17歳の「真の天才」マイルズ・ラッセルの素顔
17歳のマイルズ・ラッセルは、先の「全米オープン」予選会でタイガー・ウッズの息子であるチャーリーをキャディに起用し、大きな話題を呼んだ。しかし、彼は単なる「タイガーの息子を起用した話題の若者」ではない。タイガーらも受賞した「AJGA(米国ジュニアゴルフ協会)年間最優秀選手賞」を2度受賞するエリートであり、15歳の時には下部ツアー(コーンフェリーツアー)の大会で史上最年少での予選通過記録(20位タイ)を打ち立てた真の天才なのだ。
同世代のチャーリーの役割は「リラックスさせてくれること」だったが、今週のISCO選手権では勝手が違う。ツアー屈指のベテランキャディ、ポール・テソリとタッグを組むのだ。「ポールも僕をリラックスさせてくれるけれど、プロのキャディとしてコース戦略を練ってくれる」と、17歳は本格的なツアーの戦い方に目を輝かせている。

26年全米オープン最終日最終ホール。マイルズ・ラッセルは父であるジョーさんにキャディバッグを担いでもらった
そんなラッセルだが、全米オープンの最終ホールでは、少し気の利いた演出を見せた。最終日の18番で父親にバッグを担いでもらったのだ。これは、地元の友人であるスティーブ・ウィートクロフトからの「もし本戦で予選通過(決勝ラウンド進出)を果たしたら、絶対にやるべきだ」というアドバイスによるものだった。「ただの父と息子の時間。僕たちの一生の思い出になるはずだった」と振り返るその素顔は、世界を驚かせる天才プレーヤーではなく、家族を愛する一人の心優しい少年のものだった。
エリートゆえの重圧。ジャクソン・コイブンのリアルな葛藤
一方、彼と同組で回るジャクソン・コイブンは、大学ゴルフ界において規格外の実績を引っ提げてプロの世界に飛び込んできた。史上初となる3つの最優秀選手賞(ハスキンス賞、ホーガン賞、ニクラス賞)を「2度」も受賞するという、まさに無双状態でのツアー参戦だ。

マイルズ・ラッセルの父であるジョーさんと健闘をたたえ合うジャクソン・コイブン
さらに、プロ転向直前の「全米オープン」では見事にローアマチュア(ベストアマ)を獲得している。実はこの大会で、ラッセルとコイブンは予選を通過したわずか5人のアマチュアのうちの2人であり、決勝ラウンドの2日間を同組でプレーしていた。
しかし、直前のメジャー大会で最高の結果を出した輝かしいアマチュアキャリアは、時に重い足枷となる。プロデビュー戦となった先週の「ジョンディアクラシック」で、彼は予選落ちという手痛い洗礼を受けた。
「外部からのノイズや期待と戦ってしまった。外からのプレッシャーを感じたのは久しぶりで、慣れない感情が自分のマインドセットに漏れ込んでしまった」
会見でそう語ったコイブンの言葉には、エリート街道を歩んできた若者が初めて直面したリアルな葛藤と反省が滲んでいた。ゴルフという競技は、どれほどスウィングが完璧でも、心のわずかな揺らぎがスコアに直結する残酷なスポーツだということを、彼は身をもって学んでいる最中なのだ。
重圧を解き放つ「親友とのペアリング」

“17歳の天才”マイルズ・ラッセル(左)と“大学ゴルフ界のスーパースター”ジャクソン・コイブン(右)
重圧の波に飲み込まれそうになる若き才能たち。しかし、今週のペアリングは彼らにとって大きな救いになるかもしれない。ラッセル、コイブン、そしてプロ転向直後のベン・ジェームスという若手3人の同組だ。
コイブンは会見で、このペアリングについて「僕とベンはとても仲が良いんだ。それに全米オープンでマイルズとも一緒にプレーできたしね」と語っている。単なる「よく知っているメンバー」というだけでなく、親友であり、大舞台を共に戦った戦友でもある。だからこそ、「ただコースに出て、楽しい時間を過ごすだけだ」とリラックスした表情を見せられるのだ。
プロツアーという容赦ないプレッシャーのなかで、同世代と笑い合いながらコースを歩く時間が、彼らの強張った肩の力を抜いてくれるはずだ。PGAツアーの未来を担う若きスター候補たちが、今週どんな本来の輝きを解き放つのか。彼らの等身大の挑戦から目が離せない。
写真/USGA
