過密日程の中での初参戦と、ミネソタの温かい歓迎
「ジェネシス・スコットランドオープン」と「全英オープン」という英国でのタフな2連戦を終えた直後にもかかわらず、シェフラーは休むことなくアメリカへ戻り、今大会のティーグラウンドに立つ。
初参戦の理由について、彼は極めて実務的な見解を明かした。
「英国での2週間を終えて、プレーオフシリーズが始まる前に3週間のオフを取るのは、スケジュールの組み方として理想的ではないと思ったんだ」
初めて訪れたというミネソタ州では、その温かい地域性に心を打たれたようだ。月曜日に家族とダウンタウンへ出かけた際、ファンから写真撮影を求められた。「今は家族と一緒だから」と丁寧に断ったところ、ファンは嫌な顔一つせず「完全に理解しました。ここに来てくれてありがとう」と答えたという。「みんなが僕らがここにいることに本当に感謝してくれている。とても優しくて、驚かされたよ」と、ロープ外での心温まる交流を嬉しそうに語った。
NFLバイキングスHCとのラウンドと「フットボール愛」
水曜日のプロアマ戦では、地元ミネソタのNFLチーム、バイキングスのヘッドコーチを務めるケビン・オコンネルと同組でプレーする機会に恵まれた。
大のNFLファンを公言するシェフラーにとって、これは特別な時間だった。
「NFLを愛しているし、彼らがやっていること、特にヘッドコーチの仕事には魅了されている。多くの個性的な選手や戦術をまとめ上げるのだから、間違いなくチームで最も重要なポジションだ」
会話の中で、新シーズンに向けたクォーターバック(QB)のレギュラー争いについても尋ねたという。
「彼からは『複数のQBがいるから競争になる』と聞いたよ。スマートで素晴らしいコーチだということがよく分かった」
異なる競技で頂点を極める者同士、大いに刺激を受けるラウンドとなったようだ。
全英での「確執」報道を一蹴。「一番のライバルは目の前のコース」

ライバルはコースと断言するシェフラー(写真は26年全英オープン)
一方で、ゴルフに関する話題になると、王者は途端に鋭く、そして達観した視点を披露する。記者から、先週の全英オープンでローリー・マキロイがブライソン・デシャンボーへ個人的な皮肉を言ったとされる報道を引き合いに出され、「ライバル関係はゴルフにとって良いことだと思うか?」と問われた際のことだ。
シェフラーは、この手の「対立構造の演出」を明確に一蹴した。
「ゴルフは他のスポーツとは意味合いが違う。私がバスケットボールをやっていた時は、相手を直接防御(ディフェンス)して動きを止めようとするのだから、個人的なライバル関係になるのは当然だ。でもゴルフでは、誰かのプレーを直接止めることなんて絶対にできない」
そして、世界1位としての矜持をこう語った。
「私は個人的なジャブ(攻撃)を良しとしたことはない。なぜなら、毎週毎週、私にとっての最大のライバルは『私たちがプレーしているゴルフコース』だからだ」
相手を蹴落とすのではなく、目の前のコースと自分自身に打ち勝つこと。それこそが、彼が常にリーダーボードの上位に君臨し続ける最大の理由なのだ。
王者の貫禄と新たなタイトルの予感
英国からの長旅と時差ボケの疲労を抱えながらも、家族やファンとの温かい時間を楽しみ、プロアマ戦では他競技のトップコーチとの交流でリフレッシュする。自然体でありながら、コースに対しては誰よりもストイックに向き合う世界No.1のスコッティ・シェフラー。
ミネソタの地で、彼が王者の貫禄をいかんなく発揮し、初出場初優勝という新たなタイトルをその手に収めるのか。週末のリーダーボードから、決して目が離せない。
写真/R&A提供

