギア効果の曲がりが重なる「ダブルクラッシュ」が起きて大OBになりますが、このクラブはその2つ目のクラッシュ(ギア効果による予期せぬ曲がり)を綺麗に消してくれます。

ケブ兄:確かに、ヒールに当たっても必要以上にスライスしないし、トウに当たっても必要以上にドローしない。ミスはミスとして真っすぐプッシュアウトしたり引っかかったりしてくれるから、自分のスウィングエラーがそのまま結果として把握しやすい。一発の飛びや距離の寛容性という面では少しシビアだけど、コースの左右どちらかを完全に消してタイトに攻めたい実戦派にはこれ以上ない武器になるね。

慶太:スコアを出すという概念からすれば、余計なサイドスピンで想定外の逆球が出るのが一番怖いですからね。小ぶりでゲンコツ感のあるシャロー風ディープヘッドは操作性も抜群です。ヘッドスピード45m/s前後のアスリートや、叩いても左に巻かない強い弾道(押しカット)でラインを出していきたい実戦派ゴルファーに、ぜひフィッティングで試してほしいツアースペックな1本です。

画像1: ミズノ「JPX ONE SELECT」試打! プロが驚く「逆球が出ない」実戦的性能【ガチ試打計測】

データ分析担当:小島慶太

インドアゴルフスタジオ「ゴルフアップ」を主宰するトラックマンマスター。トーナメントプロ、ティーチングプロの資格を持つ。6店舗すべてレッスン受け放題、通い放題で各種スペックが揃った無料レンタルクラブも完備。稲毛海岸店ではGCクワッドが導入されている個室プレミアムルームも完備されている。

画像2: ミズノ「JPX ONE SELECT」試打! プロが驚く「逆球が出ない」実戦的性能【ガチ試打計測】

試打担当:癸生川喜弘

大学卒業後にオーストラリアに単身ゴルフ修行、2006年に日本プロゴルフ協会のプロテストに合格。現在はシニアツアーに挑戦する傍ら、アマチュアへのレッスンやダブルイーグル恵比寿店(毎週月曜日・火曜日)、ヴィクトリアゴルフ六本木ヒルズ店に勤務している。

THANKS/ゴルフアップ 稲毛海岸マリンピア専門館店

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