マイケル・ソービヨンセン:「リンクスの解放感」で全英切符を奪取
通算12アンダーの7位タイに食い込み、見事に全英切符を手にしたマイケル・ソービヨンセンの最終日は、まさにジェットコースターのような1日だった。
ラウンドの序盤から中盤にかけて、彼のスコアは停滞した。「14番ホール付近までは2オーバーと苦しんでいた」と彼自身が振り返る通り、一時は切符が絶望視される位置にいた。しかし、終盤に入ってから劇的な巻き返しを見せる。

プロ3年目のマイケル・ソービヨンセンは初の全英OPに挑む(写真は25年ベイカレント C レクサス、撮影/岡沢裕行)
プレッシャーのかかる場面で彼を救ったのは、スコットランドのリンクスがもたらす自由さだった。彼はリンクスでのプレーについて、「ここではどこでもドライバーを打つ必要はないし、極端に低い球を打つこともできる。自分のゲームにおいて非常にクリエイティブになれるし、それが自分を少し自由(フリー)にしてくれた」と語る。この環境を楽しむ余裕を持てたことで、「しっくりこない中で何かを見つけ、それに固執した」というソービヨンセンは、上がり数ホールでバーディラッシュを見せ、土壇場でメジャーへの切符をさらってみせた。
劇的な結末に興奮冷めやらぬ彼だが、ホールアウト後には思わぬ「現実」が待っていた。
「出場権を持っていなかったので、宿の手配も予定も全くしていないんだ。これからの24時間は大パニックになるだろうね。でも、これは『最高の悩み(良い問題)』だよ」
宿無しのドタバタ劇すらも、メジャー切符の喜びに包まれていた。
ビクトル・ペレス:1年越しの雪辱が生んだ、ベテランの冷静な「引き算」
通算11アンダーの9位タイで滑り込んだビクトル・ペレスは、ベテランらしい巧みな状況判断とメンタルコントロールを見せた。最終日に「66」の猛チャージを見せたペレスだったが、彼のハイライトはそのスコアメイクの「中身」にある。
実はペレスは、それまで4年連続で全英オープンに出場していたものの、昨年はその出場を逃していた。

LIVゴルフの「クリークスGC」のメンバーであるビクトル・ぺレス。2年ぶりの全英の切符を手にした(写真は26年LIVゴルフ・メキシコシティ、提供/LIVゴルフ)
「(全英の)すべてが特別だ。あの歴史、あのような大規模なイベントでプレーすること、すべてがね」と全英への並々ならぬ渇望を口にしていた彼にとって、今回のチャンスは1年越しの雪辱の舞台でもあった。
だからこそ、終盤の残り4ホール、パー3の右側に設置された巨大なスクリーンでリーダーボードを見上げたとき、彼の心境に明確な変化が訪れた。
「首位がはるか先(15アンダー)にいるのを見たんだ。このトーナメントで優勝するチャンスはもう無いと悟ったよ」
しかし、この現実的な諦めが逆に彼を救うことになる。
「ある意味、首位が遠く離れていたのは良かった。自分にはもう『全英切符』しかプレーする目的がなかったからね」
優勝という重圧から解放され、全英出場という最大の目的にフォーカスできたペレスは、「あとはいかに最後までうまくマネジメントするかだった」と語り、1年越しの執念を胸に、ベテランらしく極めて冷静に終盤の難所を乗り切った。
ジョニー・キーファー:重圧をはねのけた「プロセスへのコミット」
通算13アンダーの3位タイという素晴らしい成績で大会を終え、堂々と全英への切符を手にしたのがジョニー・キーファーだ。

全英行きを決めたことで今年の全メジャーに出場できることになったジョニー・キーファー(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ、撮影/岩本芳弘)
今季のメジャー3戦に出場中のキーファーだが、この大会を迎えるまで全英の切符も持っていなかった。初の全英切符がちらつく緊迫した終盤のプレーについて問われると、彼はこう振り返った。
「とにかく目の前のことに集中し、自分のプロセスとゲームにコミットしようとした。そして、自分のクリエイティビティを強みとして活かそうとしたんだ」
重圧に呑まれることなく、自身のスタイルを貫き通した結果としてのメジャー行き。「本当に大きな意味がある。最高の結果というだけでなく、全英に出場できるなんて、とにかく楽しい気分だよ」と、喜びを素直に爆発させた。
「ロイヤルバークデールは最高のオープン会場の一つだと聞いている。リンクスゴルフをもっとプレーできるのが本当に楽しみだ」と、次なる夢の舞台へ早くも思いを馳せている。
聖地へ続く、もう一つの凱歌

左からマイケル・ソービヨンセン、ビクトル・ペレス、ジョニー・キーファー
華やかな優勝トロフィーには手が届かなかったかもしれない。しかし、彼らにとっては「全英切符」という何よりの勝利を手にした1週間だった。スコットランドの風の中で繰り広げられた泥臭い生き残り戦。そこで掴み取った自信と、宿探しの嬉しいパニックを抱え、彼らは誇り高くロイヤルバークデールへと向かう。
