松山英樹、平田憲聖、金谷拓実、中島啓太の日本勢4名が出場するPGAツアーのレギュラーシーズン終盤戦「3Mオープン」。今大会最大のニュースは、フェデックスカップポイントランキングで後続に約500ptsという大差をつけてトップを独走する世界ランキング1位、スコッティ・シェフラーのエントリーだ。今季の彼は、トップ10フィニッシュ(10回)、トップ25フィニッシュ(15回)、ストローク・ゲインド・トータル(2.154)、ストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーン(1.655)、パーオン率(72.31%)、平均スコア(68.24)という主要スタッツのすべてでPGAツアー1位を記録しており、まさに手のつけられない状態にある。先週の「全英オープン」でも4位タイという好成績を残したばかりの絶対王者が、なぜミネソタの地を選んだのか。

過密日程の中での初参戦と、ミネソタの温かい歓迎

「ジェネシス・スコットランドオープン」と「全英オープン」という英国でのタフな2連戦を終えた直後にもかかわらず、シェフラーは休むことなくアメリカへ戻り、今大会のティーグラウンドに立つ。

初参戦の理由について、彼は極めて実務的な見解を明かした。

「英国での2週間を終えて、プレーオフシリーズが始まる前に3週間のオフを取るのは、スケジュールの組み方として理想的ではないと思ったんだ」

初めて訪れたというミネソタ州では、その温かい地域性に心を打たれたようだ。月曜日に家族とダウンタウンへ出かけた際、ファンから写真撮影を求められた。「今は家族と一緒だから」と丁寧に断ったところ、ファンは嫌な顔一つせず「完全に理解しました。ここに来てくれてありがとう」と答えたという。「みんなが僕らがここにいることに本当に感謝してくれている。とても優しくて、驚かされたよ」と、ロープ外での心温まる交流を嬉しそうに語った。

NFLバイキングスHCとのラウンドと「フットボール愛」

水曜日のプロアマ戦では、地元ミネソタのNFLチーム、バイキングスのヘッドコーチを務めるケビン・オコンネルと同組でプレーする機会に恵まれた。

大のNFLファンを公言するシェフラーにとって、これは特別な時間だった。

「NFLを愛しているし、彼らがやっていること、特にヘッドコーチの仕事には魅了されている。多くの個性的な選手や戦術をまとめ上げるのだから、間違いなくチームで最も重要なポジションだ」

会話の中で、新シーズンに向けたクォーターバック(QB)のレギュラー争いについても尋ねたという。

「彼からは『複数のQBがいるから競争になる』と聞いたよ。スマートで素晴らしいコーチだということがよく分かった」

異なる競技で頂点を極める者同士、大いに刺激を受けるラウンドとなったようだ。

全英での「確執」報道を一蹴。「一番のライバルは目の前のコース」

画像: ライバルはコースと断言するシェフラー(写真は26年全英オープン)

ライバルはコースと断言するシェフラー(写真は26年全英オープン)

一方で、ゴルフに関する話題になると、王者は途端に鋭く、そして達観した視点を披露する。記者から、先週の全英オープンでローリー・マキロイがブライソン・デシャンボーへ個人的な皮肉を言ったとされる報道を引き合いに出され、「ライバル関係はゴルフにとって良いことだと思うか?」と問われた際のことだ。

シェフラーは、この手の「対立構造の演出」を明確に一蹴した。

「ゴルフは他のスポーツとは意味合いが違う。私がバスケットボールをやっていた時は、相手を直接防御(ディフェンス)して動きを止めようとするのだから、個人的なライバル関係になるのは当然だ。でもゴルフでは、誰かのプレーを直接止めることなんて絶対にできない」

そして、世界1位としての矜持をこう語った。

「私は個人的なジャブ(攻撃)を良しとしたことはない。なぜなら、毎週毎週、私にとっての最大のライバルは『私たちがプレーしているゴルフコース』だからだ」

相手を蹴落とすのではなく、目の前のコースと自分自身に打ち勝つこと。それこそが、彼が常にリーダーボードの上位に君臨し続ける最大の理由なのだ。

王者の貫禄と新たなタイトルの予感

英国からの長旅と時差ボケの疲労を抱えながらも、家族やファンとの温かい時間を楽しみ、プロアマ戦では他競技のトップコーチとの交流でリフレッシュする。自然体でありながら、コースに対しては誰よりもストイックに向き合う世界No.1のスコッティ・シェフラー。

ミネソタの地で、彼が王者の貫禄をいかんなく発揮し、初出場初優勝という新たなタイトルをその手に収めるのか。週末のリーダーボードから、決して目が離せない。

写真/R&A提供

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