後半のチャージを支えた「パッティング」と「攻めの姿勢」
この日のハイライトは、なんといっても圧巻の後半のチャージだろう。7番ホールでの鮮やかなイーグルを含め、後半だけで一気に5つスコアを伸ばしてみせた。しかし、ラウンド後のU-NEXTゴルフのインタビューで彼女の口から語られたのは、意外にも「決していいショットが続いたわけではなかった」という冷静な自己評価だった。
ショットが本調子ではないなかで、なぜこれほどまでにスコアを伸ばすことができたのか。その要因を彼女は「結構長いパットがうまく決められたので、そこが良かったんじゃないかなと思います」と振り返る。グリーン上での高い集中力が、ショットのブレを見事にカバーしていたのだ。

「長いパットが入った」と話す畑岡奈紗
さらに、好スコアの裏には天候やコースコンディションの微妙な変化を読み取る、見事なコースマネジメントがあった。午後からのスタートとなったこの日のラウンドについて、「思ったより風が吹かなくて良かったなとは思いますし、グリーンもそこまで硬いところは少なかった」と状況を的確に把握。「昨日よりかはデッドに攻めることを意識してました」と語る通り、チャンスと見るや迷わずピンを狙っていく「攻めの姿勢」が、ビッグスコアへと直結したのである。
その象徴が、7番(516ヤード・パー5)でのイーグルだ。コースガイドでは「グリーン左側に大きな池が待ち構えており、2オンを狙うのはリスキー」と警戒されている難関ホールだが、彼女は左側の池を恐れることなく果敢に2オンに挑み、見事にイーグルを奪い取った。まさに彼女のアグレッシブなマネジメントが結実した瞬間だった。
【動画】畑岡奈紗、7番のイーグルパット【U-NEXTゴルフ公式X】
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x.comショットの修正力と、データが示す圧倒的な適応力
絶好の位置につけながらも、彼女に浮かれた様子は微塵もない。自身のショットが抱える課題についても、極めて客観的に見つめている。
「今日も少し振り遅れているところがあった」とスイングのズレを率直に認めつつも、彼女の本当の凄さは、それをラウンド中に修正していく圧倒的な適応力にある。
「本当に最後、後半の残り3、4ホールはいいフィーリングがあったと思いますし、それがラウンド中もうまく生かせたと思うので、週末はそれをずっと継続できるように頑張りたい」

2日目、グリーンを狙うショットの精度を示す「SG: Approach to Green」が「3.966」で全体の1位になった畑岡
実際、この言葉を裏付ける強力なデータがある。公式ノートによれば、この日彼女は「最後の3ホールを3アンダーでプレーした」と特筆されている。ラウンド中にスウィングを修正し、上がり3ホールで確実にスコアを伸ばしてみせた事実が、彼女の圧倒的な適応力を証明している。試合の中で感覚を研ぎ澄まし、立て直していく力は、まさにメジャーで勝つために不可欠な要素だ。
そして、決勝ラウンドに向けても決して楽観はしていない。「週末はまた風が吹く予報なので、また違ったゴルフになると思うんですけど、しっかり自分のプレーに徹して頑張りたい」と、タフなコンディションを想定し、ただ己のゴルフにのみ集中する覚悟を口にした。
2018年の因縁と、サンデーバックナインでの勝負強さ
2位タイという絶好のポジションで迎える週末。しかし、単独首位を走るユン・イナ(12アンダー)の背中は、まだ少し先にある。
「今の時点でも5打離れてしまっているので、どんどん攻めていって、明日もたくさんバーディが取れるように頑張りたいと思います」
冷静な自己分析の奥底で燃えたぎる、メジャータイトルへの強烈な渇望。その背景には、この大会との浅からぬ因縁がある。実は彼女が過去にメジャーで最も優勝に近づいた一つが、19歳で挑んだ2018年の「KPMG全米女子プロ」での2位タイ(プレーオフでの敗退)なのだ。
畑岡は「日曜日に優勝争いに絡んだ際、崩れずに順位を保つ傾向がある」という公式データがある。19歳で惜敗した2018年大会の雪辱を果たすべく、持ち前のサンデーバックナインでの強さを発揮して、首位の背中を猛追するはずだ。 悲願達成へ向けて視界は良好。より一層アグレッシブにピンを攻め抜く畑岡奈紗の果敢な挑戦から、一瞬たりとも目が離せない。
写真/PGAオブ・アメリカ
【動画】畑岡奈紗、2日目ラウンド後のインタビュー【U-NEXTゴルフ公式X】
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