強風、雷雨、そしてコースを覆う「スモーク注意報」
今週、選手たちの調整を最も狂わせているのが、極端な気象条件だ。大会週の幕開けとなった月曜日の朝には雷雨がコースを通過し、月曜日と火曜日は最大瞬間風速25〜30mph(約11〜13m/s)に達する強風が吹き荒れた。
しかし、それ以上に厄介なのが、遠く離れた山火事によって運ばれてきた「煙(wildfire smoke)」の影響である。月曜日には大気質指数(AQI)が一時「敏感なグループにとって不健康」という危険レベルにまで悪化。その後、強風によって「中程度」に改善したものの、水曜日にかけても煙による視界のかすみが予想されている。
弾道のイメージを視覚化し、ミリ単位の感覚を研ぎ澄ませるトッププロたちにとって、煙でかすむ視界や大気質の悪化は、集中力を削ぐ深刻なノイズとなる。
週末に牙を剥く「猛暑」と突然の雷雨
大会公式の気象予報によれば、週の後半に向けて風向きが南西に変わることで、煙による大気質の問題は改善に向かう見込みだ。しかし、自然の猛威はそこで終わらない。今度は体力を奪う「猛暑」が選手たちに襲いかかる。
週末にかけて気温は急上昇し、優勝争いが佳境を迎える最終日の日曜日には、最高気温が約34℃に達すると予報が出ているのだ。さらに、土曜日の夜から日曜日にかけては、再び突発的な雷雨の可能性も示唆されている。 緊迫した優勝争いの中で、茹だるような暑さに耐え、突然の天候変化にも神経を尖らせなければならない。サンデーバックナインは、まさに体力と精神力の限界を試される我慢比べとなるだろう。
前年覇者キタヤマが語る「日々の適応力」
不測の事態が連続する今大会だが、前年覇者であるカート・キタヤマは極めて冷静だ。
大会前の公式会見で今週の準備について問われた彼は、「コースのコンディション、グリーンの状態、過去のピン位置などをしっかり確認する」と、まずは基本を徹底することを強調した。
その上で、予測不能な自然環境への向き合い方をこう語っている。
「風向きが(去年と)変わるかもしれないし、大会への準備は、その日その日の状況に合わせていくしかない」
どれほど綿密なゲームプランを立てても、自然の前では無力になる瞬間がある。だからこそ、日々の変化を柔軟に受け入れる「適応力」こそが、このサバイバルを生き抜く最大の鍵となるのだ。

予選ラウンドはスコッティ・シェフラー、イム・ソンジェと同組になった松山英樹(写真/R&A提供)
視界を遮る煙、吹き荒れる強風、そして週末の猛暑。目まぐるしく変わる気象条件という手強い敵に対し、松山英樹、平田憲聖、金谷拓実、中島啓太の日本勢4人がどう適応し、スコアを伸ばしていくのか。自然と技術がぶつかり合う、過酷なバトルの幕が開く。
