2019年に創設され、今年で8回目を迎える「ロケットクラシック」が本日、いよいよ開幕する。本大会を配信するU-NEXTが、丸山茂樹プロとの名コンビでお馴染みの“杉ちゃん”こと杉澤伸章キャディに見どころを詳しく聞き、「みんなのゴルフダイジェスト」に寄稿してくれた。大会の注目ポイントをおさらいしよう!

新たな歴史の節目と、名門デトロイトの罠

2026年大会は、タイトルスポンサーの契約終了に伴い、「ロケットクラシック」として開催される最後の大会となり、デトロイトで新たな歴史の節目を迎える。過去には、ネイト・ラシュリー、ブライソン・デシャンボー、キャメロン・デービス(2勝)、トニー・フィナウ、リッキー・ファウラー、アルドリック・ポトギーターらが優勝を飾り、その名を刻んできた。

フェデックスカップポイント争いも重要な局面を迎える中、トップ選手たちが集結し、最後の「ロケットクラシック」王者を目指して熱戦を繰り広げる。

舞台となるのは、米・ミシガン州の名門、デトロイトゴルフクラブだ。1916年に開場し、名匠ドナルド・ロスによって設計された歴史あるコースは、自然を生かした美しい景観と戦略性の高いレイアウトが特徴である。

「今回開催されるデトロイトGCは、起伏に富んだグリーンが大きな特徴で、ピンポジションによって攻略難度が大きく変化します。大規模改修で距離も長くなった中、繊細なアプローチとパッティングの精度が、スコアメイクの鍵を握るコースです」(杉澤キャディ・以下同)

画像: 杉澤キャディが注目するエミリアーノ・グリジョ(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ)

杉澤キャディが注目するエミリアーノ・グリジョ(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ)

そこで杉澤キャディが注目選手に挙げるのが、アルゼンチン出身のエミリアーノ・グリジョだ。

「彼は、2015年米下部ツアーの最終戦を制してPGAツアーカードを獲得すると、2015-16年シーズンの開幕戦フライズドットコムオープンではデビュー戦でいきなり優勝を飾る鮮烈なスタートを切りました。その後も実力を発揮し、PGAツアー通算2勝を達成。2023年にはチャールズ・シュワブチャレンジで8年ぶりとなる勝利を挙げています。

アルゼンチン・チャコ州のチャコゴルフクラブで腕を磨き、ホセ・コセレスやファビアン・ゴメスといった同郷の名選手たちの背中を追って成長してきた実力派プレーヤーです。直近の3Mオープンでも7位タイに入るなど好調を維持しており、フェデックスカッププレーオフ進出圏内を懸けたランキング争いが佳境を迎える中、限られたチャンスでさらなるポイント獲得を目指します。デトロイトの舞台で、グリジョがどのような戦いを見せるのか注目ですね」

杉澤キャディは、このデトロイトGCがグリジョの持ち味が存分に生きる舞台だと見ている。

「彼の最大の特徴は、ピンを果敢に狙う攻撃的なゴルフです。攻める姿勢ゆえにリスクも伴い、グリーン周りのスタッツが低くなることもありますが、それを補って余りある優れたパッティング技術と、パー3でのバーディ奪取能力を持っています。多少ボギーを叩いても、すぐにバーディでリカバリーできるバウンスバックの高さが強みですね」

孤独な留学生活と「家族」がもたらした強さ

その攻める姿勢を支えているのは、技術だけではない。これまで歩んできた経験や、困難を乗り越える中で培われた強い精神力が、現在のグリジョのプレースタイルにつながっているという。

「グリジョの強さの原点は、若くして飛び込んだ海外での経験にあります。16歳の時、アルゼンチンから単身フロリダへ渡り、IMGアカデミーでゴルフを磨きました。そこには、ジャスティン・トーマスやザンダー・シャウフェレといった、後に世界のトップへ上り詰める選手たちがいて、日々刺激を受けながら成長していったんです。

ただその一方で、言葉の壁や文化の違い、家族と離れて暮らす孤独もありました。でも、グリジョにとってその環境こそが、ゴルフと真正面から向き合う時間になっていたのです。誰にも頼れない状況の中で自分自身と向き合い続けた経験が、今の彼の強いメンタリティを作り上げたのだと思います」

そして、彼のゴルフに対する考え方を大きく変えたのが「家族」の存在だ。 「2022年に長男のマテオ君が誕生してから、彼の中で一番大切なものが変わりました。それまでは『偉大なゴルファーになる』という思いが中心でしたが、今は『偉大な父親でありたい』という気持ちが大きな原動力になっています。

その変化が結果として表れたのが、2023年のチャールズ・シュワブチャレンジでの優勝です。8年ぶりの勝利を手にした背景には、技術だけではなく、家族の支えやアルゼンチンを背負う誇りがありました。かつて孤独と戦いながら成長した少年が、今は大切な人たちのために戦う選手へと進化している。そこがグリジョの大きな魅力だと思います」

日本勢の熱き戦いからも目が離せない

そして、日本のゴルフファンが最も期待を寄せるのが、日本勢による熱き戦いである。

日本のエース・松山英樹を筆頭に、世界への挑戦を続ける久常涼、平田憲聖、金谷拓実、中島啓太ら実力者が顔を揃えた。プレーオフ進出へ向けて1つでも上の順位をもぎ取りたい若手たちにとって、この大会は極めて重要な意味を持つ。

世界屈指のショットメーカーである松山、そして次代を担う若き才能たちが、この歴史深きデトロイト・ゴルフクラブのタフな舞台でいかに上位へ食い込み、優勝争いを演じてくれるのか。片時も目が離せない、至極の4日間が始まる。

U-NEXT/窪山京真
写真/岩本芳弘


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