発売早々、『GTS』シリーズの評判がいい。テクノロジーをひも解くと、“評判の良さ”の正体が見えてくる。そのカギを握るのが前作『GT』シリーズから採用された新素材「PMP」。この素材がもたらした進化の秘密を、本国のキーマンに聞いた。
画像: 【タイトリストGTSシリーズ】完成度規格外の“飛び”と“安定性”。新素材“PMP”がもたらしたものとは? 本国のキーマン独占取材

タイトリスト本国の“キーマン”に独占取材
トモ・バイステット(左)/アクシネット ジャパン インク タイトリスト ゴルフクラブ シニアディレクター
トム・フィッシャー(右)/グローバル プロダクトディレクター

画像: 「PMP」とは、プロプライエタリー・マトリックス・ポリマーの略。タイトリスト独自の新素材で前作『GT』シリーズから採用。軽量で高い耐久性を持ち、この新素材の発見こそ、タイトリストの掲げる「すべてのパフォーマンス特性を高いレベルへと引き上げる」ことを可能にした

「PMP」とは、プロプライエタリー・マトリックス・ポリマーの略。タイトリスト独自の新素材で前作『GT』シリーズから採用。軽量で高い耐久性を持ち、この新素材の発見こそ、タイトリストの掲げる「すべてのパフォーマンス特性を高いレベルへと引き上げる」ことを可能にした

性能はもちろん、見た目、音、打感…
「我々は“すべてが完璧”でなければならない」(トム・フィッシャー氏)

PMP/チタンとは比にならない重量感

今までのチタン素材では、2~3gの余剰重量を確保するだけでも大仕事だった。対して『PMP』は、27gの重量を確保することに成功。重量配分の自由度が一気に増した。

PMP効果①
スピードと安定性の両立

前作よりも、(PMPの)使用面積が60%増加したことで余剰重量が飛躍的に増えた。多くのメーカーは、後方に重さを持っていき安定性を担保するが、GTSは後方だけでなく前方にも十分な量の重さを持っていくことができた。タイトリストはこれを、「スプリット マス コンストラクション」と呼ぶ。

画像: PMP効果①は、スピードと安定性の両立

PMP効果①は、スピードと安定性の両立

PMP効果②
見た目の美しさと心地よい打音

タイトリストは、「気を散らしたり、不快感を与えてはいけない」と考え、アドレス時の視界をクリーンにすることに時間と手間をかける。時間を注いだからこそ、つなぎ目のない見た目と、“タイトらしい” 音を実現。これも『PMP』だからこそ成し得たこと。

音にも徹底的にこだわった

素材を変えたことで音に変化が出てはいけない。今までのタイトリストらしいサウンドへチューニングするのにも相当な時間と手間をかけた。

画像: PMP効果②は、見た目の美しさと心地良い打感の実現

PMP効果②は、見た目の美しさと心地良い打感の実現

PMP効果③
フィッティングの幅が大きく向上

余剰重量が多くなったことで、前後に配置されたウェイトにも大きな幅が生まれた。1つのヘッドであらゆる調整が可能になり、『気に入った』ヘッドが見つかれば、あとはウェイトを調整すれば“最も合う”ドライバーに出合う確率がグンと上がった。

“2”と“3”のウェイトが増加

前作『GT2』は、前方のウェイトは調整できなかった。余剰重量が生まれたことで調整機能が付けられたとも言える。『GTS』は最適な一本が見つかりやすくなった。

画像: PMP効果③により、フィッティングの幅が劇的に向上

PMP効果③により、フィッティングの幅が劇的に向上

どれだけ技術が進化しても“人の声”が大事

ドライバーは今、各社『飛びと方向性の両立』をテーマに、開発が進んでいる。再三語られていることではあるが、この2つはトレードオフの関係にある。

両立を目指しながらも、どちらかを優先せざるを得ないというのが実情だろう。しかし、タイトリストはあくまでも両立を掲げる。

「例えば、“飛び”など、何かひとつに偏ることは絶対にしません。すべてが高いパフォーマンスでなければ、タイトリストではないからです」と話すトム・フィッシャー氏。そして、『GTS』シリーズでは、この“すべて”が実現できたと胸を張る。実現の鍵を握ったのは、新素材『PMP』だ。

「簡単に言うと、軽くて強い素材です。この素材を採用したことで、圧倒的な余剰重量を生み出すことができました。重さを前にも後ろにも持ってくることができたのです(スプリットマス設計)。つまり、飛距離性能を損なうことなく、寛容性(やさしさ)も担保できたということです」(フィッシャー氏)

飛びと安定性の両立さえできればいいかといえば、そうではない。ゴルファーが求める、“すべて”は、性能以外の部分にもまだあるからだ。

画像: 「GTシリーズが、最初のステップでした」(2人)。前作『GT』シリーズで初めて、PMPサーモフォーム クラウンを採用。「新素材を製品化できたことで、さらに進化を遂げた『GTS』シリーズが完成しました。『GT』がなければ、ここまで洗練された、“完成品”は実現しなかったでしょう」(バイステット氏)

「GTシリーズが、最初のステップでした」(2人)。前作『GT』シリーズで初めて、PMPサーモフォーム クラウンを採用。「新素材を製品化できたことで、さらに進化を遂げた『GTS』シリーズが完成しました。『GT』がなければ、ここまで洗練された、“完成品”は実現しなかったでしょう」(バイステット氏)

「機能面だけで考えれば、理論上は、8年前からできることはわかっていました。しかし問題は、『使い手』がどう感じるか。それはつまり、見た目や音の問題です。今までと違った素材を使うことで変わる音をどうやって“タイトリストサウンド”にするか。苦労した点のひとつです」(バイステット氏)

見た目に関してもそうだ。通常、素材が違えばシーム(つなぎ目)が見えてしまう。タイトリストらしい見た目にするには、このつなぎ目は、“絶対に”見えてはならない、とフィッシャー氏は言う。

「もし、私たちが『すべてのディティールを、完璧に仕上げること』を気に留めていなかったらもっと早く製品化できたでしょう。シームを完全に消し去るための努力は、信じられないほどしました。なぜこれほどまでにこだわるのか? それは、アドレスした時の視界をクリーンにしたい。その美しさこそ、タイトリストのドライバーとしてふさわしいと思っているからに、他なりません。前作と比べて『見た目が変わっていない』と言われることは、我々には、最高の褒め言葉なんです」

もうひとつ、現在のドライバー市場において『フェース開発』もキーワードになっている。カーボン、チタンとカーボンの複合など、多様化しているなか、タイトリストは、かたくなにチタンにこだわる。

「我々は、今でもチタンがベストだと確信しています。理由は様々ですが、ひとつは、形状を緻密にコントロールできることでしょう。チタンは、肉厚の細かな変化などを正確に調整しやすいため、他の素材では難しいフェース周辺部の制御も可能になります。これにより、オフセンターヒット時の初速が落ちない、と我々は確信しています。総合的に見て、最も優れているだけでなく、打感と打音に関しても圧倒的だと自負しています」(フィッシャー氏)

画像: フェースは一貫してチタン。フェース素材が、異素材や複合が主流になってきているなか、かたくなにチタンにこだわる。反発はもちろん、設計の自由度や接着など、あらゆる点を考慮した結果だ

フェースは一貫してチタン。フェース素材が、異素材や複合が主流になってきているなか、かたくなにチタンにこだわる。反発はもちろん、設計の自由度や接着など、あらゆる点を考慮した結果だ

どこまでも完璧にこだわるのは、『作り手』が『使い手』のことをとことん考えているから。どれだけ時代は進化しても、“人”を大事にする姿勢がタイトリストにはある。規格外の完成度はこのようにして生まれる。

女子プロの言葉が何よりの証拠
「タイトリスト=難しい」は完全に消えた

『タイトリストは難しい』というイメージを持っている人は少なからずいることはバイステット氏、フィッシャー氏ともに、認めている。しかし、そのイメージが変わってきていると話す。

“イメチェン”に成功しつつある

「アメリカでは、プロモーションに一般ゴルファーを起用したり、フィッティングを通じて、実際にやさしさを体感する場を増やしたりしています。結果、イメージがだいぶ変わってきている、と実感しています」(バイステット氏)
 

以前の日本でのイメージは、『男子プロやトップアマ、上級者が使うもの』。それを女子プロや、一般ユーザーへの積極的なアプローチにより、構図が変化しつつある。

画像: 植竹希望(GTS3/10度)「初めて打ったその週に、即投入したのは初めて。それくらい打った瞬間『いい!』と思いました。初速が速いのはもちろんですが、球離れが早くないからコントロールもできる。飛距離性能とやさしさで選びました」

植竹希望(GTS3/10度)「初めて打ったその週に、即投入したのは初めて。それくらい打った瞬間『いい!』と思いました。初速が速いのはもちろんですが、球離れが早くないからコントロールもできる。飛距離性能とやさしさで選びました」

現に、初めてタイトリストを打った女子プロに話を聞くと、「最初は、難しい印象がありました。食わず嫌いというか、イメージだけで避けていた。でも実際に打つと飛ぶしやさしい。なんで今まで打たなかったんだろうという感じです」との声が多い。

画像: 福田萌維(GTS2/9度)「曲がらない、という安心感があります。大きすぎるのも小ぶりすぎるのも好きじゃないんですが、“ちょうどいい”大きさで、構えたときの見え方がすごく好き。初速がこんなに速いのに、曲がらないのにはびっくりです」

福田萌維(GTS2/9度)「曲がらない、という安心感があります。大きすぎるのも小ぶりすぎるのも好きじゃないんですが、“ちょうどいい”大きさで、構えたときの見え方がすごく好き。初速がこんなに速いのに、曲がらないのにはびっくりです」

アクサレディスで優勝を飾った永峰咲希もその1人。「飛んで曲がらないというのがタイトリストを初めて打ったときの印象でした。以前は、GT2を使っていたのですが、見た目などは、いい意味で大きく変わっていないので、スイッチも簡単でした。それなのに、機能はすごく進化している。飛距離はもちろんですが、安心して振れるのが大きいですね」

画像: 永峰咲希(GTS4/10度)「ミスヒットに寛容で、球が上がりやすいから自分で上げようとしなくても高弾道が打てる。それでいて、持ち球であるフェードを打ちにいっても打ち出しより左へ飛ぶことがない。安心感がすごく大きいです」

永峰咲希(GTS4/10度)「ミスヒットに寛容で、球が上がりやすいから自分で上げようとしなくても高弾道が打てる。それでいて、持ち球であるフェードを打ちにいっても打ち出しより左へ飛ぶことがない。安心感がすごく大きいです」

新素材を使用したことで余剰重量が多く生まれたのは前述の通り。ある程度の重さを後方に置くことでやさしさが担保され、球が上がりやすい。それを証明する女子プロの言葉だ。

画像: 気になる次の展望ついて、「我々のチームには、膨大なアイデアがありますよ」(2人)

気になる次の展望ついて、「我々のチームには、膨大なアイデアがありますよ」(2人)

「これだけの完成度だと、次を心配されることは多いですが、でも安心してください(笑)。GTSがこれから市場でどのようなパフォーマンスをするのか。そこから学ぶこと、ヒントはとても多いです」(バイステット氏)

画像: GTSのやさしさも、『PMP』のおかげ

GTSのやさしさも、『PMP』のおかげ

撮影/三木崇徳、有原裕晶


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