初日に「1ラウンド2イーグル」の快挙
ベン・ジェームスは初日から自己ベストを更新する8アンダーの「62」を叩き出し、暫定2位タイという衝撃的なスタートを切った。
現在フェデックスカップランキング141位のジェームス。来週からのプレーオフシリーズ(上位70位)に滑り込むためにPGAツアーのシミュレーションシートが提示した最低条件は、ボー・ホスラーらと同様に「優勝(WIN)」のみとなっている。単独2位でも3位でも届かないという絶望的なプレッシャーがかかる最終戦で、21歳のルーキーが見せた圧巻の爆発劇だ。
ラウンド後の会見で、早々にリーダーボードの上位に自分の名前が載り、攻めのマインドが変わったかと問われても、彼は涼しい顔でこう答えた。
「リーダーボードは一切見ません。毎週、誰かが初日に60や59といったスコアを出しますからね。ただ自分のポジションを確立し、ベストを尽くすだけです」
大舞台の重圧など微塵も感じさせない、落ち着き払った頼もしいルーキーの姿がそこにはあった。
ジェームスの凄さは、何と言ってもその圧倒的な爆発力にある。この日のハイライトは、難コースのセッジフィールドCCで1ラウンドに2つのイーグルを奪ったことだ。
前半の5番(パー5)、ジェームスは「ドライバー、そして8番アイアンで完璧にプレーした」と振り返る見事なショットでピンに絡め、最初のイーグルを奪取。
さらに後半の15番(パー5)では、3番ウッドでのティーショットの後、4番アイアンでセカンドショットを放った。この一打について本人は「実は打った瞬間、右下に低く飛びすぎてしまったと思ったんだ」とヒヤリとした本音を振り返る。しかし、打球は完璧な放物線を描いてキャリーし、ピンそば1.8メートル(6フィート)にピタリと止まった。これも難なく沈め、この日2つ目のイーグルを奪ってみせた。
【動画】B・ジェームス、15番セカンドショット、不満顔とは裏腹に243Yを1.8mに寄せる【PGAツアー公式X】
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x.comPGAツアーの公式ノートによると、ジェームスがプロ転向後のキャリアにおいて「1ラウンドで2つのイーグル」を記録するのはこれが初めてのことだという。
怪物を生み出す大学ゴルフのエコシステムと「同門」の絆
ジェームスの躍進は、彼個人の才能というだけでなく、現在のPGAツアーを席巻する新たなトレンドを象徴している。今季のツアーでは、先々週の「3Mオープン」でプロ転向後わずか3戦目にして初優勝を飾った21歳のジャクソン・コイブン、先週の「ロケットクラシック」を勝ったマイケル・ソービヨンセンなど、「PGAツアー ユニバーシティ」の恩恵を受けたZ世代の活躍が極めて目立っている。
今大会に出場し、秋のプレジデンツカップ米国代表主将を務めるベテランのブラント・スネデカーは、火曜日の練習ラウンドでジェームスと同組で回り、その異次元のプレーに脱帽した。
実は、スネデカーとベン・ジェームスは同じスウィングコーチに師事する、いわば「同門の兄弟弟子」の間柄である。弟弟子のスウィング理論や成長プロセスを誰よりも熟知する偉大な先輩だからこそ、ジェームスの才能について語る言葉には、単なる社交辞令を遥かに超えた、確かな技術的裏付けと深い実感がこもっている。
「今日、ベン・ジェームスと一緒にプレーしたけれど、本当に感銘を受けたよ。彼は将来、世界を席巻する選手(worldbeater)になるだろうね。この世代の若者たちの洗練されたゲームを見ていると、本当に畏敬の念を抱くよ。私たちの時代と違って、彼らのゴルフには『巨大な穴(欠点)』が一切存在しないんだ。我々オヤジ世代も彼らに奮い立たされているよ」
実は、このコイブンとジェームスは単なる同世代というだけでなく、ツアーにおける固い絆で結ばれている。コイブンは開幕前の会見で、「ベン・ジェームスはここでの僕の親友の一人なんだ。毎週火曜日には、必ず彼と一緒に練習ラウンドをしているんだよ」と明かしている。
同門のレジェンドや親友のライバルたちと切磋琢磨しながら、最高峰の育成システムで育った若き怪物たちが、PGAツアーという大舞台で徒党を組み、同時多発的に頂点へと駆け上がろうとしているのだ。
新しい時代の主役たち

26年「RBCカナディアンオープン」でプロ転向したベン・ジェームス。プロ5戦目にあたる「コラレス・プンタカナ選手権」で4位タイに入る活躍を見せている
「大学ゴルフの大会や競争のレベルが上がり、大学からプロゴルフへの飛躍の差が少し小さくなっているように感じる」とコイブンが語るように、現代の若手選手たちはデビュー直後から当然のように優勝争いに絡むだけの実力とメンタリティを備えている。
「PGAツアー ユニバーシティ」という革新的なエコシステムが生み出した、ベン・ジェームスという才能。「勝たなければ終わり」という極限のプレッシャーがかかるウィンダム選手権でどのようなプレーを見せてくれるのか。新しい時代の主役たちが次々と誕生する現在のPGAツアーは、かつてない面白さを見せている。
写真/Getty Images
