PGAツアーのレギュラーシーズン最終戦「ウィンダム選手権」の2日目。フェデックスカップ・プレーオフ進出を懸けたサバイバルマッチは、レギュラーシーズンを締めくくるにふさわしい熱気と緊張感に包まれていた。選手たちが1打の重みに翻弄される中、この日は「2つの連続記録」を巡って、残酷なまでに鮮やかな明暗が分かれることとなった。

松山英樹は現役最長を更新、追う久常涼は無念の涙

画像: 31試合連続で予選通過を果たした松山英樹(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ)と連続予選通過記録が21試合で途切れた久常涼(写真は26年AT&Tペブルビーチプロアマ)

31試合連続で予選通過を果たした松山英樹(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ)と連続予選通過記録が21試合で途切れた久常涼(写真は26年AT&Tペブルビーチプロアマ)

一つ目の記録は、「連続予選通過」だ。

初日を終えて好位置につけていた松山英樹は、この日もスコアを1つ伸ばし、通算6アンダーの26位タイで危なげなく決勝ラウンドへ駒を進めた。これにより、松山は自身の持つ現役最長の「連続予選通過記録」を「31試合」へと更新。いかなるコース、いかなるコンディションでも大崩れしない、底知れぬ安定感を改めて証明してみせた。

一方で、松山の背中を追っていた2人の若手には残酷な結末が待っていた。松山に次いで現役2位タイの連続予選通過記録(21試合連続)を持っていた久常涼とキャメロン・ヤングである。

久常は2日目にスコアを伸ばせず通算1オーバー。カットラインに4打及ばず、ここで連続予選通過記録が途絶えることとなった。対するヤングは、薄氷を踏む思いで通算3アンダーのカットライン上(64位タイ)に滑り込み、辛くも記録を継続。松山に次ぐ単独2位の記録保持者(22試合連続)として週末に臨む。

【動画】「入った?」キャメロン・ヤング、スーパーショットで予選通過!【PGAツアー公式X】

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途切れた18年の大記録と、悲痛な舞台裏

画像: 最後の望みをかけて挑んだが残念ながら予選落ちを喫し、プレーオフシリーズを逃したジェイソン・デイ(写真は26年マスターズ)

最後の望みをかけて挑んだが残念ながら予選落ちを喫し、プレーオフシリーズを逃したジェイソン・デイ(写真は26年マスターズ)

二つ目の記録は、フェデックスカップが創設されて以来、限られたエリートのみが足を踏み入れることを許されてきた「プレーオフシリーズへの連続進出記録」である。

元世界ランク1位のジェイソン・デイは、今大会を通算4オーバーで終え、無念の予選落ちを喫した。これにより、デイが誇っていた「18年連続プレーオフ進出」という偉大な記録に終止符が打たれた。

実はデイ、このウィンダム選手権で奇跡の逆転劇を起こすために、前週までの「3Mオープン」と「ロケットクラシック」にも強行出場してポイントを稼ぐ予定だった。しかし会見で「体が本当に最悪の状態で、練習や準備をすることすらできず、出場を断念せざるを得なかった」と明かした通り、まさにボロボロになりながら満身創痍の状態でこのセッジフィールドCCへと乗り込んできていたのだ。

ラウンド後のインタビューで、デイは静かに、しかし清々しい表情で語った。

「今年は本当に体の状態が悪くて、ただ耐え抜くことすら難しかった。素晴らしい記録だったし、できれば続けたかったけれど、こういうこともある。永遠に続くものなんてないからね。今は悲しいとは思っていない。少し休んで体を治し、来年また良いプレーができるように戻ってくるのが一番だ」

幾度もの怪我と戦いながら、長年トップレベルを維持してきたレジェンド。限界を迎えながらも歴史に立ち向かったその姿には、次なる戦いへの前向きな決意が滲んでいた。

執念を見せたブラッドリーと、突きつけられた「非情な現実」

画像: 薄氷を踏みながらの予選通過を果たし、16年連続プレーオフシリーズ進出に望みをつないだキーガン・ブラッドリー(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ)

薄氷を踏みながらの予選通過を果たし、16年連続プレーオフシリーズ進出に望みをつないだキーガン・ブラッドリー(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ)

対照的に、この日凄まじい執念を見せたのが、デイに次ぐ「15年連続プレーオフ」の記録を持つキーガン・ブラッドリーだった。

予選落ちの危機に瀕していたブラッドリーは、終盤の6ホールで3つのバーディを奪う猛チャージを披露。通算3アンダーとし、まさにカットラインギリギリで予選を通過してみせたのだ。

「本当に誇りに思うよ。どうしてもプレーオフに出たいんだ。毎年出ているからね」と、安堵の表情を浮かべたブラッドリー。そのプレッシャーは計り知れないものだったようだ。

「終盤は本当に緊張したよ。まるでトーナメントの優勝争いをしているかのような感覚だった。でも、それが楽しかった。少しプレッシャーがかかっている時のほうが、最高のゴルフができる気がするんだ」

ギリギリで週末への切符を掴み取り、16年連続のプレーオフ進出へ望みを繋いだブラッドリー。しかし、彼に突きつけられている現実はどこまでも非情だ。

執念で予選を突破したものの、2日目を終えた時点のライブ投影ランキングでは、ブラッドリーは依然として「73位」とプレーオフ進出枠(70位以内)の圏外に沈んでいる。彼が自力で大記録を達成するための最低条件は、今大会を「2名以上の38位タイ(2-Way T38)以上」でフィニッシュすること。予選通過はあくまで最初のハードルに過ぎず、週末にさらに順位をゴボウ抜きしなければ月曜日には記録が途絶えてしまう。

「本当のサバイバル」は、ここから始まるのだ。

レギュラーシーズン最終戦という特異な舞台は、時に非情であり、時に極上のドラマを生み出す。決勝ラウンドでも、ポイントランクの生き残りを懸けた選手たちの熱き戦いから目が離せない。

写真/岩本芳弘


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