初代受賞者の栄誉。アダム・スコットが初代受賞した「スピリット・オブ・ゴルフ」
一つ目のハイライトは、R&Aによる新たなアワードの設立と、その記念すべき初代受賞者の発表だった。

史上2人目となるメジャー101回連続出場を果たすアダム・スコット
R&Aは今年、ゴルフの価値観、振る舞い、そして伝統を世界規模で体現している人物を称えるための「スピリット・オブ・ゴルフ・アワード(Spirit of Golf Award)」を新設。そして、この名誉ある初代受賞者として、オーストラリアのアダム・スコットが選出されたのである。
R&Aのチーフ・エグゼクティブ(CEO)を務めるマーク・ダーボンは、会見の場でスコットへ最大級の賛辞を贈った。
「アダムは、そのキャリアを通じて常にインテグリティ(誠実さ)、リスペクト、そしてゲームへの情熱を示してきた究極のプロフェッショナルです。彼をこの初代アワードで称えることができることを、私たちは非常に誇りに思っています」
今大会でメジャー「101回連続出場」という驚異的な金字塔を打ち立てるスコット。ゴルフの長い歴史において、メジャー100回連続出場の大台を突破したのは、あの“帝王”ジャック・ニクラス(146回)とアダム・スコットの2人しか存在しない。
栄えある受賞に対し、スコット本人は端正な人柄がにじみ出るエモーショナルなコメントを寄せた。
「ゴルフというゲームに生涯を捧げてきた人間として、プレーの観点からだけでなく、このスポーツにとって不可欠な『価値観』を守り続けてきたことが評価されたのは、本当に意義深いことです」
端正なスウィングと甘いマスクだけでなく、世界中のファンや関係者から愛される誠実な人間性が、ゴルフ界の総本山から公式に称えられた瞬間であった。
聖地に響いた「Miyu Yamashita」への敬意
そして二つ目のハイライトは、本戦を控えた火曜日に行われた事前エキシビションイベント「ヒーローズ・クラシック」における出来事だ。

エキシビションマッチ「ヒーローズ・クラシック」に出場した山下美夢有
3ホールのスクランブル戦として和やかな雰囲気の中で行われたこのイベントには、現在の世界ランキング1位であるスコッティ・シェフラーを筆頭に、過去にこのロイヤルバークデールで全英を制したジョーダン・スピース(2017年覇者)やパドレイグ・ハリントン(2008年覇者)、そして地元サウスポート出身のトミー・フリートウッドやジャスティン・ローズといった、まさに歴史に名を刻む錚々たるスーパースターたちが一堂に会していた。
ダーボンCEOは公式会見の場で、この綺羅星のようなレジェンドたちと並び立ち、聖地のフェアウェイを歩いた特別な一人の名前を、深い敬意とともに紹介した。
「昨日のヒーローズ・クラシックでは、私たちの現オープンチャンピオンであるスコッティ・シェフラーとミユ・ヤマシタ(Miyu Yamashita)が、他のチャンピオンや著名人たちとともに3ホールのスクランブル戦で競い合う姿が見られました。それは素晴らしい時間でした」
昨年の「AIG女子オープン(全英女子)」を制した日本の山下美夢有が、現役の女子メジャー覇者としての格式と多大なリスペクトをもって、男子の全英オープンという「世界一の祭典」の主役に招待されていたのである。男子ツアーの絶対王者であるシェフラーらとともに、山下が肩を並べてプレーを共にしたという事実は、日本のゴルフファンにとってもこれ以上ないほど誇らしく、胸が熱くなる事実だろう。
記録を超えたゴルフの豊かさ

山下美夢有と日本に所縁のあるアダム・スコットへのリスペクトは我々日本人としてもうれしい限り
ロイヤルバークデールの過酷な高速リンクスコースでは、間もなく選手たちの容赦ないスコアの奪い合いが始まる。しかし、その開幕前夜に響き渡ったのは、偉大な人格者であるアダム・スコットを称える温かい拍手と、世界の頂点に立った日本の女子チャンピオン「Miyu Yamashita」への惜しみないリスペクトだった。
記録やスコアを追い求める闘争心だけでなく、他者への敬意や誠実さといった美しい精神性が、こうして伝統ある大舞台でしっかりと称えられる。それこそが、ゴルフというスポーツが持つ真の豊かさであり、全英オープンという大会が世界中の人々から愛され続ける理由なのだろう。
写真/R&A提供
