原英莉花が語る「絶滅危惧種」と意地のバーディ

「絶滅危惧種」と語ったバーディを3つ奪ったものの、7つのボギーでスコアを落とした原英莉花
首位と7打差の3位タイ、最終組でスタートした原だったが、吹き荒れる強風と難コースが彼女の前に高くそびえ立った。スコアメイクに苦しむラウンド後、彼女はリンクスの過酷さを独特な表現で振り返った。
「この難コースで風もすごい吹いて、本当にタフな1日でした。今日は『バーディ』という言葉が絶滅危惧種なんじゃないかという気持ちになりましたね」
原が語った「バーディが絶滅危惧種」という言葉の背景には、リンクスの風がいかに選手のスコアメイクを狂わせるかという過酷なデータが隠されている。 最終日の原は、強風の中でもティーショットのフェアウェイキープは「11/14(約78.6%)」と高い精度を保っていた。しかし、そこからのセカンドショットが突風に翻弄されてパーオンは「11/18(約61.1%)」にとどまり、さらにグリーン上でも風の影響を受けて「34パット」と大苦戦。ショットをフェアウェイに置いても、簡単にチャンスを作らせてくれないリンクスの洗礼が、この数字に如実に表れている。
しかし、このままでは終わらないのが原の持ち味である。ドラマは最終18番(パー5)で待っていた。 強風の中で果敢に攻めの姿勢を貫いた原は、見事にツーオンに成功し、しっかりバーディフィニッシュを決めた。
「最後、ツーオンをしっかり見せてバーディが取れて、悪いながらにも良かったかなと思います」
悔しさの中にも、彼女の表情には晴れやかな笑顔があった。
「苦手意識のあるコースで、こうやって戦ってこれたのが、まずは自分の中で大きかったと思います」
過酷なリンクスの洗礼を浴びながらも上位で戦い抜いた経験は、彼女の中に確かな自信として刻み込まれた。
岩井明愛の「ガッツパー」と驚異的なV字回復

4バーディ3ボギーの「71」でラウンドし、11位タイでAIG女子オープンの前哨戦を終えた岩井明愛
一方の岩井明愛は、強風の中でそのポテンシャルの高さをいかんなく発揮した。出だしの1番、2番で連続ボギーを叩く苦しい立ち上がりとなったが、彼女は決して慌てなかった。
「最初ボギー発進してしまったけど、自分なりに落ち着いてプレーできました」
その言葉通り、5番、6番の連続バーディでスコアを取り戻すと、8番でボギーはあったものの、13番と17番をバーディ。この難コンディションの中で見事にアンダーパー(71)のラウンドを完遂したのだ。
実は岩井、初日は強風に飲まれて「78(6オーバー)」を叩き、出場選手中89位タイと大きく出遅れていた。しかし、そこから見事にリンクスにアジャストし、2日目(70)、3日目(69)、そして大荒れの最終日(71)と、残り3日間をすべてアンダーパーで回りきり、見事11位タイまで大逆襲を果たしたのである。この事実を知れば、「決して慌てなかった」という彼女のメンタルの強さがより際立つ。
ハイライトとなったのは最終18番。セカンドショットをミスしてしまいピンチを迎えたが、そこから執念のリカバリーを見せた。「ガッツでパーセーブできて、すっきり回れた感じです」と力強く語り、頼もしさすら感じさせた。
強風下でもスコアをまとめ上げた要因について、岩井は「ショット自体もそんなに悪くないので、良い感触ではあります」と語る。完璧ではないとしつつも、己のスウィングへの確かな自信を深め、万全の状態で次戦へと向かう。
次週、今季最後の海外メジャーへ

72ホール目を納得のプレーで終えた2人。今週の米女子メジャー最終戦「AIG女子オープン」を気持ちよく迎えられそうだ
過酷なリンクスコースでの前哨戦を終え、二人の視線はすでに次週のビッグイベント、「AIG女子オープン(全英女子)」へと真っすぐに向けられている。
原は「まずはこの疲れをしっかりとって、また新たなコースと向き合えるようにしたいです。頑張ります」と、心身のリフレッシュを図り、新たな決意でメジャーへと挑む。 そして岩井は、「すごい楽しみです。今季(海外メジャー)最後なので、できればテレビに映れるような位置で回れたらいいかなと思います」と、彼女らしい明るい言葉で上位争いへの意気込みを語った。
スコットランドの強風に耐え抜き、最終ホールでそれぞれに見せた意地のバーディとガッツパー。このタフな経験を糧にした二人が、今季最後の海外メジャーという最高の舞台でどのようなプレーを見せてくれるのか。期待は高まるばかりだ。
写真/大会提供
