PGAツアーのトップ選手72名が集結する「トラベラーズ選手権」。優勝者には通常の大会よりも多い700フェデックスカップポイントが付与され、今季最後の限定フィールド大会(シグネチャーイベント)として知られている。2025年大会は、トミー・フリートウッドらを1打差で振り切ったキーガン・ブラッドリーが通算15アンダーで優勝を飾っており、今年はディフェンディングチャンピオンとして連覇に挑む。
本大会は1952年から1983年まではウェザーズフィールド・カントリークラブで開催されていたが、1984年以降はクロムウェルへと場所を移し、今年もTPCリバーハイランズを舞台に幕を開ける。
「TPCリバーハイランズの特徴は、総ヤード数が6841ヤード(パー70)と、現代のPGAツアーの中では際立って短く狭いことですね。多くの選手に優勝のチャンスがあることは間違いありませんが、フェアウェイを外した際のペナルティ(ラフやバンカー)が非常に重いので、ショットの正確さと高い戦略性が求められます」(杉澤キャディ・以下同)
コースの特性を熟知する杉澤キャディは圧倒的なショット精度と緻密な戦略を併せ持つ、選手の名前を挙げてくれました。

杉澤キャディの注目はカナダのコーリー・コナーズ(写真は26年キャデラック選手権)
「注目はコーリー・コナーズですね。彼はツアー通算2勝を挙げていますが、2019年と2023年のいずれも『バレロテキサスオープン』です。彼の最大の特徴は手首の動きを抑え、大きな筋肉でクラブをコントロールしていること。これがティーショットからグリーンまでの精度の高さに繋がっており、プレッシャーのかかる場面でも安定したショットを生み出せる最大の理由です。
その精度の高さには、アイアンのセッティングも深く関わっています。ショートからミドルアイアンまでは操作性の高い『ブレードアイアン』、ロングアイアンには寛容性の高い『キャビティアイアン』というコンボセットを導入して最適化を追求しています。また、アイアンのシャフトも『True Temper Project X 6.0』と、PGAツアー選手の中では比較的軟らかいものを採用しており、無理して振らないように彼自身のスウィングリズムに合わせたシャフトを選んでいます」
アイアンにこだわりを持ち、ショットの正確性を追求するコーリー・コナーズ。彼のショットの原点には、ある人物との出会いがある。
「伝説のボールストライカーである“モー・ノーマン”とコナーズのエピソードは欠かせません。彼らが出会ったのは、コナーズがまだ12歳の少年だった頃です。コナーズの地元であるリストウェル・ゴルフクラブの練習グリーンで、長い時間、パッティングやアプローチの練習に没頭していた時、モー・ノーマンから『これを持っていきなさい』と、シニアフレックス(軟らかめ)のシャフトが挿さったドライバーをプレゼントされたらしいです。
コナーズはそのドライバーを非常に気に入り、数カ月後のジュニア大会でそのクラブを使って見事に優勝を果たしました。偉大なボールストライカーであったモー・ノーマンからの贈り物と、彼との直接の出会いは、少年の心に大きなインスピレーションを与えました。それを原点としてショットの精度に磨きをかけ続けた結果、現在ではノーマンの系譜を継ぐ『現代最高のアイアンプレーヤー』の1人と称され、PGAツアー屈指のボールストライカーへと成長を遂げたのです」
杉澤キャディ注目の現代カナダの天才「コーリー・コナーズ」が制するか、日本が誇る名手「松山英樹」が12勝目を果たすか、現代の絶対王者「スコッティ・シェフラー」が圧倒するか。全米オープンの「静かなる消耗戦」という重圧から解放された、天才ボールストライカーたちの戦いから目が離せない。
U-NEXT/窪山京真
写真/岩本芳弘
