トッププロたちが語る新ルーティングの意図と評価
この新ルーティングの背景には、明確な意図がある。新たな配置により、終盤の14番から18番ホールがクラブハウスのすぐ近くに集まる形となったのだ。
メジャー覇者のジョン・ラームは、「スポンサーや観客にとって移動距離が減り、非常に見やすくなる。土日のバックナインはより熱狂的(エレクトリック)になるはずだ」と、ギャラリーとの一体感が増すこの変更を高く評価している。また、ビクトール・ホブランの「ワンオン可能な短いパー4や短いパー3が終盤に続くことで、フィニッシュがよりエキサイティングになった」という好意的な言葉も、今回の入れ替えマジックを物語っている。実はこの変更により、昨年まで前半にあった347ヤードの短いパー4(旧5番)と147ヤードの短いパー3(旧6番)が、まさに勝負所の新14番、15番として組み込まれたからだ。
さらに、2020年大会覇者で、今年の全米プロを制したアーロン・ライは、この変更がもたらす「コースの流れ」について、より戦略的な視点からこう分析する。
「コース自体のデザインが大きく変わったわけではなく、バンカーがいくつか追加された程度。しかし、コースの流れやフィーリングには影響を与えると思う。難しいホールが続く場面と、スコアを伸ばすチャンスとなる場面がはっきりと分かれる。このルーティングの変更は、コース全体にバランスと流れを生み出すためのものだと思うし、本当に良い変更だと思う。考えるべきことが増え、コースにとってのさらなる進化だよ」
一方で、選手たちにとっては実務的な苦労も少なくない。昨年の覇者であるクリス・ゴッタラップは、会見で新ルーティングについて聞かれると、次のようにリアルな戸惑いを明かして苦笑いを見せた。
「少し混乱するよ。まだ2回しか出場していないのに。プレーの仕方が大きく変わるわけではないけれど、コースの流れが違う。自分が今何番ホールにいるのか覚えておかないといけないし、ヤーデージブックのメモも全部ごちゃ混ぜになってしまったよ」

今年もルネサンスクラブで開催されるジェネシス・スコットランドオープン。リンクスはどのようにトッププロを迎えるのだろうか
さらにゴッタラップは、バックナインの難易度変化についてこう分析している。
「去年は終盤(16番など)にスコアを伸ばせるパー5や短いホールがあったが、今年はタフなパー4が続くことになる。去年よりもタフなフィニッシュになるだろう」
難易度と興奮が凝縮された新しい上がりホールは、選手たちにとってもチャレンジングで、これまで以上にプレッシャーのかかる舞台となりそうだ。
「全英オープン」への最終切符を懸けた戦い
そして、今大会にはファンとして見逃せないもう一つの重要な側面がある。それは、今大会が「オープン・クォリファイング・シリーズ(OQS)」の最終戦に指定されていることだ。
次週、ロイヤルバークデールで開催される第154回「全英オープン」。その夢の舞台への出場権を持たない選手たちにとって、これが正真正銘、最後のチャンスとなる。予選を通過し、すでに資格を持つ選手を除く上位3名にのみ、全英への切符が与えられる。
日本のゴルフファンにとっても、このサバイバルレースは決して対岸の火事ではない。今大会には日本勢として、星野陸也、中島啓太、桂川有人、そして金子駆大の4人が出場する。このうち、すでに全英への出場権を確実にしているのは金子ただ一人だ。つまり、星野、中島、桂川の3人にとっては、これが夢の舞台へ通じる残された唯一の道となる。
単なる優勝争いにとどまらず、トッププロたちが残り3枠を懸けてしのぎを削る、血の滲むようなデッドヒート。強豪ひしめくリンクスで上位に食い込み、全英への切符を勝ち取る日本人選手は現れるのか。彼らの意地を懸けた戦いからも目が離せない。
風と新レイアウトが織りなす予測不能なドラマ
事前の気象予報によれば、日曜日から火曜日にかけて風速35マイル(約15m/s)に迫る突風が吹き荒れるなど、リンクス特有のタフなコンディションが予想されている。
猛烈な強風と、パー5が消滅し息をつく暇もない新しいバックナインのレイアウト。これらが複雑に絡み合うことで、週末の優勝争い、そして全英切符を懸けたデッドヒートは、かつてないほどスリリングなものになるだろう。
実は、2023年大会のローリー・マキロイ、2024年大会のロバート・マッキンタイアは、いずれも最終日の18番ホールで劇的なバーディを奪い、1打差で優勝を飾っている。この「最終ホールのバーディで決着する」という近年の大会の傾向が、終盤のレイアウトが激変しタフになった今年、果たしてどうなるのか。
自然の気まぐれと新戦略が織りなす予測不能なドラマから、今週は一瞬たりとも目が離せない。
写真/Getty Images