ベテランが目の当たりにした“世代を代表する才能”
スネデカーに投げかけられたのは、プロ転向後わずか3戦目の「3Mオープン」で歴史的な初優勝を飾った21歳のルーキー、ジャクソン・コイブンに関する質問だった。当時の自分と現在のコイブンのレベルを比較するよう求められると、自嘲気味に笑ってこう答えた。
「彼とは比べ物にならないよ。私のゲームは彼ほど良くはなかった。彼はまさに『世代を代表する選手』だね。彼が大学でやってきたこと、そしてプロとしてやってきたことを見れば、この子が本当に特別だということが分かる。私が26歳でツアーに出た時よりも、今の彼のほうがはるかに優れているよ」
実は、スネデカーがコイブンの才能に衝撃を受けたのはこれが初めてではない。2年前の「メモリアル・トーナメント」で、当時オーバーン大学の1年生(18歳)だったコイブンと初めて出会った時のことを、スネデカーはこう振り返る。
「当時から彼は普通の18歳とは全く違う、並外れた成熟度を持っていた。カットラインを難なく突破したプレーに、その時から衝撃を受けていたんだ」
さらに今大会の開幕前(火曜日)、スネデカーのもとへコイブン自ら「僕も一緒に回っていいですか?」と声をかけてきて、練習ラウンドを共にする機会があったという。
「3Mオープンで初優勝して以来、彼の周りは大忙しだったから、少しそっとしておいてあげようと思っていたんだ。でも彼からアプローチしてくれた。偶然の出来事だったけれど、彼のことをより深く知ることができて本当に嬉しかったよ」
2012年にフェデックスカップ年間王者にまで登り詰めた歴戦の雄が、21歳の若武者の才能と素顔に完全に惚れ込んでいるのだ。
テクノロジーと大学ゴルフが生んだ「隙のない若手」
では、かつてのスネデカーたちの世代と、今のZ世代の若手たちとでは一体何が違うのか。彼はその決定的な違いを「成熟度」という言葉で表現し、テクノロジーの進化がゴルフに与えた影響を論理的に分析した。
「私たちの時代には、トラックマンなどのローンチモニターがなかった。だから、もっと『感覚』に頼ってプレーしなければならなかったんだ。私がプロ転向した時、自分のゲームには『巨大な穴』があることが分かっていた。でも、調子が良ければなんとかカバーできたんだよね」
自分の欠点を感覚で補いながら、プロの舞台で数年かけて粗削りな部分を研磨していく。それが一昔前のプロゴルファーの一般的な成長曲線だった。しかし、今の若手は違う。
「今の若手は全てを知り尽くしていて、完全に準備万端でツアーに出てくる。大学ゴルフの段階ですでに、彼らはプロのように練習し、体のケアをし、あらゆるデータを活用している。だから彼らのゲームには『巨大な穴』が存在しないんだ」

ジャクソン・コイブン(左)とマイケル・ブレナン(右)
10代の頃から最先端のテクノロジーに触れ、自分のスウィングを数値化して完璧にコントロールする術を身につけているZ世代。スネデカーはコイブンだけでなく、ベン・ジェームス(23歳)やマイケル・ブレナン(24歳・1勝)といった他の若手選手の名前も挙げ、「彼らの洗練されたゲームには本当に畏敬の念を抱く」と、その隙のない完成度の高さに驚嘆の声を上げた。
プレジデンツカップ主将としてのシビアな目線と「昨年の奇跡」
若手たちの才能を惜しみなく称賛するスネデカーだが、今年の「プレジデンツカップ」で米国選抜の主将(キャプテン)を務める彼には、勝負師としての極めてシビアな目線も備わっている。
「チームに新しい若い血が必要だからという理由だけで、彼らを抜擢することはない。それは全く意味をなさないよ」と、スネデカーは徹底した実力至上主義をキッパリと強調する。
「誰をチームに入れるかは、ゴルフ(結果)が教えてくれる。勝つための最高のチャンスを与えてくれる12人の選手を選ぶだけだ。それでも、現在20〜22人の選手にチャンスがある状態だから、最終選考は本当に楽しみだよ」
その言葉の裏には、昨年この大会で起きた“奇跡の逆転劇”がある。スネデカーはこう付け加えた。
「毎年、シーズン終盤の重圧の中で結果を出して、代表チームに自力で滑り込んでくる選手がいる。昨年のキャメロン・ヤングがまさにそうだった。このウィンダム選手権を迎える前、ヤングはまだ私たちが今知っているような絶対的な存在ではなかった。しかし彼はここで優勝し、素晴らしいプレーを継続して、誰もが期待するキャメロン・ヤングになって代表チームに入ったんだ。ゴルフが教えてくれるとは、そういうことだよ」
若手であっても、この重圧の中で結果を出しさえすれば一気に代表の座を奪い取ることができる。コイブンのような規格外のルーキーが、シーズン最終盤の猛チャージで米国代表チームへと滑り込む可能性も、決して夢物語ではないのだ。
新旧世代が交錯するPGAツアー
「若い選手たちが、私たち年寄りを奮い立たせ、戦い続けるモチベーションを与えてくれている。本当に見ていて楽しいよ」
若き才能の台頭を心から歓迎し、同時に自身の闘志の燃料へと変換するスネデカー。圧倒的な完成度で突き進み、恐れを知らぬZ世代の怪物たちと、長年の経験と感覚、そして意地を武器にそれを迎え撃つベテラン勢。
テクノロジーの進化がもたらしたプレースタイルの変化と、新旧世代のプライドが激しく交錯する現在のPGAツアーは、かつてないほどの熱気と面白さに包まれている。シード権争い、プレーオフ進出、そして代表枠をかけた最終決戦が絡み合うウィンダム選手権の戦いから、絶対に目が離せない。
写真/Getty Images
