古江彩佳や山下美夢有をはじめとする総勢10人の日本人選手が出場し、日本国内でも熱い視線が注がれる「ISPS HANDA スコットランド女子オープン」。その舞台となるダンドナルド・リンクスに、今季すでにメジャー2勝を含む4勝を挙げ、世界ランキング1位に君臨するネリー・コルダが降り立った。現在彼女は、平均ストローク(68.68)、60台のラウンド数(25回)、リカバリー率(72.41%)、パー5の平均スコア(4.39)など数多くの主要スタッツでツアー1位を独走している。そんな圧倒的な強さで女子ゴルフ界を牽引する絶対女王が、スコットランドの地で新たな戦いに挑む。

リンクスは「芸術的」なコース

前戦のメジャー「アムンディ・エビアン選手権」で今季初の予選落ちを喫した彼女だが、その表情に悲壮感は全くない。彼女はこのオフを利用して自身のルーツであるチェコのプラハを訪れ、子供時代の思い出を巡りながら心身をリフレッシュさせていたのだ。「まるで観光客のように楽しんだわ。しっかりとバッテリーを充電できた」と、新たなモチベーションを胸にスコットランドの地へやってきた。

公式会見に現れたコルダは、今年のダンドナルド・リンクスについて「昨年よりも間違いなく乾燥している」と冷静に分析する。リンクス特有の硬い地面と風に対し、彼女の口から飛び出したのは「芸術」という言葉だった。

「ここでは低い球が要求されるし、想像力(イマジネーション)のボタンをたくさん押さなければならない。このゴルフコースでは、より芸術的にならなければいけないの」

大会期間中の天気予報によれば、週末にかけて降水確率が60〜70%に上がり、最大風速20mphの強風が吹き荒れると予想されている。型にはまったゴルフではなく、創造力が試されるリンクスでの過酷なプレー。荒れ狂う風雨の中で、彼女が語るこの「芸術性」こそが勝負を分ける重要なカギとなるだろう。普段とは違うイマジネーションを要求されるタフなセッティングすらも、世界1位のショットメーカーは心から楽しんでいるようだ。

イギリスの交通事情に悪戦苦闘!?

コース上では隙のない完璧なプレーを見せる彼女だが、コースを一歩離れれば、等身大の愛らしい素顔を見せてくれる。

今回のスコットランド滞在で、彼女は人生で初めて「反対車線(イギリスの左側通行)」での運転に挑戦しているという。世界トップのショット精度を誇る彼女をもってしても、慣れない国の交通事情にはかなり苦戦しているようだ。

「初めて運転したんだけど……駐車がとても下手なの(笑)」と苦笑い。さらにイギリス名物の「ラウンドアバウト(環状交差点)」の多さにも手を焼いているようで、「ここもラウンドアバウト、あそこもラウンドアバウトって感じよ!」と茶目っ気たっぷりに語った。無敵の女王が見せた、なんとも微笑ましく人間味あふれるエピソードである。

国を背負う誇り、ソルハイムカップへ向けて

画像: アムンディ・エビアン選手権でまさかの予選落ちをしたネリー・コルダ。チェコ・プラハでの休養で英気を養いここからもう一段アクセルを踏めるか、注目だ(写真は26年全米女子オープン)

アムンディ・エビアン選手権でまさかの予選落ちをしたネリー・コルダ。チェコ・プラハでの休養で英気を養いここからもう一段アクセルを踏めるか、注目だ(写真は26年全米女子オープン)

リラックスした表情を見せる一方で、勝負師としての情熱は静かに燃え上がっている。50日後に迫る米国選抜と欧州選抜の対抗戦「ソルハイムカップ」について話題が及ぶと、彼女の眼差しは熱を帯びた。

「あの1番ティーに足を踏み入れる時の雰囲気は、言葉では言い表せない。国を代表できることに勝る喜びはないわ」

母国を背負う誇りと、チーム戦特有の熱狂。それを最大の力に変えることができるのも、彼女が超一流のアスリートである証だ。

プラハでの休息を経て、心身ともに充実した状態を取り戻したネリー・コルダ。慣れない左側通行の運転には少し苦労しているようだが、ゴルフコースでの「ドライブ」に迷いはないだろう。スコットランドの乾いたリンクスで、絶対女王がどのような「芸術」を見せてくれるのか。彼女のプレーから目が離せない。

写真/USGA提供


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