コスパ最強の「Qi10」か、調整自由自在の「Qi4D」か
GD テーラーメイドから新モデルの「Qi4D」が登場しましたが、今アウトレットへ行くと2世代前の「Qi10」と前モデルの「Qi35」、そして今回の「Qi4D」が新品で買えるという「奇跡のラインナップ」となっています。「売り切れ御免」ではありますが、改めてQiシリーズの3モデルが揃ったタイミングで、それぞれの立ち位置を整理してみたいと思うのですが。
長谷部 そうですね。先日「みんなのゴルフダイジェスト」の記事でも、ネリー・コルダの「Qi4D」のマッチングが話題になっていました。彼女はコアモデルを使い、4つのウェイト配分を細かく調整してドローを打ちやすくしたそうです。プロレベルのフィッティング精度が非常に高まっているからこそ、「Qi4D」の真価が発揮されていますが、一方で「Qi10」の人気も依然として根強い。2代前のモデルから最新作まで一通り試打できるのであれば、比較検討する価値は十分にあります。
GD マスターズでは、ローリー・マキロイが「Qi10」と「Qi4D」で連覇を達成したような形です。「Qi35」については少し毛色が違うという情報もありますが、一般的に言われている「Qi10とQi4Dの特性は近い」という見解はどうですか?
長谷部 その評価はおそらく正しいと思います。というのも、「Qi35」は慣性モーメント「10K」を極限まで追求した結果、ヘッド形状がかなり大きく、さらにマット(艶消し)塗装によって視覚的に膨張して見えるなど、外観の好みが分かれました。性能は進化していたものの、ゴルファーへの受けが必ずしも良くなかったという側面があります。
一方、「Qi10」はスコッティ・シェフラーが使い続けていることもあり、打感の軟らかさも含めて未だに現役バリバリの人気モデルですね。
GD かつて大ヒットした「SIM2」が最後のチタンフェースで、その後「ステルス」、「ステルス2」とカーボンウッドへ移行しました。当時は「本当にカーボンは飛ぶのか?」という懐疑的な声もありましたが、「Qiシリーズ」になってからはその疑念も消え、テーラーメイドのカーボンウッドが完全に市民権を得た気がします。
通常、テーラーメイドは2モデル周期で名称を変えますが、今回3モデル目も「Qiシリーズ」を継続したことは、この路線が一つの正解になった証でしょうか。
長谷部 今後の展開を予測するのは難しいですが、革新的な技術変化がない限り、現在の軽量ボディと余剰ウェイトの配分、さらにカーボンフェースの進化という延長線上で行くなら「Qi」の名は続くでしょう。
ただ、今年の「Qi4D」を打った感触では、「Qi10」よりも打感がしっかりしていて、弾きが強く感じられました。フェース面については多く語られていませんが、バルジ(曲率)の設定などを含め、着実にマイナーチェンジされている印象です。
GD どちらかと言えば、「Qi10」のほうが軟らかく、「グチャッ」とボールを潰す感触ですか?
長谷部 個人的な感想ですが、「Qi10」のほうがカーボンフェースらしい軟らかさを感じます。対して「Qi4D」は、よりチタンフェースに近い弾き感だと思います。
GD 最近、練習場で「Qi10」を使っている人をよく見かけるようになり、「なぜ今、これほど増えたのか」と気になってアウトレットを覗いたら、3世代が並んでお買い得価格になっていたんです。最新と大きな差がないなら、黒いグロス仕上げで高級感のある「Qi10」を選ぶのもアリではないかと。
長谷部 「Qi10」の艶ありブラックを「格好いい」と感じる日本人は多いでしょうね。限定で他モデルのグロス版も出ましたが、流通数は限られています。日本人の好みの引き締まって見える仕上げは「Qi10」の強みです。
対照的に、「Qi4D」はウェイト調整の幅が圧倒的です。重心位置を自分に合わせてカスタマイズできるため、低スピンにも高スピンにもなる。この調整幅を楽しみたいなら「Qi4D」ですね。また、ノーマル状態での比較では、「Qi4D」のほうがよりロースピン傾向にあると感じました。なので、個人的には「Qi4D」の黒いグロス仕上げの限定品はとても気になっています。
GD 重心距離の差はどうなっていますか?
長谷部 「Qi10」は重心距離が40mmを切っており、非常に振り抜きやすい設計です。「Qi4D」のノーマル設定よりも操作性が高く感じるでしょう。ただし、「Qi4D」はウェイトをヒール寄りや前方に動かすことで重心距離を変化させられるので、フィッティング次第で化ける余地があります。
GD 振り心地やフィッティングは微妙な差ですから、自分の調子のブレを考えれば、気に入った1本を使い込むのも趣味の世界では正解ですよね。安く買えるならなおさらです。
長谷部 アウトレットで3万円台の「Qi10」を見つけたら、コスパは最強と言えます。ツアーの第一線で戦える基本性能があり、最新モデルと横並びで比較しても決して見劣りしません。
GD ソールのヒール側にあるウェイトは、重心距離をさらに短くする効果があるのでしょうか?
長谷部 いわゆる「魔改造」ですね。純正ではなく互換のウェイトを購入される人がいますが、「Qi10コアモデル」にはヒール側にメーカー非公表ですが9から12gのウェイトが入っていて、これで重心距離が調整されていると思います。重心距離40mmを切る設定にするための重要なパーツです。
GD そう考えると、「Qi10」は決して「2年前の古いモデル」という括りで見る必要はないわけですね。
長谷部 世界ランク1位のシェフラーが使い続けていることが、その性能を何より証明しています。「ステルス」から「Qiシリーズ」への進化で、製造技術もピークに達しています。テーラーメイドはクラウンを全体的に覆うように曲げて作るため、他社のような接合部の筋がほとんど見えません。
GD 仕上げについても、「Qi10」は黒の艶ありで、「Qi35」と「Qi4D」はマットが基本です。プロモデルは艶ありが好まれる傾向にありますが、世界的にはどうなのですか?
長谷部 日本人は伝統的に光沢のあるブラックを好みますが、アメリカではグレーやマットな質感が好まれる文化があります。「Qi4D」の性能に惹かれつつも見た目で躊躇していた人にとって、「Qi10」は日本のゴルファーが満足できる綺麗な「顔」と性能を両立した選択肢になるはずです。
GD 最近はデータ重視で「顔の良さ」が語られにくくなりましたが、やはり自分の目で見て納得できる個体を選ぶ楽しみは残しておきたいです。もし店頭で複数の在庫があるならロフトやフェース角を吟味して1本を選ぶのはどうでしょう。個体差を吟味して買うのが正解だと思います。
長谷部 製造技術が向上したといえども公差がある以上、自分の目で見て納得した個体を手に入れることが、一番の信頼に繋がりますし、過去モデルなら試打評価情報も多くなるのでじっくり選びたい方には、それが一番良い選び方ですね。
余談ですが、つい先日、テーラーメイドが新製品サイクルを毎年ではなく2年ごとに変更するという記事を「みんなのゴルフダイジェスト」で読みました。2027年の新製品をスキップするとか。製造原価の高騰や過年度品の継続生産による利益減など開発ネタ事情よりも経営的事情があると見ています。
とはいえ、毎年の新製品を楽しみにしているテーラーメイドファンも少なからず居ると思うので、そのユーザーをどうケアするのか注目したいです。それと奇数年のピン、偶数年のタイトリストのどちらと戦うのか? を見た時に、タイトリストが年初の発売ではない点など踏まえると、勝てると判断したのかもしれません。
2027年には、またピンの一人勝ちが続くとも言えそうですし、キャロウェイにもチャンスが広がるのかもしれません。これまでヘッドサイズ展開、アジャスタブルホーゼル、ウェイト調整、カーボンによる軽量化などフィッティング機能の進化をリードしてきたテーラーメイドが、改めてじっくり開発して何を出してくるのかは楽しみしかないですね。
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