アブダビでの鮮烈なデビューと、マスターズ連覇への原動力
最新モデル「Qi4D」シリーズ。その性能が世界に知れ渡るきっかけは、なんといっても昨秋の欧州ツアー「アブダビHSBC選手権」だった。マキロイが394ヤードのパー4で1オンさせた衝撃のビッグドライブは、カーボンウッドのさらなる進化を印象づけた。
しかし、本質は一発の飛びだけではない。マキロイが今年のマスターズで「連覇」を達成し、2026年シーズンもPGAツアーでスタッツの向上を見せ続けている点に注目したい。トッププロたちが次々とスイッチした理由を、生の声とデータから紐解いていこう。
マスターズ全選手中1位。初速アップがもたらした驚異のスタッツ
マキロイのスタッツの変化は顕著だ。主にQi10を使用していた2025年のドライビングディスタンス323.0ヤードから、「Qi4D」に移行した今年は平均327.8ヤード(ツアー2位)へ約5ヤードの伸びを記録している。
背景にあるのは「初速の底上げ」だ。テストではボールスピード(初速)が平均時速2マイル(約0.9m/s)向上したといい、その恩恵が最も現れたのが連覇を達成した4月のマスターズだった。
2026年マスターズでは、マキロイは最大ボールスピード190mph(約85m/s)を記録し、平均飛距離334.0ヤードでフィールド1位をマーク。さらに2026年PGA TOURシーズンでは、ティーショットの貢献度を示すSG: Off-the-Teeでも1位(0.845)に立っている。

Qi4Dドライバーに替えて、ますますティーショットの威力が増しているマキロイ
ローリー・マキロイ
「構えた時の見た目が好きで、すぐに使いたいと思いました。初速が向上してキャリーも伸びましたし、フィッティングがしやすくスムーズにスイッチできました」
この進化を支えるのが第5世代のカーボンフェースと新フェースロールデザインだ。フェースの縦軸方向にわずかな丸みを持たせ、上下の打点ブレによるスピン量のバラつきを抑制。カーボンフェースが高いエネルギー伝達効率を生み、ミスヒット時の初速ロスを防いでパワーを推進力へと変換している。
あえて後方を重くしたマキロイの意図を考察
ここでは、マキロイが選択した具体的なスペックに注目したい。
【ローリー・マキロイ Qi4Dドライバーセッティング】
・ヘッド: Qi4D(コアモデル/ 9度)
・スリーブ調整: 2クリックLOWER
・TASウェイト: 前方4g×2、後方11g×2
・シャフト: フジクラ VENTUS BLACK(6X/45インチ)

【マキロイ使用ドライバー】Qi4D 9度 ロフトを立てて使用
後方ウェイトを重くすると重心が深くなり、バックスピン量が増える方向に動く。パワーヒッターであれば吹き上がるリスクがあるため、一見矛盾するセッティングだ。
後方ウェイトを重くした目的は「慣性モーメント(MOI)を極限まで高め、打点ブレ時のエネルギーロスを徹底的に抑え込むこと」にある。これでミスヒット時でも高初速を維持するベースが作れる。
一方、増えるはずのスピン量は、ネック調整で実際のロフトを8度台まで立たせることで解決。さらに、スピンを抑える「VENTUS BLACK」を組み合わせ、最適なスピン量へと導いた。
結果、「高MOIによるミスへの強さ」と「適正スピン」を両立。このシビアな調整を高いレベルで受け止めるヘッドのポテンシャルが「Qi4D」にはある。
ドライバー変更に慎重なコリン・モリカワが「Qi4D LS」に定着した理由
ギア変更にシビアなコリン・モリカワの動きも完成度を物語る。モリカワは今年2月の「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」で「Qi4D LS」を武器にツアー優勝を飾った。

【モリカワ使用ドライバー】Qi4D LS 8度 モリカワはマキロイとは逆にロフトを増やす調整を施している
コリン・モリカワ
「打ち出しのスピードや高さが気に入っています。私のスウィング軌道ではボールを上げることに苦労する場面もありましたが、これは高く打ち上げやすい。少しロフトを寝かせて使っていますが、理想的な弾道の高さになりました。重量バランスが良く、左へのミスを警戒せずにフェードを打つことができます」
モリカワは前方に15g、後方に7gのウェイトを配するカスタムで最適化。ロースピン設計ながら「球の上がりにくさ」を感じさせず、高弾道と寛容性を維持できる点が、操作性を重視する彼の信頼を勝ち取った。
日本期待の若手、久常涼が求める「コントロール性能」
同じく「Qi4D LS」でPGAツアーを戦う久常涼は、形状へのこだわりとコントロール性の高さを理由に挙げる。

【久常涼使用ドライバー】Qi4D LS 10.5度 平均飛距離もフェアウェイキープ率も向上
久常涼
「僕は元々、塊感のある小ぶりなヘッドを好むタイプ。『Qi4D LS』は据わりの良さや構えやすさが抜群。操作性が良くコントロールしやすい構造のうえに、しっかりと飛距離が出ていたことがエース昇格の決め手です」
2025年シーズンは平均297.5ヤードと、パワーヒッターがひしめくPGAツアーにおいてはやや飛距離に苦しんでいた傾向があった。しかし、2026年シーズンに入るとアベレージは305.1ヤードまで急上昇。ツアー内のディスタンス順位も144位から74位へとジャンプアップした。
さらに久常の場合、アキュラシー(フェアウェイキープ)の数値は下がるどころか62.05%から62.70%(ツアー35位)へとむしろ向上しているのだ。
本人の形状の好みを満たしつつ、飛距離を伸ばし、かつフェアウェイを高確率でとらえ続ける理由。それは、「Qi4D」シリーズのカーボンフェースが持つ「打点ブレへの強さ(初速ロスとスピン量の抑制)」が数字となって現れたからだ。
飛距離を約8ヤード伸ばしつつ、ツアー上位35位に食い込むアキュラシーを維持している現在のスタッツは、マキロイとはまた違った形で「Qi4D」シリーズの優位性を強烈に裏付けている。
アマチュアの武器にもなる「高い寛容性」と「アジャスト力」
なぜプレースタイルの異なるプロたちが、短期間で結果を残せるのか。背景には、今作から導入された「TASウェイト」によるフィッティング能力の高さがある。

Qi4D(コアモデル)は前方と後方に2カ所ずつウェイトが配置されている
ツアーを見つめると、タイプを選ばない「高い寛容性」と「調整幅の広さ」という本質が浮かび上がる。マキロイの「高MOIと初速最大化」、モリカワの「理想の打ち出し」、久常の「優れた操作性」が同一シリーズ内で成立している。
この特性はアマチュアにとっても大きな恩恵をもたらす。
コアモデルの「Qi4D」のバックウェイトを重くしてロフトを立てれば、打点ブレに強く吹き上がらない強弾道が手に入る。「Qi4D LS」を選べば、低スピン特有のシビアさに悩むことなく、ニュートラルな操作性と理想的な打ち出しの高さを確保できる。
個々の弱点を補い、強みを引き出すポテンシャル。打点ブレによる初速ロスやスピン量の過不足に悩む一般ゴルファーにとって、多彩なアジャスト力を備えた「Qi4D」シリーズこそ、最新ドライバーの恩恵を最も大きく享受できるはずだ。トッププロの圧倒的なスタッツの進化は、決して遠い世界の出来事ではない。
※データは2026年6月26日現在
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