シネコックヒルズは全米オープンの歴史において、19世紀、20世紀、21世紀の3つの世紀にわたって大会が開催された唯一のコースであり、今回で通算6回目の開催となる。
「本コースの特徴は大きく2つあって、まず、バンカーの罠です。2018年大会の時よりもフェアウェイの幅が意図的に広げられ、砂漠のようなクロスバンカーの近くまで拡張されています。それによってティーショットがラフで止まらず、傾斜を転がってそのままバンカーへ吸い込まれやすいセッティングになっているので、ティーショットの落とし所は重要です。2つ目がグリーンの難易度の高さです。シネコックヒルズのグリーンは、選手たちから『パッティングの悪魔』と恐れられるほど過酷。手前(ピンの下)につけなければ3パットが確定してしまいます。ピン(カップ)に対して奥(下りライン)や横(フック・スライスライン)につけてしまうと、プロでも2パットで収めるのは至難の業です。本コースを攻略するには、ティーショットとパッティングの精度が欠かせません」(杉澤伸章キャディ、以下同)
コース特性を熟知する杉澤キャディが、相性の良さから今週の最注目株として名前を挙げたベテラン選手がいる。

杉澤伸章キャディが注目するハリス・イングリッシュ
「注目選手はハリス・イングリッシュです。PGAツアー通算5勝で、昨年は全米プロゴルフ選手権2位タイ、全英オープン単独2位とメジャー大会でも上位争いを演じています。ハリス・イングリッシュの特徴は、ティーショットの安定感とパッティングのうまさです。ティーショットはパワーで圧倒するタイプではなく、手堅い安定感と精度が持ち味です。フェアウェイを捉える『Driving Accuracy(フェアウェイキープ率)』は62.77%(ツアー30位)と非常に高い精度を誇っています。パッティングに関しては文句なしの素晴らしさで、パッティングの貢献度を示す『SG: Putting(ストロークス・ゲインド:パッティング)』でツアー全体6位(平均0.647打プラス)を記録しています」
ツアーでトップクラスのスタッツを持つハリス・イングリッシュ。杉澤キャディが彼に注目する理由は、スタッツ以上に、全米オープンで鍵となる「我慢強さ」にあるという。
「全米オープンは我慢大会であり、どれだけ辛抱強くいられるかが大会を制するカギになると思います。ハリス・イングリッシュ選手はキャリアの中で、『長期的な技術的スランプ』と『怪我による一時的な低迷』の2度、大きな苦境を経験しています。20代後半に陥った7年間の大スランプと、2022年の『右股関節の手術による低迷』から這い上がり、2025年の『ファーマーズ・インシュランス・オープン』で不屈の復活を遂げました。何度も這い上がってきた不屈のゴルファーだからこそ、全米オープンという我慢大会で勝負強さを見せてくれると思いますね」
今大会には、松山英樹に加え、米ツアー3年目の久常涼、そして日本予選会を勝ち抜いた初出場の大岩龍一、大西魁斗、佐藤大平の日本勢5名が世界の頂点に挑む。
U-NEXT/窪山京真
写真/USGA