
レギュラークラスで初優勝を飾った鳥海颯汰
●レギュラークラスは鳥海颯汰がプレーオフを制し、初出場・初優勝を飾る

岩男健一とのプレーオフは2ホール目で決着
レギュラークラスは、ハイスコアによる大激戦となった。ともに9アンダー63ストロークという大会レコードを叩き出した25歳の鳥海颯汰と39歳の岩男健一の2人によるプレーオフへと突入した。
岩男はインコースからスタートし、前半を3アンダー、後半のアウトコースでは6バーディを奪う猛チャージを見せ、ボギーフリーの完璧なゴルフで63をマークした。一方、同じくインコーススタートの鳥海は、10番でバーディ、続く11番パー5でイーグルを奪うなど勢いに乗り、インコースを31、アウトコースを32の「63」、こちらもボギーフリーラウンドで終えた。
鳥海にとってプレーオフは今年3回目で、自分のパッティングができれば問題ないという自信があった。1ホール目を互いに譲らず、2ホール目、ピン上に付けた鳥海は、軽いスライスの1メートルを読み切り、見事にバーディパットを沈めて決着をつけた。

タイトリストの「プロV1x」にチェンジしてボールの高さがマッチした鳥海
好スコアの背景には、使用するボールの急遽の変更があった。ここ最近、ショットの縦距離のズレに悩まされていたが、タイトリストの「プロV1xレフトダッシュ」から、急遽「プロV1x」に戻す決断をした。アプローチの際のボールの高さに課題を感じていたが、同組の中山雅義プロから、大会前にボールはスピンとコントロールが大事で、自分が理想とする高さを選んだほうが良いというアドバイスを受けた。パッティングの距離感に影響がなければ変えてもいいのではと言われ、変更を決意。前日の練習ラウンドからピンに絡むようになり、朝の練習でも良い手応えを得ていた。ボールを変えたことでボールの高さと縦距離の課題が改善され、鳥海自身も驚くほどの効果を発揮して63の大会レコードにつながった。
鳥海は今年、プレーオフで無類の強さを見せている。6月の北海道プロゴルフ選手権でプレーオフを制して優勝し、この優勝をきっかけに今大会に出場。また、山梨県オープンでもシニアの岩本プロとのプレーオフを制して優勝しており、これで今年3度目の優勝、すべてプレーオフでの3連勝となった。今季のレギュラーツアー出場は日本プロゴルフ選手権(38位)のみだが、今大会での優勝を大きな弾みとし、今後は日本オープン最終予選、そして地元北海道で開催されるANAオープンの本戦へと挑む。米澤蓮ら全英オープンを経験した先輩たちのように、この大会をきっかけにジャンプアップし、将来的には世界やメジャー大会へ羽ばたきたいと力強く将来の夢を語った。
●シニアクラスは宮本勝昌が大会連覇を達成

シニアクラスを制した宮本勝昌
シニアクラスは、宮本勝昌が7アンダーをマークし、昨年と同じスコアで見事に大会連覇を飾った。 優勝の要因について、今年から新設されたシニアティーを挙げ、「力まずに気持ちよくプレーでき、リズムよく回れた」と振り返った。1番ホールでは、残り269ヤードの2打目を直ドラで2オンに成功させてバーディ発進。最終ホールも「ダブルボギーでも優勝」と予想した状況で6メートルのパーパットを沈め、終始噛み合ったゴルフを展開した。
「1日競技で勝つのは本当に難しいが、大変満足している」と安堵の表情を見せた。 また、多くの著名人やギャラリーが集まる大会の魅力について、「主催者である(プロゴルファーで実業家の)金谷(嶺孝)さんの存在や人脈があってこそ。今後もこの素晴らしい大会を続けてほしいです」と、大学時代から親交のある金谷氏へ敬意と感謝を口にした。
●選手とギャラリーが一体となったツアー外競技の魅力

地元岩手出身の米澤蓮は4位
男子ツアーのオープンウィークに行われた今大会は、地方大会ならではの温かさと熱気に包まれた注目を集めたひとりは、地元岩手県出身で、現在ポイントランキング2位(賞金ランキング1位)、そして全英オープン帰りの米澤蓮だ。スタートホールの紹介で「賞金ランキング1位」とコールされ、ギャラリーからの大歓声を浴びた。本人は久しぶりに良い雰囲気の中でゴルフができたと語り、上がり4ホールで連続バーディを奪う猛チャージを披露。惜しくも優勝には届かなかったものの、7アンダー4位タイでフィニッシュし、地元ギャラリーを大いに沸かせた。「なかなか地元でツアーが開催されないため、自分自身にとって非常に貴重な経験でした。年々ギャラリーも増えているので、そろそろ地元で優勝したいです。再来週からの男子ツアーの再開に向けて良い弾みになりました」と、今後に向けた意欲を語った。

ギャラリーとの距離感の近さを楽しんで4位の稲森佑貴
また、同じく65の4位タイで終えた稲森佑貴も大会を盛り上げた。スタートホールのコールで「日本一曲がらないプロ」として紹介され、ギャラリーから「真っすぐ飛ばして」と声をかけられると、「まかせてください」と応じるなど、ロープのない距離感の近さを楽しんだ。稲森は、「ギャラリーがコースに入って間近で見られるのが良いです。18ホールずっとついて回ってくれたギャラリーがいて、男子ツアーの試合でもあまりないことです。選手とギャラリーが一体となる地方大会の良さを感じました」と、ツアー外競技ならではの魅力を喜んだ。
選手たちとギャラリーが一体となって作り上げる「岩手県オープン」。ツアー外競技だからこそ味わえるプロとファンの距離の近さと、真剣勝負が生み出すドラマこそが、本大会の最大のみどころであり、東北の夏を熱くする理由だ。

